ファッション業界のご意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。米国の大手百貨店グループであるサックス・グローバルが経営破綻したニュースは、改めて百貨店の世界的な低迷を印象付けた。では具体的にサックス・グローバルが苦戦した本質的な理由はどこにあるのか。そこから日本の関係者が教訓にできることはあるのか。どこよりも詳しく分析する。
昨年末から連邦破産法の申請が噂されていたサックス・グローバルが米国東部時間の1月14日、連邦破産法第11条の適用を申請した。債権者から17億5000万ドルの資金を調達し、店舗の営業を続けながら再建を図るとのことだが、店舗網と人員の大規模な整理は避けられないだろう。ちなみに、現段階でニーマン・マーカスは子会社のバーグドルフ・グッドマン2店舗を含んで42店舗、サックスフィフス・アベニューはフルライン店33店舗とザ・フィフスアベニユークラブ(ノードストロム・ローカルに相当するOMOサテライト)16店舗、OFF・5TH(アウトレットストア)77店舗を展開している。
サックス・グローバルはサックスの親会社HBC(カナダの小売大手ハドソンズ・ベイ・カンパニー)が24年に同業のニーマン・マーカスを26億5000万ドルで買収して誕生したハイファッション・デパートメントストア・チェーンだが、期待したように売り上げが伸びずコストも抑制できず、買収に要した20億ドル(6億5000万ドルはアマゾンやセールスフォースなどの出資)の返済も重くのしかかり、キャッシュフローに窮して仕入れ先への支払いが遅れて商品調達が困難となり、連邦破産法の申請に至った。債権者にはシャネルやケリングからLVMHまで著名なラグジュアリービジネスが名を連ねているが、サックス・グローバルの破綻は百貨店とブランドビジネスのこれからにどんな影を落とすことになるのだろうか。
米国百貨店の劇的な凋落の実態
サックス・グローバルの破綻は業績が悪化していた同業(ニーマン・マーカスは20年5月に連邦破産法を申請して再建中だった)の無理な買収による資金繰りの悪化が直接の要因だが、米国の百貨店(「デパートメントストア」)はわが国以上の斜陽産業であり、業績の悪化した同業の買収が収益に寄与するはずもなかった。
日本の百貨店の売上総額は00年の8兆8200億円から24年は5兆7722億円と65.4%に、米国デパートメントストアと取り扱い領域を合わせたソフトライン(衣料品、身の回り品、化粧品を含む雑貨)合計売上高も00年の5兆6894億円から24年は3兆7809億円と同66.6%に減少したが、同期間に米国のデパートメントストアの売上総額は2316億7800万ドルから396億4700万ドルと、実に17.1%に激減している。
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