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グーグルが「ステラ マッカートニー」と提携 素材のサステイナビリティーが分かるツールを開発

 グーグル(GOOGLE)は「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」と提携し、ファッション業界向けに素材のサステイナビリティーを計測するクラウドツールを試験的に開発する。5月15日にデンマークで開かれた、コペンハーゲン・ファッション・サミット(Copenhagen Fashion Summit)で発表した。

 ニック・マーティン(Nick Martin)=グーグル クラウド部門リテールヘッドは、「世界の廃水量の20%、そして二酸化炭素排出量の10%がファッション業界によるものだ。これらは生産工程の中でも主に原材料の段階で発生するが、その実態をブランド側が知るすべはほとんどない」とツール開発の動機を語る。なお、これらの数値は国際連合欧州経済委員会(United Nations Economic Commission for Europe)のレポートに基づいている。

 ステラ・マッカートニーは、「私たちは、社会的責任のあるサステイナブルな方法でファッション事業を展開することに最大限の努力をはらっている。それでも完璧ではないが、これまでファッションの歴史の中で話題にならなかったことに注目を集めることができ、大変うれしく思っている」と語った。近年は環境保護や循環経済に取り組むブランドも増えてきているが、「ステラ マッカートニー」は早くから自然との共生を意識したビジネスを実践してきた、サステイナビリティーの先駆的なブランドだ。国連によるファッション業界気候行動憲章(UN Fashion Industry Charter for Climate Action)の策定をサポートしているほか、2018年にはチャリティー団体「ステラ マッカートニー・ケアズ・グリーン(STELLA McCARTNEY CARES GREEN)」を設立。環境保護に関する取り組みの支援、助成金の交付、アニマルフリーで持続可能な次世代素材の開発に対する賞の贈呈などを行っている。

 グーグルは、米コンサルタント会社カレントグローバル(CURRENT GLOBAL)や複数のファッションブランドなどとも協力し、データ収集や分析、マシンラーニングなど、グーグルクラウドの機能をベースにツールを開発する。“この国で生産されたこの原材料を使うと、これぐらいの環境負荷がある”ということをデータベース化し、分かりやすく可視化するのが狙いだ。ツールを利用することで、アパレル企業は衣服の生産によって大気汚染や温室効果ガスの排出、土地利用、水不足などにどれほどの影響を与えるのかを調査したり、素材の環境負荷を生産国別などで比較してよりよい選択をしたりすることが可能になる。

 マーティン=リテールヘッドは、まずコットンとビスコース(レーヨン)の情報を提供したいと語る。いずれもファッション業界でよく使われるが、コットンの生産は大量の水と農薬を必要とし、ビスコースは森林破壊につながるなど、環境負荷の高い素材でもあるからだ。将来的には、ほかの素材も調べられるように範囲を拡大していく予定だという。「サプライチェーンにおける環境への影響がどの程度なのかを可視化し、ファッションブランドが持続可能性を念頭によりよい原材料を調達できるようにしたい」。なお、ステラ・マッカートニーのインタビューは「WWDジャパン」5月13日号に掲載されている。