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高島屋の歴史的建造物内にホテル 大阪で百貨店とのシナジー見込む

 高島屋は20日、昭和初期の百貨店建築として国の有形文化財に登録されている大阪・日本橋の「高島屋東別館」をリノベーションオープンした。核テナントとして長期滞在型ホテル「シタディーンなんば大阪」を誘致。訪日客が増加する同エリアで、かつて百貨店として営業していた歴史的建造物を活用したまちづくり戦略を進める。

 東別館は古典様式にアールデコ調の装飾を取り入れた昭和の華やかな百貨店建築。これまで同社の事務所や倉庫、史料館のほか、外部テナントとして家具の展示場や結婚式場として利用してきたが、館全体の収益性を高めるため、賃貸面積を従来の約4倍の1万8000平方メートルに拡大した。目玉としてサービスレジデンス(滞在型ホテル)を世界で展開するシンガポールのアスコット社のブランド「シタディーン(CITADINES)」を誘致した。また史料館と自社事務所も装いを新たにした。建物の外観、大理石や天井、階段などの造作を維持しつつ、最新のデザインとコンテンツを盛り込む。

 髙島屋の村田善郎社長は「まちづくりをグループの経営方針として掲げている当社にとって、東別館はこのエリアにおける重要な拠点。周辺の黒門市場やでんでんタウンには多くの訪日客が訪れているので、ランドマークとして発信していく。(近隣にある)高島屋大阪店は現在、免税売上高が約2割を占めるが、デリバリーサービスなどホテルと一体化することで相乗効果が高まることを期待している」と話す。

 シタディーンなんば大阪は“ザ・デパートメント・ホテル”をコンセプトに、全313室を構える。キッチン、ランドリー付きの客室のほか、「キッズルーム」やキッチンとテーブルを備えた共有スペース「レジデンスラウンジ」などの施設を設けているのが特徴だ。最大2人が泊まれる20平方メートルのスタジオダブルから63〜73平方メートルのゆったりとした2ベッドルームまであり、ビジネスから家族旅行まで幅広いニーズに応える。

 運営するアスコット社は東南アジア最大規模の不動産会社、キャピタランド社傘下の企業で、世界30カ国180都市に700施設、11万4000室以上の宿泊施設を展開する(計画開発中も含む)。日本では2009年開業の「シタディーン新宿東京」を機に、東京、京都に「シタディーン」ブランドを3軒運営するほか、自社最上級ブランドの「アスコット丸の内東京」や家庭的な雰囲気のある「サマセット」ブランドも東京に3軒展開している。

 「シタディーン」ブランドについて、アスコット社のケビン・ゴー(Kevin Goh)CEOは「長期滞在にも短期滞在にもフレキシブルに対応できる物件なので、どんなお客さまでも快適に過ごしてもらえる。大阪は世界的にも注目を集めているエリアであり、旅行客のみならず2、3カ月の長期滞在をするビジネス客も見込める。実際にグローバルな企業とのネットワークがあるのも強み」という。

 シタディーンなんば大阪の利用者の訪日客比率について高島屋の村田社長は明言を避けたが、ケビン・ゴーCEOは「個人的には約60%になると予想している」と話す。日本の既存施設では訪日客が9割近くを占めるが、歴史的建造物を体験型ホテルにリノベーションした点をアピールし、日本人客も増やしていきたい考えだ。

 同時に刷新された高島屋の史料館は約1500平方メートルのスペースに美術品、百貨店に関する史料、創業家文書など約5万点を収蔵する。「高島屋の歴史を振り返るアーカイズフスとして重要な経営資源であり、将来の百貨店のあり方を発信、共有していく活動拠点と位置付けている」(村田社長)。

 東別館はもともと松坂屋の店舗として1928年から37年にかけて建設された。66年に松坂屋が天満橋に移転したため、竹中工務店の所有を経て、69年に高島屋が取得した。クラシックな内観を利用して、映画やドラマのロケ地にもなっていた。

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