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「アディダス」とステラがサステナ素材開発企業とコラボ 古いコットン衣料を分子レベルで分解・再生

 サステイナブルな繊維素材を開発する米エヴァニュー(EVRNU)が、コットン製の古い衣料品を分子レベルで分解し、高品質な機能性素材として再生する技術「ニューサイクル(NUCYCL)」を発表した。同技術で作られた素材は再び分子レベルに分解することができるため、何度も再利用できるという。

 「ニューサイクル」技術や素材が実用的なものであることを示すため、同社はサステイナビリティーの推進に熱心なことで知られる「アディダス(ADIDAS)」と「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」のコラボコレクションである“アディダス バイ ステラ マッカートニー(ADIDAS BY STELLA McCARTNEY)”と組み、同素材60%とオーガニックコットン40%で作られたユニセックスのフーディーを50着限定で試験的に作った。「ステラ マッカートニー」がユニセックスなアイテムを作ったのはこれが初めてだ。

 こうした循環型経済に完全に組み込まれる素材を使用することで、アパレルブランドは水、土地、森林、空気などの環境に与える負荷を大幅に削減することができる。さまざまなブランドが「ニューサイクル」技術を活用できるように、エヴァニューはインターナショナルな繊維メーカーと提携し、ライセンスモデルを2020年に発表する予定だ。廃棄された衣料品を“原材料”としてよみがえらせる画期的な技術を生み出したエヴァニューの共同創設者兼最高経営責任者(CEO)であるステイシー・フリン(Stacy Flynn)に米WWDがインタビューした。

WWD:「ニューサイクル」は革命的な技術だが、アイデアはどのようにして思いついたのか。

ステイシー・フリン共同創設者兼CEO(以下、フリン):共同創設者のクリストファー・スタネフ(Christopher Stanev)と私は20~25年にわたって商業的なテキスタイル開発に携わってきたが、環境保護のためにもっとできることがあるのではないかと思い、サステイナビリティーに関する研究開発に集中することにした。物事を全く異なる視点から見ることで、今回の発明にたどり着いた。

世界中で毎年およそ5000万トンのテキスタイルが廃棄されているが、「ニューサイクル」技術はそうして廃棄された衣料品を分解し、肌触りや機能性などの面で新品と見劣りしない品質のテキスタイルとしてよみがえらせることに成功した。原材料や生産工程、どのようにリサイクルできるのかを気にする最近の消費者にも自信を持って薦めることができる。

WWD:「アディダス」およびステラ・マッカートニーとのコラボについて。

フリン:「アディダス」は本当に素晴らしい提携相手だ。初期のアイデアから何回か改善を加えているが、機能性に関する「アディダス」の高い要求に応えるべく尽力したし、彼らも何回もプロダクトテストを実施してくれた。ステラは素晴らしいデザイナーで、かつサステイナビリティーに熱心なので、夢のようなコラボ相手だった。こうして初の「ニューサイクル」製アパレルを発表することができて、とてもうれしく思う。

WWD:ファストファッションの成長とサステイナビリティーについての関心が同時に起こっていることについてどう思うか。

フリン:私がキャリアを積み始めた頃にちょうどファストファッションが台頭し始めたので、そのビジネスモデルはよく理解している。消費者の「何か買いたい」という欲求をベースとしたビジネスだが、最近の消費者は製品の生産工程やリサイクルについてなど、かつては意識しなかった事柄を気にするようになっている。現在、多くの製品は環境負荷などの要因を計算に入れていない価格で販売されているが、資源に限りがあることを考えるとそれは間違っていると思う。そうした要因を勘案した“真の価格”で売るべきだろう。

WWD:そうした“真の価格”によらない製品を選ぶ消費者をどう思うか。

フリン:“ギブアンドテイク”なビジネスモデルを構築する必要があると思う。「ニューサイクル」のような再生技術は素晴らしいものだが、低価格が全てといった価値観では、より大きな機会を失ってしまう。消費者は必ずしも多くのモノが欲しいわけではなく、仲間やコミュニティーとのつながり、地球とのつながりを求めているのではないか。そして、そうした価値観に沿った製品を求める時期にきていると思う。

WWD:エヴァニューの今後の展開について。

フリン:衣料品の再利用やリサイクルにはさまざまな方法がある。古着店に売ったりリメイクしたりといった従来の方法を促進しつつ、廃棄せざるを得ないものでも(原材料として使用されるなど)循環型経済の輪に組み込まれるようにコミュニティーなどとも連携していきたい。

アパレル業界はここ10年で大きな進化を遂げているが、衣料品のリサイクルをいっそう促進する技術がこれからの10年でさらにいろいろと出てくるだろう。当社は今後も先進的なブランドや企業と提携し、環境負荷を大幅に削減しながら、よりよい機能性素材を開発していく。“服自体がソリューション”となるようにしたい。