1993年から上海在住のライターでメイクアップアーティストでもあるヒキタミワさんの連載「水玉上海」は、ファッションやビューティの最新トレンドや人気のグルメ&ライフスタイル情報をベテランの業界人目線でお届けします。今回は上海で注目度が上がっている北外灘(ノースバンド)地区の国華金融センターにオープンした「フルラ カーサ」について。
バッグブランド「フルラ」、家具・インテリアに進出
バッグブランドの「フルラ(FURLA)」が、家具と空間体験を通じてブランドの世界観を広げている。世界初のライフスタイル体験センター「フルラ カーサ(FURLA CASA)」が上海に登場した。ソフトオープンから半年以上が経つこの施設を知ったのは、最近イタリア人の友人に教えてもらったのがきっかけだ。「フルラ」が家具領域へ展開していると聞き、早速足を運んだ。
「フルラ カーサ」は2025年7月、上海・北外灘(ノースバンド)地区の国華金融センターにオープンした。北外灘は近年急速に開発が進むエリアで、金融機関や高級レストラン、ラグジュアリーブランドが集まる新たな拠点として注目されている。ブランド側は上海を「アジアを代表するグローバル都市」と位置付け、この地を選定した。
1927年創業の「フルラ」は、レザーグッズブランドとしてスタートし、現在ではアイウェア、時計、ジュエリー、フレグランスなども展開している。「フルラ カーサ」は、そうしたブランドの美学をインテリア空間へと広げるプロジェクトだ。家具とインテリアコレクションは、イタリアのマグニフィカット(MAGNIFICAT)社とのライセンス契約によって実現した。店舗総面積は約1500㎡で、家具展示のほかカスタマイズ可能なセミオーダーコーナーも設けられている。来店者はソファの形状や張地を選びながら空間デザインを検討できる。
施設内には「フルラ カフェ」も開設予定で、家具や空間とともにブランドの世界観を体験できる場として展開される。店舗は単なる家具販売の場ではなく、ブランドのライフスタイルを体感する拠点だ。
デザインの中心モチーフは、ブランド発祥地ボローニャの象徴的建築「ポルティコ」のアーチ状回廊。空間の各所に取り入れられ、ショールームとしての役割も兼ねる。来店者の主な顧客は、インテリアデザイナーやデザイン会社、ディストリビューター、ホテル、ヴィラ、レジデンス開発などのプロフェッショナル層だ。
フルラのエラルド・ポレット(Eraldo Poletto)CEOは、「フルラ カーサが上海に登場することは、ブランドにとって重要なマイルストーンだ」と語り、「イタリアデザインの精神とフルラ独自の美学を家具分野に取り入れることができた」と説明する。現地でインタビューをしたマグニフィカットのアレッシオ ズキノルフィ(Alessio Sghinolfi)CEOは、この空間を「フルラのDNAを受け継ぎながら、ブランド世界観を体験できる場所」と表現する。店内はカラフルでハッピーな雰囲気に包まれ、家具や空間を通じてイタリアンデザインの魅力を伝える構成だ。Alessio氏が言う通り、価格レンジはクッションで約1400〜2500元(約3万2200〜5万7500円)と、高級感を保ちながらも手に取りやすい設定。現在の消費環境においても、高品質かつ購入しやすい価格帯は、市場のニーズとマッチしている。また、フルラの強みは「クオリティと価格のバランスの良さ」にあるという。
店内では家具展示に加え、イベントも定期的に開催されている。ヨガ体験などのプログラムも検討されており、今後はさまざまな体験型イベントを通じて来店者との接点を広げていく考えだ。今後はバッグブランドとしてのフルラとフルラ カーサの双方が連動したプロモーションも予定されている。ポップアップイベントやSNSを通じた発信を強化し、ブランドの世界観をより広く伝えていく方針だ。
フルラ カーサは、家具と空間体験を通じてブランドの新たな可能性を示すプロジェクトでもある。今後は ミラノデザインウィーク(4月21日〜26日)への出展をはじめ、国際的なデザインイベントへの参加を通じてグローバル展開を進めていく予定で、日本市場についても「正しい形で参入できる機会を模索していきたい」としている。ブランド関係者は「日本からの来場者にもぜひブースに立ち寄ってほしい」と呼びかけている。
上海というグローバル都市を舞台に、フルラはファッションブランドの枠を超えた新しいライフスタイルの提案を始めている。