ファッション

ワンオーが渋谷「ミヤシタパーク」新店で描くビジネスモデルの刷新 オンラインサロン立ち上げも予定

 PR業務やイベント制作、合同展運営などを手掛けるワンオーは、今夏開業予定の東京・渋谷の複合施設「ミヤシタパーク(MIYASHITA PARK)」商業棟3階に、小売りとプレスルーム、コミュニティースペースなどを融合した店舗「イコーランド シブヤ(EQUALAND SHIBUYA)」をオープンする。「これまで培ってきた(PRや卸売りといった)BtoBのビジネスにBtoCの視点をミックスし、次の時代のワンオーを作っていく」と、松井智則ワンオー社長。同スペースは、そうした新しいビジネスモデルの発信拠点という位置づけだ。

 「イコーランド」の名称は、同社が2019年8月に立ち上げたEC専業ブランドと同じ。同ブランドは“ファッションの信用”を掲げ、工場の倉庫に眠っていた残反や残糸を使い、生産工程の透明化を打ち出している。「『イコーランド』は単にブランドの名前というのではなく、社会課題をファッションという切り口で解決していこうというプロジェクトの総称。ミヤシタパークの新店舗もそうした考えのもとで運営する」という。

 ミヤシタパークに出店する店舗の面積は約262平方メートル。売り場は4エリアで構成し、奥まった部分は5~10ブランドを展示するプレスルーム(約165平方メートル)、手前はマーケットエリアと呼ぶ物販コーナー、ギャラリーコーナー、「イコーランド」の販売コーナーだ。プレスルームは通常はメディア関係者やバイヤー向けとして一般公開はしないが、受注イベントや販売会などを行う際には消費者にも広く公開する。

 物販コーナーは2~3カ月毎にテーマに合わせて内容を入れ替えていく。企画を手掛けるのは、26歳の森井杏南「イコーランド シブヤ」ディレクターら。開業時のテーマは“トラスト”で、「イコーランドが信用できるもの」として、サステナビリティや地方創生といった要素に焦点を当てたファッションアイテム、雑貨、食品などを委託販売する。具体的には、丸山敬太「ケイタ マルヤマ(KEITA MARUYAMA)」デザイナーによる、自身のアーカイブをリメイクしたウエアや、量り売りの「エコストア(ECO STORE)」の洗剤、福井県の和紙メーカーが作る文具など。「これからは、背景にあるストーリーで商品を選ぶという行動が消費のスタンダードになる」(森井ディレクター)という考えから、商品やブランドの世界観をしっかりと伝えていくことを目指す。

 店舗オープンと合わせて、オンラインサロンの立ち上げも模索。オフライン(実店舗)、オンラインの両面で、「業界を超え、さまざまな人がファッションという切り口で集う」コミュニティーを目指す。オンラインサロンでは、有料登録者、無料登録者それぞれに向けてイベントやセミナーなどを開催予定。実店舗でも、新型コロナウイルス感染症の状況を見ながらワークショップなどを手掛けていく。また、物販コーナーで販売する商品はタグにQRコードを記載し、そこからすぐに「イコーランド シブヤ」のサイトにアクセスが可能。そこからECでの購入もできる。

 同店の企画や運営に関しては、「店長など一部を除いて、20代のメンバーを集めた」と松井社長。だからこそ、「業界の常識にとらわれない動きができるはず」と期待する。ワンオーはアッシュ・ペー・フランスのPR01.事業部が、MBO(経営陣による買収)によって17年に独立した組織。「独立後、ワンオーの事業を投資家に説明する機会が何度もあったが、われわれが行ってきた小売りや卸売り、PRといったアパレル業界の既存事業は、投資家にとっては価値がないんだということを思い知らされた。『ワンオーの事業は、スマホ(スマートフォン)ではなくガラケー(ガラパゴス携帯)のまま進化が止まっている』と言われたこともある」と松井社長。「アパレル産業が社会に貢献し、世の中からリスペクトされるポジションを回復していくために、ビジネスモデルをバージョン2.0にアップデートしていきたい」と続ける。

最新号紹介

WWD JAPAN

デジタルコマース特集2020 コロナで変わったもの/残すべきもの

「WWDジャパン」10月26日号は、デジタルコマース特集です。コロナ禍でデジタルシフトが加速し、多くの企業やブランドがさまざまなデジタル施策に注力していますが、帰るべきものと残すべきものの選別など、課題が多いのが現状です。今年はそんな各社の課題解決の糸口を探りました。巻頭では、デジタルストアをオープンしたことで話題の「シロ(SHIRO)」の福永敬弘=専務取締役やメディアECの先駆け的存在「北欧、暮…

詳細/購入はこちら