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英ファッション・カルチャー誌が“新しい服はいらない”号 アフターコロナを見据える

 2011年に創刊したロンドン発のファッション・カルチャー誌「ハンガー(Hunger)」第18号は、“新しい服はいらない(no new clothing approach)”をコンセプトに、サステナビリティと社会問題を取り上げた。

 「ディズド&コンフューズド(DAZED & CONFUSED)」の創設者で写真家のランキン(Rankin)氏が手掛けたこのマガジンは、ファッション誌でありながら問題提起を同時に行うスタイルだ。「ハンガー」のウェブサイトから雑誌の無料ダウンロード可能だ。

 「ザ・フューチャー」と題した同号の表紙には、俳優のマーガレット・クアリー(Margaret Qualley)やR&B歌手のレイ(Raye)、フェイスブックの個人情報流出を告発したクリストファー・ワイリー(Christopher Wylie)を起用した。

 「ワイリーはファッションの未来について、アマゾン(AMAZON)がいかに着々と私たちのファッション生活を侵略しているか、そしてそのことを大手ブランドがどれだけ軽視しているかを話してくれた」とランキン氏は語る。またワイリーは、「ラフ・シモンズ(Raf Simons)が何をしているかはどうだっていい。ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)=アマゾン創業者兼CEOはヤバい。ベゾスがアナ・ウィンター(Anna Wintour)米『ヴォーグ(VOGUE)』編集長の役割を果たすようになるかもしれない」と語っているという。

 また同号は、「スタイルに有効期限は存在しない」という考えのもと、古着やビンテージ、中古のアイテムのみでスタイリング。スタイリストやデザイナー、クリエイティブチームを再編し、人々とビューティやファッションとの関係性を再考している。

 例えば、DIYやチャリティーショップ、再利用の美学に傾倒しているスタイリスト、ニーシャ・トゥルシ・チャンパネリア(Neesha Tulsi Champaneria)を招き、彼女の故郷であるブラッドフォードのチャリティーショップの服を、同じ志向を持つ新進デザイナーたちの服と一緒に組み合わせることで、インドとサプライチェーンの関係に光を当てた。

 ランキン氏は新型コロナウイルスの脅威にさらされながらも、新たな10年の始まりとして、つながりや恐れ、希望を模索したいとこの特集に取り組んだという。「今号の写真は、隔離が始まる前に撮影された。スタジオでクリエイティブチームと共に作業していた時期を思うと胸が痛む。以前のような働き方に戻るまでにしばらく時間はかかるだろう。また戻れたとしても、同じとは言えない。“新しい服はいらない”特集の中で自分に課したことは、今後現実的な制約に変わるだろう」。

 この号では、“アン・フルエンサー”(インフルエンサーの冒頭を、逆説を表す “Un”に変えた造語)も取り上げている。メンバーは、作家のナタリー・オラ(Nathalie Olah)や、モデルで環境活動家のエマ・ブレスキ(Emma Breschi)、刑務所改革提唱者のカール・カッターモール(Carl Cattermole)、「生理の貧困」問題運動家のアミカ・ジョージ(Amika George)、ファッションデザイナーのプリヤ・アルワリア(Priya Ahluwalia)ら。社会における女性やマイノリティーの活躍を妨げる“ガラスの天井”と呼ばれる障壁を打ち破ることに注力している面々だ。

 ランキン氏はまた、英国が封鎖期間中であるにもかかわらず印刷を手掛けてくれた業者に感謝を述べた。「出版は危機的な業界だが、デジタルコンテンツを毎日消費している中では見落とすことを気付かせてくれる、必要不可欠なメディアだ」。

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