ユナイテッドアローズの2024年3月期連結業績は、売上高が前期比3.2%増の1342億円、営業利益が同5.9%増の67億円、純利益が同12.3%増の48億円だった。既存店客数を維持し客単価が同6.2%上昇したことが結果に寄与した。
売上高および営業利益は計画値に達しなかった。2023年秋冬シーズンから防寒衣料に依存しないMD計画の見直しを進めていたものの、「想定を上回る気温の変化に対応しきれなかった。加えて防寒以外のアイテムも不発だった」と松崎善則社長執行役員CEO。今期も引き続きMDをテコ入れしつつ、話題性のあるコラボレーション商品などの「今買わないと無くなってしまうというような枯渇感のある商材」に厚みを持たせる。
同社がトレンドマーケットと呼ぶ「ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)」と「ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ(BEAUTY&YOUTH UNITED ARROWS)」は都心部とインバウンドの売り上げが好調に推移した。一方でミッドトレンドマーケットの「グリーンレーベル リラクシング(GREEN LABEL RELAXING)」(以下、GLR)と「コーエン(COEN)」は苦戦が続く。商品改善を進めつつ、販促を強化していく方針だ。
25年3月期は攻めの経営 30店舗出店計画
中期経営計画2年目となる25年3月期は、組織体制を改善し攻めの経営に舵を切る。戦略の柱に掲げる業容拡大向けては今年に入りすでに、ミレニアル世代に向けたコスメブランド「ユナイテッドアローズ ビューティー(UNITED ARROWS BEAUTY)」、次世代向けウィメンズブランド「アティセッション(ATTISESSION)」、ウィメンズシューズブランド「シー ユナイテッドアローズ(SY UNITED ARROWS)」、辺見えみりをディレクターに迎えた大人世代向けウィメンズブランド「コンテ(CONTE)」をスタートさせている。松崎CEOは、21年秋にスタートした「シテン(CITEN)」はこの2年半で12億円規模に成長していると成果を語った。25年春にはミッドトレンドマーケットの分野で長期的に100億円規模を見込める新ブランドを立ち上げる計画だ。
また新規および既存事業合わせ計30店を出店予定で、期末の予想店舗数は純増26の327店舗。前期の純増3に対し、大幅増となる。優秀な人材確保のため5%のベースアップも実施する。将来的に計画しているM&Aに向けたリサーチなどを行うライフスタイル部も新設した。
海外にもビジネスを広げる。6月中旬にはタイに初出店し、バンコクの大型ショッピングモール「エムスフィア」内に「ユナイテッドアローズ エムスフィア(UNITED ARROWS EMSPHERE)」店をオープンする。25年春には中国本土への直営店出店を計画する。
連結業績予想は、売上高が前期比11.7%増の1500億円、営業利益が同8.3%増の73億円、純利益は「コーエン」の再建などに関わる先行コストを鑑みて同15.0%減の41億円を見込む。