ファッション

パリコレに広がり始めた新型コロナの影響 来場したアンミカ「差別はない」

 2020-21年秋冬パリ・ファッション・ウィークも中盤になり、徐々に新型コロナウイルスの影響が目立つようになってきた。2月24日の開幕時には“平穏なムード”と報じたが、北イタリアを中心とするヨーロッパでの急速な感染拡大の影響は広がっている。オリヴィエ・ヴェラン(Olivier Véran)=フランス連帯・保健大臣の発表によると、28日現在、国内の感染者数は38人から57人に増加。それでも変わらず挨拶のビズやハグを行う人は多く、ショー会場内でマスクをしている人も限られている。しかし、心理的なものもあるのか、会場の雰囲気が変わったように感じる場面も多い。

 28日までにショーを開催したブランドでは、「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」(26日)や「パコ・ラバンヌ(PACO RABBANE)」(27日)、「ロエベ(LOEWE)」(28日)が、会場の入り口にマスクとアルコール除菌ジェルを用意。それで感染を防げるわけではないが、多くの人が集まる中、不安を抱く来場者への配慮が見られた。

 また、スケジュールにも影響は出始めている。27日には「LVMHプライズ(LVMH PRIZE)」のセミファイナリストを紹介するカクテルイベントが中止になったほか、「アニエスベー(AGNÈS B.)」と「アー・ペー・セー(A.P.C.)」も世界的な衛生状況を鑑みて3月2日に開催予定だった20-21年秋冬のランウエイショーをキャンセル。ニューヨーク(NY)発の「ロージー アスリン(ROSIE ASSOULIN)」も1日に行う予定のプレゼンテーションを見送り、3月中旬にNYでアポイントメントをとりコレクションを披露すると発表した。さらに、ここ数日間で日本からのPR関係者の出張のキャンセルや人数削減の連絡も相次ぎ、予定を前倒して帰国するバイヤーも出ている。状況は日々変わるが、今後影響が拡大する可能性は高い。

 一方、アジア人に対する差別はほぼ感じられない。「林先生の初耳学」の人気企画「アンミカ先生が教えるパリコレ学」などでも知られるアンミカは1泊3日で渡仏し、「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」や「クリスチャン ワイナンツ(CHRISTIAN WIJNANTS)」などのショーに来場。「日本では、ヨーロッパでのアジア人差別やミラノの状況など話が事実よりも大きく取り上げられているように感じていて、テレビ番組などでコメントを求められることも多いので、きちんとリアル自分の目で見て言葉にしたいと思いパリに来ました。実際のパリは穏やかで、私自身は差別的な態度を取られることもなく、そういう状況を目にすることもありませんでした」と話した。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

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