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「スポティファイ」も注目する16歳のバイリンガル・シンガー、エマ・ウォーリン ベールを脱いで世界へ羽ばたく

 エマ・ウォーリン(Emma Wahlin)をご存知だろうか。オランダを拠点とする人気DJ・プロデューサーデュオのシック・インディビジュアルズ(SICK INDIVIDUALS)が2018年にプロデュースした「Can’t Have」を、姿を隠したまま突如リリースすると、その透き通るような歌声からたちまち注目を集めることとなった女性シンガーだ。

 彼女は日本をはじめさまざまな国にルーツを持つ多国籍シンガーで、現在ロサンゼルスを拠点に活動する16歳。「Can’t Have」のリリース後には「スポティファイ(Spotify)」が注目の新人をピックアップする毎年恒例の企画「Early Noise 2019」に選ばれ、ストリーミング再生で400万回を超えるヒットとなった2ndシングル「Make A Move」などいくつもの楽曲をリリースするも、依然として姿を隠しながら活動を続けていた。しかし昨年夏、エマ本人が出演する新曲「Technicolor」のミュージックビデオを公開。美しい顔立ちはもちろん、それまでのミステリアスなイメージから一転してカラフルな映像美もあり話題となった。

 日本国内における知名度は現時点ではそう高くない新星だが、その歌声と歌唱力は一度耳にすればとりこになるだろう。昨年末に一時帰国したタイミングで、2003年生まれの若き才能がシンデレラストーリーを歩むことになったきっかけから、素顔を伏せていた理由、今後の展望までを聞いた。

WWD:さまざまな国にルーツがあるそうですね。

エマ:父親がスウェーデン人で母親が日本人ですが、父親はアメリカなどいろいろな国がミックスしているそうなので、詳しいルーツは自分でも分からないんです。

WWD:現在拠点とするロサンゼルスに移り住んだのは、両親の仕事の関係ですか?

エマ:幼い頃から父親が仕事で海外を飛び回っていたのでいろいろな国を訪れていますが、アメリカへの移住は自分で決めました。ミュージシャンになりたかったので、どうしても通いたかったアートスクールで学ぶために14歳からロサンゼルスに住んでいます。寮生活なのでご飯を出してもらえるんですが、日本食が好きなので自分で作ることが多いですね。1番好きな食べ物はうどんです(笑)。

WWD:ミュージシャンは幼い頃から目指していたんですか?

エマ:何歳から目指していたかは覚えていないんですが、小さい頃からバレエやヒップホップ、ジャズ、コンテンポラリーなどのダンスを習っていたところ、友達が「ミュージカルをやる!」と言い出したので私もやってみたら、歌が好きということに気付いたんです。それから歌の道に進むことを決めました。

WWD:影響を受けたアーティストは?

エマ:ずっとセレーナ・ゴメス(Selena Gomez)が好きで、このインタビューの前にも聴いていたので1番影響を受けていると思います。あとはクリスティーナ・アギレラ(Christina Aguilera)と、最近はメラニー・マルティネス(Melanie Martinez)をよく聴いていて、スタイルが好きなんです。同世代なので、ビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)も気になる存在ですね。

WWD:作詞作曲には興味はありますか?

エマ:なかなかやる機会がないんですが、作詞はiPhoneのメモ機能にかなりの量をためています。自分の感情に素直になって、主に英語でメモしていますね。1人でいるときによく思いつくんですが、寂しい思いをしているときに1番筆が進みます。

WWD:これまで発表している曲は全て英語の歌詞ですが、日本語の歌をリリースしたい気持ちはありますか?

エマ:今のところ考えていませんが、英語の歌詞の中にアクセントとして日本語が入っているのはいいかなと思っています。

WWD:他のアーティストでも同様に、iPhoneのメモ機能で作詞しボイスメモにメロディを残すと聞いたことがあります。

エマ:私もボイスメモを使いますね。シャワーを浴びているときに適当に歌っていると、「あ、これだ」ってなることが多いので、急いで出てボイスメモに録音します(笑)。

WWD:さまざまな国にルーツを持ち、幼い頃から海外を飛び回っている経験は音楽活動に影響を与えていると思いますか?

エマ:日本だけでなにかを感じるよりも、いろいろな場所を訪れてさまざまな考えを持つ人たちやカルチャーと触れてきたことで、モノの見方や聴き方が違うのかなとは思います。固定観念というのを持たず、偏見もないですね。

WWD:デビューのきっかけを教えてください。

エマ:以前は違う事務所にいたんですが、海外でアーティストとして活躍するためにはどうしたらいいか悩んでいたら現在のマネージャーと出会う機会があり、13歳から所属することになったんです。それで「1回レコーディングをしてみよう」という話になり、13歳のときに初めてレコーディングしたのが2ndシングルの「Make A Move」でした。3rdシングルの「Who I am」と未発表曲の全3曲を3日でレコーディングしたんですが、当時は自分の音楽が世界に発信されるなんて思ってもいなかったので、今の状況にびっくりしています。デビュー曲の「Can’t Have」はそれからしばらくしてレコーディングしたんですが、「Can’t Have」でデビューしたかったのでわがままを聞いてもらいました(笑)。

WWD:最新曲「Technicolor」のMVまでは素顔を伏せていましたが、その理由と解禁の訳は?

エマ:学校の友達にバレるのが恥ずかしかったので、事務所に嫌だと言っていたんですが、気にしなくなったので解禁しました(笑)。

WWD:ファッションが好きだということですが、どういったスタイルが好きですか?

エマ:今日は全身ブラックなんですけど、最近はパステルカラーの洋服が気になっていますね。というのも、前まではストリート系が好きだったんですけど最近は自分なりのかわいい路線に系統を変えたくて、学校にいるときはピンクやパープル、オレンジを取り入れた服装をしています。アートスクールなのでファッション学科の友人も多く、彼らからはよく刺激を受けていますね。

WWD:好きなブランドはありますか?

エマ:「アクネ ストゥディオズ(ACNE STUDIOS)」と「ジバンシィ(GIVENCHY))」で、ビジュアルにいつか起用されてみたいですね。「シャネル(CHANEL)」とは何かしらで協業するのが夢です。

WWD:ヘアメイクのこだわりは?

エマ:メイクは洋服と同じようにパステルのピンクやレッド、あとはブラウンのものをよく使います。「Technicolor」のMVの際は、初めて自分が出演するということもあって希望を全然言えなかったのが心残りです(笑)。

WWD:ビジュアルを解禁したことでライブを開催することも多くなると思いますが、ライブ衣装のイメージはありますか?

エマ:普段とは違う、ちょっと派手な衣装を着てみたいですね。

WWD:今後の活動目標を教えてください。

エマ:「誰っぽくもない、これがエマ・ウォーリン」という、かわいくてゴージャスでどこかミステリアスなアーティストになれればいいなと思っています。実は作曲も始めているので、作詞とあわせて仕上げるのが近々の目標です。あとはダニエル・シーザー(Daniel Caesar)やレーロと一緒に曲を出してみたいですね。