生成AIの進化によって、企業の競争環境は大きく変わりつつある。AIが業務や顧客接点に入り込む中で、企業は何を判断軸に意思決定すべきなのか。計画が機能しにくい時代において、経営者に求められる役割とは何か。デジタル戦略のエキスパートである藤原義昭300Bridge代表取締役が、AI時代の経営のあり方を語る。(この記事は「WWDJAPAN」2026年4月6日号からの抜粋です)
初回は、AI時代に企業がまずやるべきこととして、「AIを導入すること」ではなく「AIレディーになること」が重要だという話をしました。第2回では、AIが最適解を瞬時にレコメンドする時代における店舗と接客の役割、体験設計の重要性について解説しました。
今回はその続きとして、「AI時代の経営者の役割」についてお話ししたいと思います。結論から言うと、AI時代の経営者に求められるのは、「計画を立てて実行する人」ではなく、「変化を前提に方向を示し続ける人」だと思っています。
計画は「崩れる前提」で持つ
まず大前提として、今は非常に変化が激しい時代です。特にここ2年ほどで、AIの進化によって前提条件が大きく変わりました。これまでのように「売り上げが何%伸びて、利益がこうなる」という計画を立てても、その通りに進むことはほとんどありません。実際、中期経営計画の達成は容易ではなく、相当数が未達に終わるといわれています。
ただ、それは経営者の能力が低いという話ではなく、そもそも環境が読めないものに変わっているということです。20年前であれば、ある程度の前提条件が固定されていたため、計画を積み上げていけば再現性のある成長ができました。しかし今は、前提そのものが短期間で変わってしまう。
だからこそ、計画は必要ではあるものの、「ひっくり返る前提」で持っておく必要があります。そして、定期的に見直すのではなく、もっと短いサイクルでアップデートしていく。この柔軟性が経営の基本になってきていると思います。
その上で重要なのは、「どんな未来になっているか」を想像することです。例えば2030年に、自分たちの会社や業界がどうなっているのか。顧客はどのように行動し、どのような価値にお金を払っているのか。そうした世界観を描いた上で、そこから逆算して今やるべきことを考える必要があります。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。
