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帰ってきたメンズコレドタバタ日記Vol.9 片寄涼太と「ロエベ」のメンズワンピを鑑賞 「ソロイスト」にタフな決断の時

9:15 コム デ ギャルソン・シャツ

 今日の朝イチは「コム デ ギャルソン・シャツ(COMME DES GARCONS SHIRTS)」のミニショー。通常、ファッションショーは20~30分遅れるのが当たり前。ギャルソンのブランドさえ、「コム デ ギャルソン・オム プリュス(COMME DES GARCONS HOMME PLUS)」や「コム デ ギャルソン・ジュンヤ ワタナベ マン(COMME DES GARCONS JUNYA WATANABE MAN)」は25分くらい遅れますが、朝イチのミニショーはオンタイム。しかも座席は早いもの勝ちです(分かりやすい!)。

 ということで、朝9時前には現地に到着。疲労もピークのパリメンズ後半戦で朝9時に会場に着くのは、正直ラクではありません。某バイヤーさんは「修行」と言っていましたが、気持ち、良く分かります(笑)。

 気になったのは、このスタイリング。スリット入りのポンチョを、カーディガンの中から外へ。カワイイです。シューズは、「アシックス(ASICS)」とのコラボでした。

12:25 ロエベ

 その後は、原稿を書いたり、エディターズレターをしたためたり。お昼過ぎに「ロエベ(LOEWE)」のショー会場、ユネスコ本部に到着しました。片寄涼太さんのお隣。片寄さんは昨日、「ロエベ」を着用してのシューティングに臨んだそうで、翌日ご挨拶するためにもジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)のインタビュー動画を事前にチェックしたそうです。昨日ご一緒した会食では、どこに、どう共感したかアツく語ってくれました。なんて勉強熱心でしょう。素直に感動です。

 そんな片寄さんと一緒に見たコレクションは、ジェンダーの概念を超越、というか最初から意識していないかのようです。コートの下は、もしかしたら何にも履いてないかもしれない(いや、下着は履いているでしょうがw)。コートをワンピース的な感覚で着ちゃいます。ファーストルックは、ドレープを寄せたドレス!!でもコレ、実はエプロンなんです(笑)。BGMはYoung GalaxyのPRETTY BOY。Shazamして初めて知りましたが、バンド名も曲名も、今季のコレクションにピッタリ。ヤングボーイが、パパやママの洋服を漁って、鏡の前でキャッキャしている。そんなプリティなシーンが思い浮かびます。今季のBGM大賞です。

14:30 サカイ

 お次は、今季はミリタリーの「サカイ(SACAI)」。MA-1の下にウールの将軍コート、その下にはモッズコートまで重ねたように見えるフェイクレイヤードのアウターなど、今季も「1着でキマるハイブリッド」がさく裂しています。レオパード、レッドベースのチェック、デニム、世界地図、ネイティブモチーフ、フリンジ、プリーツ、指輪を連ねたネックレス、「ナイキ(NIKE)」コラボのスニーカー……。終盤に出てきたアルベルト・アインシュタイン(Albert Einstein)のTシャツにプリントされたメッセージ「本能と直感を信じる。自分は、正しいと思う時もある。でも、本当に正しいのかは分からない」というメッセージが印象的。思うままに、不安になる時もあるけれど、信じて突き進む。阿部千登勢さんの信念が滲むコレクションでした。願わくば、もっとメンズが見たいぞ!


15:05 アグ

 一昨日ローンチイベントがあった「アグ(UGG)」のスニーカーを手掛けた、アトモスの本明秀文社長にインタビュー。記事は近々にアップします!!

16:00 ディオール

 昨日のベスト、というか今のところのメンズベスト(の予感大な)「ディオール(DIOR)」の展示会へ。スゴいニュースもあるのですが、それはコチラの記事で。

 2020-21年秋冬コレクションは、一見するとシンプルですが、ものスゴく凝りまくっております。一番スゴかった、正直、今まで一度も見たことさえなかったド級のアイテムは、ミンクで作った“Gジャン”。遠目で見ると、縫製やボタンを模した線が見えてGジャンそっくりなのです。どうやって作っているのか⁉︎PRの方と一緒に考え、「まず表面をブリーチして、線を描きたい部分を少しだけカッティング。すると、ブリーチしていない黒い毛が現れ、線に見えるのでは?」との推論に達しました。正解は分からないけれど、いずれにしてもモノすごいクラフツマンシップ。「ディオール」、凄まじきです。

18:45 タカヒロミヤシタザソロイスト.

 地下鉄のストライキはだいぶ落ち着きましたが、いまだ運行本数は通常の1/5という13番線は大混雑!そして最寄駅はまさかのクローズ(モンパルナスというハブ駅なのに~!)。余裕だったハズが、結局小走りで「タカヒロミヤシタザソロイスト.(TAKAHIROMIYASHITATHESOLOIST.)」の会場にたどり着きました。

 すぐに始まるかと思いきや、1時間前にパリ市外でショーを開く予定だった「ジャックムス(JACQUEMUS)」のお客さんを待つと言います。けれど「ジャックムス」に向かった後輩オーツカによれば、ショーは55分押しで始まったとのこと……。そこから「ソロイスト.」の会場までは40分以上かかりますから、ゲストを本当に待つのであれば、ショーはまだまだ始まりません。でも、こちらも次のショーがあるワケで、正直、そんなに待ってられない……。さぁ主催者にとって、難しい判断が迫られる場面です。

 ブランドにとっては、「ジャックムス」帰りのゲストを待った方が、より多くの人の目に触れることになります。でも次のショーを考えると、どこかで決断しなくちゃいけない。一番悪いのは「ジャックムス」なワケですが、タフな決断をするのは「ソロイスト.」というなんとも可哀想な状況に。結局、ショーは45分遅れで始まりました。

 コレクションは、知ってた「ソロイスト.」よりもずっと開放的です。今季はあらゆるアイテムをプルオーバーで仕上げ、足りないラペルはストール状のアクセサリーで補うスタイルでした。

19:40 ホワイトマウンテニアリング

 「貧乏バス」で移動して「ホワイトマウンテニアリング(WHITE MOUNTAINEERING)」の会場へ。ピッティで「ラルディーニ(LARDINI)」とコラボしたカプセルコレクションを発表した時、相澤陽介さんが「今度のは、スゴいから。絶対来て!!」と熱弁を振るっていた(もちろん、参りますともw)、コレクションです。

 メロウなBGMで現れたのは、落ち葉プリントが郷愁、もしくは昔の日々を思い出させる「ホワイト」らしいレイヤード。今シーズンは「グッチ」や「ロエベ」を筆頭に、みんな子ども時代に戻っていますが、「ホワイト」もそんなカンジなのでしょうか?いずれにせよ、機能性素材の「無機的」という“短所”になりかねない特性を、郷愁が補完して、共感性を高めます。落ち葉色、ワインレッドがノスタルジックなムードをより一層引き立てますね。

 そして「アグ(UGG)」や「ダナー(DANNER)」「サッカニー(SAUCONY)」「コルマー(KOLMAR)」「ミレー(MILLET)」など、いろんなブランドとのコラボレーション。ブランドバリューを損ねず、デザインをブラッシュアップすることに長けた器用人の相澤さんならでは、です。コラボには懐疑的な人もいるかもしれませんが、こと日本人デザイナーのコラボについては、私、大賛成。日本人デザイナーはみんな器用だから、相手先にとってもメリットが大きい。何より大手に作ってもらうことにより手頃な価格帯で商品を供給できれば、消費者は嬉しいし、ブランドも海外での価格競争力がアップできる。デザイナー、コラボ相手、そしてエンドユーザー、みんなハッピーだと思うからです。

20:25 エルメス

 今日のラストは、「エルメス(HERMES)」。いつもより1サイズオーバーくらいのシルエットで、ジャケットはラペルが2重になったフェイクレイヤード。いつもよりストリートの感覚が増しています。でも、やっぱりとってもエレガント。オーバーサイズだと柔らかな素材感、つまりいいモノを正しく使っている「エルメス」の個性が光りますね。終盤は、不思議に輝く機能素材のパート。テクノ素材のようだし、ベルベットのようでもある。不思議なブルゾンに魅了され、1日が終わるのでした。