PROFILE: ひょうろく/芸人・俳優
ファッション&ビューティの現場で活躍する注目の“あの人”に、2025年をリアルに支えた使い倒しアイテムベスト3を聞く年末の特別連載。その選択には、今の価値観とムードがはっきりと表れる。
連載の5回目は、25年の「新語・流行語大賞」にもノミネートされた話題のピン芸人・ひょうろくが登場。バラエティーだけでなく、大河ドラマ「べらぼう」や「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」など、ドラマでも活躍するひょうろくが今年使い倒したアイテムベスト3を語る。
ひょうろくが選ぶベスト3
BEST1:
ブリーチ加工のハイウエストなブラックデニム
——まずは1つ目、デニムパンツですね。
ひょうろく:YouTubeの企画で、さらば青春の光の森田さんに買っていただいたジーパンです。表参道のマダムショップみたいなところで。いや、それは失礼かも。若者のお客さんもいらっしゃると思います。とても素敵なお店でした。
——レディースですか?
ひょうろく:だと思います。古着や雑貨も売っていましたが、これは新品で、ブランドとかは分かりません。
——タグにも「DENIM」としか書いていませんね。
ひょうろく:服を見たりするのは好きなんですけど、ブランドとかは全然分からないんですよね。生地とか着心地とか、ものが良いから値段が高いのはいいんですけど、ブランドの名前にお金を払うのが好きじゃないというか、嫌なんです。
——こちらのデニムはどのへんが気に入っていますか?
ひょうろく:とにかく生地が柔くて、すごく履きやすいんです。今年はかなり履きました。
——全体のブリーチ加工と、ダブルのハイウエストがポイントですね。
ひょうろく:え……あ、そういうのはちょっと分からないです、すみません。
——ひょうろくさんは身長も高いですが、レディースをよく着用されていますよね。
ひょうろく:身長は177センチなんですけど、レディースが多いですね。サイズが合えば、そのへんは気にしません。
——今日のファッションも、上下ともにレディースものですか?
ひょうろく:たぶんそうですね。ピチピチが好きなんですけど、色の組み合わせは分からないので、基本ズボンは黒で、上は派手な色のほうがいいかな、という感じで。変ですか?
——とっても素敵です。今のようなスタイルになったきっかけは?
ひょうろく:テレビのお仕事で知り合いのヘアメイクさんとご一緒した時に、衣装は用意されていなくて、私服で出ることになっていたので、「何か服貸してください」と言ったら、その方の私服を貸してくれたんです。それがすごく好みで、その方向で服を選んでいくうちに、だんだん今の感じになっていきました。その時、ヘアメイクさんに貸してもらった服も一応持ってきました。
——「G.V.G.V.(ジーヴィージーヴィー)」のカットソーですね。
ひょうろく:はい。これはブランドの名前も覚えました。
——好みのブランドを覚えれば、服も選びやすくなるのでは?
ひょうろく:あぁ……それは盲点でしたね……なるほど。
BEST2:
THE CHERRY COKE$のグッズ“DRUNX DAY PACK”
——2つ目は、バックパックです。
ひょうろく:THE CHERRY COKE$(ザ・チェリーコークス)さんというバンドのグッズです。今年のはじめに、これもさらばさんのつながりでいただきました。
——THE CHERRY COKE$のボーカル・カツヲさんは、グラフィックデザイナーとしても活動、さらば青春の光のツアーグッズも手がけています。
ひょうろく:あ、詳しくは分からないんですけど、たぶんそうです。
——お気に入りのポイントは?
ひょうろく:外ポケットの内側が銀色のパリパリで、保冷になっているんです。僕は保冷目的では使ってないんですけど、荒く使ってもふにゃふにゃにならない丈夫なところが気に入ってます。
——常にバッグの中に入れているものは?
ひょうろく:マスクと、口が臭くなるので口臭予防のもの。これがないと不安になるんです。
——バンドのグッズを身につけていると、ファンから声かけられたりしませんか?
ひょうろく:たまにありますね。ただそれよりも、YouTubeとかテレビに映る時も常にこのリュックを背負っているので、フードで頭を隠していても、背中でバレるんです。それで声かけられたりはしますね。
BEST3:
「tk.TAKEO KIKUCHI」のミュール
——そして3つ目は、シューズ。
ひょうろく:夏前くらいにメルカリで買いました。
——形としてはミュールですかね。
ひょうろく:え、ミュ……ちょっと分からないです。これ、サンダルじゃないんですか?
——いや、サンダルです、すみません。
ひょうろく:ドラマのお仕事をするようになり、撮影中は靴を脱いだり履いたりすることが多くて。かといって、僕のようなペーペーがサンダルで現場に行くわけにもいかないし。それで、サンダルみたいに脱ぎ履きがしやすいけど、だらしなく見えないものを探していて、メルカリで見つけました。
——レザー素材で、ヒールもあるので、きちんと見えますね。ブランド名はインソールに「ティーケー タケオキクチ(TK.TAKEO KIKUCHI)」と書いてあります。
ひょうろく:あ、そういうブランドなんですか。今初めて知りました。
——メリカリはよく利用しますか?
ひょうろく:けっこう使いますね。とにかくお店が分からないないので。
——ほかにメルカリで買ったものでいうと?
ひょうろく:今日着てきたダウンジャケットもメルカリです。スポーツブランドのほうが機能的にあったかいのかなと思って、「アディダス(ADIDAS)」を買いました。
——「アディダス」と「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」のコラボ(「アディダス バイ ステラマッカートニー(ADIDAS BY STELLA McCARTNEY)」)のやつですね。
ひょうろく:「ステラ」? 「アディダス」とは違うんですか?
——「アディダス」とブランドのコラボレーションです。
ひょうろく:あ、これブランドの名前だったんですか。「アディダス」以外にも何か書いてあるなと思ってたんですけど。へぇ、そうですか。
——定価だと9万円くらいしますよ。
ひょうろく:え〜、そんなに……。メルカリで1万5千円くらいでした。
2025年は大作ドラマにも出演
名前が「新語・流行語大賞」にノミネート
——ここからは2025年の振り返りを。どんな1年でしたか?
ひょうろく:今年はいろいろドラマにも出させていただいて、中でもやっぱり、NHKの大河ドラマ「べらぼう」と、三谷幸喜さん脚本の「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」の反響が大きかったですね。
——テレビのバラエティー番組やYouTubeとは違う?
ひょうろく:テレビだと「水曜日のダウンタウン」さん、YouTubeだとさらば青春の光さんのチャンネルが一番反響は大きいのですが、ドラマの場合は違う層の方、もっと年配の方にも見ていただけました。
——演技のお仕事は楽しくやれていますか?
ひょうろく:どうなんでしょう……。現場で監督の方に演技指導というか、「こういう感じでやってみて」と言われて、実際やってみるのですが、それを見た途端「ごめん。なかったことに」って言われちゃうんです。だから、僕の引き出しは一つしかないのかなぁって。
——それだけひょうろくさんのキャラクターが強いのかもしれないですね。
ひょうろく:よく言えばそうなんですかね。きっと脚本の段階で、僕に合わせて書いてくださってるんだろうなって思います。それしかできないので。
——現場で共演の役者さんとコミュニケーションをとったりは?
ひょうろく:「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」では、小林薫さんが店主の喫茶店で働いている店員の役なので、小林さんに「次のシーンどうしたらいいですかね」と相談したことがあるんですけど、「お前、映ってないよ」って言われちゃいました。「誰もお前のこと見てないから、気にしなくていいよ」って。
——メイクやスタイリングをしてもらう、モデルのお仕事もありました。
ひょうろく:「anan」さんと「東京カレンダー」さんですね。あれはもう、プロの方々に言われるがままで……。誌面を見たら「うわっ、かっこいい」って思ったんですけど、冷静に鏡を見たら全然違う人間が写っていたので、まぁそうだよなって。
——さらに、2025年の「新語・流行語大賞」に「ひょうろく」がノミネート。個人名としては異例ということです。
ひょうろく:あぁ……でも……正直、あんまり反響はないですね。
——ご自身として、達成感とかもない?
ひょうろく:大変ありがたいとは思うんですけど、この1年間、死にもの狂いで寝る間も惜しんで仕事した、っていう感じでもないですし。前に比べたらお仕事いただいていますけど、そこまで有名になったわけでもないですし……。
肩書きは自称「ひょうろく」
——芸人としてのお仕事が軌道に乗るまでは、アルバイトしながら?
ひょうろく:そうですね。37歳までずっとアルバイトしていて、辞めたのは2024年の夏くらいです。
——どんなアルバイトを?
ひょうろく:マッサージ師です。自分がマッサージを受けた時に、なんて気持ちがいいんだ……って感動しまして。自分もやってみたいなと。
——資格を取ったりしたんですか?
ひょうろく:いや、そういうのはしてないです。なので、お客さんから「こいつ下手だな」みたいなリアクションをされたりすることもありました。やっぱり、人にしてもらうのと、自分が人にするのは全然違うんだなって。
——今は芸人として、ネタはやらないのでしょうか?
ひょうろく:もう「お笑い芸人」というのは諦めています。肩書きは自称「ひょうろく」です。
——ブレイクのきっかけとなった、さらば青春の光とはどのように出会ったのですか?
ひょうろく:テレビとかを見ていて、さらば青春の光さんが好きだったんです。当時はまだ事務所に所属して、コンビも組んでいたんですけど、もう解散しちゃいそうで。さらばさんにお笑いについて教えてもらいたくて、とりあえず事務所に行ったんですよね。
——アポなし、面識もなし、で?
ひょうろく:はい。そうしたら、さらばさんはいなくて、マネージャーさんがいらっしゃったんですけど、ものすごい怒られまして……。「大人のやることじゃない」って。よく考えたら、いきなりアポなしで事務所へ行くのも失礼だし、悩んでいるならまず自分の所属している事務所の先輩やお世話になっている方に相談するのが当たり前なのに、それをしないで他の事務所に行くっていうのは、よくないことだって。言われてから、あとになって気がつきました。
——とはいえ、そこから交流が始まった?
ひょうろく:いや、そこから1年くらいは音沙汰ありませんでした。その後、さらばさんのYouTubeで「30分以内に事務所に来た芸人さんには自腹でギャラ1万円差し上げます」という企画があって。その時に事務所へ行ったら、マネージャーさんが覚えていてくださって。交流が始まったのはそこからです。
2026年は野生のオランウータンを見に行きたい
——来年の目標は?
ひょうろく:ない……ですね。来年と言わず、いつ仕事がなくなってもおかしくないと思って生きているので。オファーをいただけるうちはやって、なくなったらしょうがない、というか。僕はネタもないし、ライブに出たりとかもできないので、オファーが来た時しか仕事がないんです。自分から仕事を生み出すことができない。なので、今さらですけど、なんてこわい職業なんだってしみじみ思ってます。
——ネタは難しいとしても、自分発信でYouTubeをやったりは?
ひょうろく:あんまりうまくできないんですよね。営業のお仕事とかも、1分とかならまだしも、それ以上はできないのでお断りしています。こんなこと言ったら失礼かもしれないですけど、感覚としては、派遣のお仕事みたいな感じなんです。
——プライベートでやってみたいことは?
ひょうろく:野生のオランウータンを見に行きたいです。
——野生のオランウータン!?
ひょうろく:野生の猿系の動物が気になっていて。でも、ゴリラとかチンパンジーを見に行くのは難しそうだから、オランウータンなら行けるかなって。ちゃんと調べてはいないんですけど。
——何か趣味はありますか?
ひょうろく:趣味と言っていいのか分かりませんが、お風呂は好きですね。家にずっといる時は1日に何回も入ります。
——お気に入りの入浴剤があったり?
ひょうろく:そういうのはないですね。ただのお湯に何回も入ります。
——体型維持のためにやっていることは?
ひょうろく:特にないですけど、家では厚揚げをよく食べてます。厚揚げって安いんですよ。あと納豆も安いのでよく食べます。
——外食はあまりしない?
ひょうろく:自分では行きませんが、おごっていただける時は行きます。行って、お肉でもなんでもめっちゃ食べます。
——2025年に食べて、おいしかったものは?
ひょうろく:かぼちゃ。
——どんなかぼちゃですか?
ひょうろく:普通の喫茶店で食べたんですけど、ものすごくおいしくて。かぼちゃってこんなにおいしかったんだ、って感動しました。
——最後に。ファッションについてのこだわりがあれば教えてください。
ひょうろく:こだわりは……ないですね。あ、でも、外を歩く時はフードを被りたいので、フード付きの服は好きです。帽子をかぶっていると、「ひょうろくのくせに変装するんだ」的なことを言われたりするので、フードならいいかなって。
——あまりバレたくない?
ひょうろく:というか、無意識のうちにどこでモラル違反をしているか分からないので。そういう理由で身を隠しています。
PHOTOS:TAMEKI OSHIRO








