
帝人は2026〜28年度の中期経営計画で、帝人フロンティアを核とするアパレル&インダストリーズ(=旧繊維製品事業、以下A&I)」事業を全社成長の柱に据える。売上収益3501億円、事業利益171億円(25年度)のA&I事業の業績を、2028年度には売上収益4900億円、事業利益220億円、ROIC10%を計画する。全社事業利益目標600億円のうち約37%をA&Iが占める想定になる。また、売上収益を約1400億円を積み増すだけでなく、「全社的に、A&Iが推進してきた『顧客起点型ビジネス』とアセットライト戦略を全社にも広げる」(内川哲茂社長)考え。
今回の中計では「確実に成長できる分野に投資する」(内川社長)方針を鮮明に打ち出した。「過去20年を振り返ると、大型投資と減損を繰り返してきた。今回の中計策定時には、役員間でも相当議論した。そうした中で生まれてきたのがA&Iと在宅医療事業が推進してきた『顧客起点型ビジネス』だった」という。その上で、「新しい分野を切り開くというより、すでに勝ち筋が見えている事業をロールアップしていく」と説明。「自社の強みが生きる領域周辺へ“染み出す”形で事業拡大を図る」。新中計では成長投資として3年間で1850億〜1900億円をM&Aとデジタルに投じる。ここでもA&I事業は重点投資分野になる。
また、同社は今後3年間について、「アセットヘビーからアセットライトへ転換する期間」と定義。売上拡大よりも利益重視へ軸足を移す。実際、中計最終年度の全社計画は売上収益1兆円、事業利益600億円、ROE10%、ROIC8%を掲げ、収益性改善を強く意識する。
中でも注力するのが、スペシャリティマテリアルズ(旧アラミド・炭素繊維・複合成形材料)事業の事業モデルの変革だ。帝人は24年度に945億円、25年度に889億円の減損損失を計上した。設備の休止・減損などを含めた構造改革を終え、次の3カ年で「A&Iをモデルに事業モデルの改革を進める」。
最終赤字が880億円、アラミドの減損響く 26年3月期
帝人の2026年3月期連結決算は、アラミドや炭素繊維などマテリアル事業の苦戦と減損損失の計上により、最終損益は880億円の赤字(前期は283億円の黒字)となった。
繊維・製品事業の売上収益は3501億円(前期比0.5%減)、事業利益は171億円(同4.2%減)だった。北米向けテキスタイルや国内・中国向け衣料品が伸長したものの、中国向けテキスタイルでは前年度の前倒し出荷の反動減などで売り上げは前年並みだった。本社費の増加で減益となった。四半期ベースでは、1〜3月期は前期比57億円増の915億円、事業利益は同12億円増の39億円と好調だった。
26年度は、繊維・製品を再編した新セグメント「アパレル&インダストリーズ」として開示する。売上収益は4000億円(前期比499億円増)、事業利益は190億円(同19億円増)を見込む。
衣料繊維では北米や中国向けテキスタイル・衣料品の増加に加え、旭化成アドバンスとの経営統合効果が26年度下期から段階的に寄与するとしている。