「オフ-ホワイト ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH以下、オフ-ホワイト)」創業者で「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」メンズ アーティスティック・ディレクターのヴァージル・アブローは、SNSで炎上した自身の発言に対して謝罪した。
ヴァージルは6月1日、自身のインスタグラムとツイッターに画像7枚にわたる文章を投稿した。そこにはアフリカ系アメリカ人としてアメリカで経験したエピソードに加え、米国で起きている警察による暴行や人種差別、不平等な扱いに断固抗議することとあらためて語っている。
ショーン・ウェザースプーン(Sean Wotherspoon)がロサンゼルスのビンテージスニーカー店「ラウンド トゥー(ROUND TWO)」が略奪にあった様子をインスタグラムに投稿し、その投稿にヴァージルは「最悪だ。このカルチャーにショーンが全身全霊をかけているのがわからないのか」などとコメントしたことで批判を浴びた。また、ヴァージルが黒人女性の釈放を訴える団体の「フェムパワー(FEMPOWER)」に50ドル(約5300円)を寄付したことが明らかになると、「オフ-ホワイト」の服の価格と比較して寄付額が少額であることを批判するコメントが寄せられた。
これに対してヴァージルは、「私の店や友人の店がどんな略奪の被害を受けているかについて語ったが、それが不正に対して抗議する権利よりも、店の方が重要だと受け取られるような内容だったことを謝罪する」とコメントした。また、寄付の件についても「SNSで友人らが拡散していた50ドルを寄付する運動に私も参加した。この重大な事件に対してたった50ドルしか寄付していないかのように見えてしまったことについても謝罪する。多くの人が言うように、店や物は代えが利くが人命は違う。黒人の命は重視されるべきであり、この瞬間においてはその他のことは重要ではない」と続けた。
ヴァージルは、問題になった50ドルの寄付以外にも個人的にあらゆる団体に総額2万500ドル(約210万円)の寄付を行ったことを明らかにした。「引き続き寄付は行っていくし、周りにも呼び掛けていく」とコメントしている。
さらにヴァージルは今後、黒人のアーティストや作家の作品を集めた作品集などの制作を行い、その売り上げを抗議活動に参加した人物の釈放を求める団体に寄付するという。「私がこのムーブメントに100%参加していることをみんなに理解してほしい。個人的に寄付を行い、声を上げ、人種差別を終わらせるために、私が所属するデザインとストリートウエアのコミュニティーがどのような貢献ができるかを示していく」とつづっている。
YU HIRAKAWA:幼少期を米国で過ごし、大学卒業後に日本の大手法律事務所に7年半勤務。2017年から「WWDジャパン」の編集記者としてパリ・ファッション・ウイークや国内外のCEO・デザイナーへの取材を担当。同紙におけるファッションローの分野を開拓し、法分野の執筆も行う。19年6月からはフリーランスとしてファッション関連記事の執筆と法律事務所のPRマネージャーを兼務する。「WWDジャパン」で連載「ファッションロー相談所」を担当中