ビジネス

暑気を商機に!「WWDJAPAN」は「サマーテック」を提唱します

酷暑が、ビジネスを変えている。気象庁のデータを引くまでもなく、日本の夏はもはや「暑い季節」ではなく「命に関わる季節」だ。消費者の行動も、確実に変わった。日傘を指名買いし、外出のたびに日焼け止めを塗り直し、着るだけで体感温度が下がるウエアをSNSで探す。「夏を乗り越えるための買い物」が、ファッションとビューティ市場でひとつの巨大カテゴリーとして輪郭を帯びてきた。

ところが、それらを束ねる言葉がまだない。服やファッション雑貨、日焼け止めや制汗スプレー、ハンディファン——それぞれが縦割りの棚に並び、別々の売場で展開され、バイヤーも編集者も異なるカテゴリーとして扱ってきた。しかし消費者の頭の中では、とうにひとつの目的のもとに束ねられている。「この夏を、どう快適に生き抜くか」という、極めて切実なニーズだ。

それらをまとめる言葉として、「WWDJAPAN」は「サマーテック」を提唱する。サマーテックとは、夏の暑さに対応する機能やテクノロジーなどを搭載した服・コスメ・グッズの総称だ。UVカット率99.99%の日傘も、紫外線に反応してプロテクト膜を強化する日焼け止めも、半導体を使った直冷ウエアも、3つの冷却機能を備えたパーソナルファンも——すべてサマーテックである。カテゴリーはまたぐ。しかし目的はひとつ。「暑いからこそ、売れる」商品群だ。4月27日・5月4日合併号「WWDJAPAN」でも、サマーテック特集を組んだのでぜひご覧いただきたい。

4月27日・5月4日合併号「WWDJAPAN」のサマーテック特集はこちら
【サマーテック】一覧記事はこちら

「猛暑だから売れない」を覆す
ワークマンの「着る遮熱」

この発想の転換を、最も鮮やかに体現している企業のひとつがワークマンだ。ファッション業界には「暑いと服が売れない」という考え方が強い。ある種、当然のことだ。暑いと薄着になり、薄着だから販売点数が減り、点数が減るから売上が落ちる——という負の連鎖に陥るからだ。ワークマンはその前提を、断熱素材を軸にした「着る遮熱ウエア」という発想でひっくり返した。遮熱素材「エックスシェルター」を用いたウエアを筆頭に酷暑対策商品を大幅に拡充し、2026年は合計760万点・298億円の販売を計画する。土屋哲雄専務の言葉は明快だ——「災害級の酷暑だが、ワークマンにとっては絶好の商機になる」。暑いから着ない、ではなく、暑いから着る。その逆転が、新しい市場を生んだ。

言葉が市場を作る、という側面がある。「サステナビリティ」という言葉が定着したとき、それまでばらばらに語られていたオーガニックコットンも、リサイクル素材も、フェアトレードも、ひとつの大きな潮流として束ねられた。売場が変わり、特集が組まれ、消費者の意識が変わった。「インナーケア」「スキンバリア」「アウトドアライフスタイル」も同じだ。言葉が生まれることで市場に輪郭が生まれ、輪郭が生まれることで予算が動き、棚が動き、人が動く。

ワークマンだけではない。リファが「ビューティ日傘」という美容視点の新ジャンルを提案し、花王が暑熱ケア事業でBtoBビジネスを本格始動させた。繊維メーカーとビューティブランドが手を組み、「日傘はセカンドスキン」という発想で服とコスメの境界線を溶かそうとしている。世界No.1のハンディファンブランドが日本市場に参入し、海外サンケアブランドの上陸も相次ぐ。個別に見ればそれぞれのブランドニュースだ。しかし「サマーテック」という文脈で束ねると、ひとつの大きなうねりが見えてくる。

バイヤーはどう動くべきか。ブランドはどうコミュニケーションを設計すべきか。編集者はどう特集を組み、売場担当者はどう棚を構成すべきか。「サマーテック」という共通言語があれば、答えははるかに出しやすくなる。ファッションとコスメが同じ文脈で語られ、「暑さに勝つ」というひとつのメッセージで棚が括られる売場は、もうすぐそこまで来ている。

もうひとつ、重要な視点がある。サマーテックは「守り」の消費ではなく、「攻め」の消費だということだ。花粉症対策グッズが義務感で売れるのとは違う。最新の遮熱技術を搭載したウエアや日傘を選ぶとき、消費者は「しょうがないから買う」のではなく、「これがいい」と指名している。機能への欲求が審美眼と結びついている。だからこそ、サマーテック市場はプレミアム化の余地が大きく、ブランドにとっての戦略的優先度は高い。

暑い夏は、来年も再来年も続く。それを「仕方ない」と嘆くのか、最大の商機と捉えるのか。サマーテックは、後者を選んだ企業やブランドのための言葉なのだ。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

色で着崩すクラシック 2026-27年秋冬ウィメンズリアルトレンド特集【WWDBEAUTY付録:2026年上半期ベストコスメ発表】

「WWDJAPAN」6月22日発売号は、「リアルトレンド」ウィメンズ編です。国内アパレルやセレクト各社の2026-27年秋冬の打ち出しを一挙に紹介。シーズンのトレンド傾向から「今っぽい」をかなえるスタイリング術までを読み解きます。今季のキーワードは、「クラシック」と「エレガンス」。多くのブランドが、端正なジャケットを主役にしたトラッドスタイルをベースに、独自の解釈を加えた提案に挑戦しています。また…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。