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セールの後ろ倒し&縮小を決めた「ユナイテッド ヌード」 名作イスで「値引き以外の付加価値」をアピール

 シューズブランド「ユナイテッド ヌード(UNITED NUDE)」を手掛けるユナイテッド ヌード ジャパン(青田行社長)は6月20日から、東京・北青山の路面店で、「歴史に残る名作家具/アートと靴」プロジェクトを行っている。第1弾として、スイスの建築家ピエール・ジャンヌレ(Pierre Jeanneret)が手掛けたイスを店頭に置き、実際に座って試着などができるようにしている。その効果もあり、売り上げも戻ってきている。「客数はコロナショック前の水準にはやや達していないが、客単価は上がっている。3密を避けて営業している中で、6月の売り上げは前年同月をクリアした」と青田社長は話す。

 新型コロナによる自主休業期間を経て、ファッション関連ショップの多くは5月半ばから6月にかけて店舗営業を再開している。再開早々、休業中の在庫消化のために店頭でセールを行っているブランドも多いが、「値引きではない付加価値を提案していくことが特に路面店では重要」という考えから、「ユナイテッド ヌード」は「7月末までは路面店でもファッションビル内の2店でもセールは行わない」。8月上旬に一部商品ではセールを予定するが、「シーズンを超えて売りつないでいくという考えに今後は舵を切る」。

 そうした中で、セール以外での来店の動機付けとして企画したのが、「アートと靴」プロジェクトだ。同ブランドのクリエイティブディレクターで創業者のレム・D・コールハース(Rem D. Koolhaas)は、ミラノのプラダ財団美術館などの設計で知られる建築家レム・コールハース(Rem Koolhaas)の甥で、自身も建築家。往年の建築家が手掛けた名作イスとは相性がいい。ジャンヌレのイスを皮切りに今後も名作家具を店頭に置き、客に楽しんでもらうという。

 こうした実店舗での取り組みに先駆けて、自粛期間中にはオンラインで塗り絵のキャンペーンも行った。ブランドの公式サイトからダウンロードしたシューズの絵に色を塗って、5月20日から6月7日の期間中にインスタグラム上に投稿するというもの。コールハースが選んだ優秀作品は、2021年春夏商品として実際に売り出す計画だ。「親子で楽しんで投稿していただくケースもあった。店に行けない時期だからこそ、参加型キャンペーンでブランドを近くに感じていただくことができた」と手応えを感じている。

 「ユナイテッド ヌード」が打ち出したセール時期の後ろ倒しやセールの縮小は、コロナショック以前から業界内で課題とされてきたこと。デザイナーのドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)らが発起人となった、販売スケジュールやセール時期の是正のための署名活動は国を超えて業界内に広がっている。「そうした考えには私自身も賛同しているし、個人レベルで賛同し、署名している人は日本のファッション業界にも多いと思う。ただ、署名するだけでは意味がない。それを事業として実行に移すことが大事。今年すぐにセールの後ろ倒しや縮小が実行できないにしても、来年はできるように動いていく。リーマンショックの時も東日本大震災の時も『ファッション業界はビジネスモデルを変えないといけない』と言われてきたが、業界は変わっていない。今回こそそれを実行に移すタイミングだと思っている」と青田社長。