ファッション

ゲームカルチャー解体新書Vol.1 今、ゲームに注目する理由

 約15年にわたり、ファッションに軸足を置きながら、セールスやPR、企画立案の立場で国内外のブランドビジネスに関わらせていただいています。ファッション業界に携わっている私が、ファッション業界をはじめ、ゲーム業界で活躍している方々、ゲーム好きのゲストとの対談を交えながら、「ファッション × ゲーム」の可能性、新しい価値を提供することができたら。そんな想いと、「WWDJAPAN.com」編集長の村上さんのサポートがあり、この新連載をスタートさせていただきました。

ゲーム=デジタルネイティブ ファッション=アナログネイティブ

 まず、ゲームタイトルによって変わるので一概に言えませんが、20歳を超えると動体視力の低下が顕著に表れ、e-sports選手はアスリートの中でも最も選手生命が短いと言われています。また一般的には、「引きこもり」だとか「オタク文化」などと言う定説が浸透し、世間体や親子関係(特に親)の問題もあってか、日本国内においては成熟した産業になりきれない。e-sports大会の賞金額を比較しても、世界とは雲泥の差がある。こうしたe-sports業界の背景については、次回以降の対談で紐解いていきたいと思います。しかし、どうでしょう。賞金額などは別として、この業界特有のイメージのアップデートは、それほど難しくないのでは?海外はもちろん、私の周りにいるファッショニスタ、ミュージシャン、タレントら各業界には、ゲームをこよなく愛する多くの方々が存在しています。ファッションとの親和性はとても高く、ゲーム業界から生まれるスターが複数のフィールドで活躍する可能性は十分にある。そのフィールドの1つが、ファッションを中心とした業界ではないかと思うのです。

 さらに“アナログ最前線市場”のファッションは、今回の地殻変動によって、デジタル強化が生き残りの必須条件となっているのは周知の通り。ファッションが人に与える高揚感や自己表現、そして、外見だけでなく内面(心理)にも影響を与え、この恩恵を受けた沢山のファッションユーザーの間でも、ファッションは消費のプライオリティからランキング落ちしています。

 ブランド自体も、セレクトショップをはじめとした各取引先がこれまでのように買い付けてくれるか分からない。いや、かつての取引に戻る事はないと思う。生産数は激減し、工賃のチャージアップにより、急激なインフレが起こり、値付けは変えざるを得ないでしょう。

 結果、自走するにはブランド、そして各店舗は、それぞれに顧客を獲得し、顧客のために商品やサービスを提供する関係を構築する必要があります。でも、ファッションが急にデジタルシフトをすると、モノを押し付けるような「商品推し」なプロモーションや、ニッチな世界観の作り込み、クーポンやマークダウン戦略をしてしまうのが関の山です。 デジタルネイティブのゲーム業界が、ファッション市場にとっても、新しいドアの鍵を握っているのではないか。そして、そのドアの向こう側に登場するキーマン達は、今その時を待っていると信じてやみません。「ファッション業界 × ゲーム業界」。それぞれの立場にいる方々が抱えている問題、やりたい事などを語り、ここから生まれる面白いプロジェクトも随時発信していきたいと思います。次回Vol.01は、ゲームカルチャー協会の松岡雅幸さんとの対談を予定しています。

戸簾俊広: ジェムプロジェクター代表:2009年に国内外のファッション・ライフスタイルブランドのブランディング、PR、セールス、コンサルティングを手掛けるブランディングカンパニーGEM PROJECTORを設立。現在は、地方創生プロジェクトや会員予約制のテンポラリーレストランの立ち上げに向け奮闘する一方、「受信者から発信者へ」をテーマにしたオンラインサロンを運営

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「WWDジャパン」10月26日号は、デジタルコマース特集です。コロナ禍でデジタルシフトが加速し、多くの企業やブランドがさまざまなデジタル施策に注力していますが、帰るべきものと残すべきものの選別など、課題が多いのが現状です。今年はそんな各社の課題解決の糸口を探りました。巻頭では、デジタルストアをオープンしたことで話題の「シロ(SHIRO)」の福永敬弘=専務取締役やメディアECの先駆け的存在「北欧、暮…

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