ファッション

ジョナサン・アンダーソンが史上初の3連覇 英「ザ・ファッション・アワード 2025」

「ザ・ファッション・アワード 2025(The Fashion Awards)」が12月1日(現地時間)、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで開催され、最優秀賞にあたるデザイナー・オブ・ザ・イヤーを「ディオール(DIOR)」のクリエイティブ・ディレクター、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)が受賞した。3年連続の受賞は史上初となる。

ジョナサンは「ディオール」史上初めて、ウィメンズとメンズ、オートクチュールの全てを手掛けるクリエイティブ・ディレクターとなり、2026年春夏シーズンからコレクションを発表。創業者クリスチャン・ディオール(Christian Dior)が1947年に発表し、「ディオール」といえば多くの人が想起するバージャケットをイギリスを代表する素材のツイードで作り上げ、自らのルーツを反映しつつメゾンのレガシーにオマージュを捧げた。また、ロンドンを拠点とするシグニチャーブランド「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」は今年、ライフスタイルブランドとして刷新し、新章がスタートしている。

記録的受賞となったジョナサンは、「この一年は本当にクレイジーだった。英国ファッション評議会(BFC)は(イギリスという地を)僕だけでなく、あらゆる人々にとって自分らしくいられる場所として残してくれている。感謝したい」と語った。また、ジョナサンを「ディオール」に迎え入れたデルフィーヌ・アルノー(Delphine Arnault)=クリスチャン ディオール クチュール会長兼最高経営責任者(CEO)に対し、「僕のことを最初から信じ、仕事を“楽しい”ものにしてくれた」と感謝の意を述べた。

なお、アルノー会長兼CEOは、世界のファッション業界への“卓越した貢献”と“長年にわたり新進の才能を支援してきた功績”が認められ、今年度の特別表彰を受賞した。BFCが彼女を公式に表彰するのは今回が初めて。BFCのローラ・ウィアー(Laura Weir)CEOは、「世界のファッション産業で最も先見性と影響力を持つリーダーの一人」と評し、「創造性や教育、機会を育むことに献身的で、数えきれない才能のキャリアを切り開いてきた」と語った。アルノー会長兼CEOは「次世代の才能を支援することの重要性を示す賞で、とても光栄だ」とコメントした。

サラ・バートンやウェールズ・ボナーらが年間デザイナー賞に

ブリティッシュ・ウィメンズウエア・デザイナー賞には、25-26年秋冬から「ジバンシィ(GIVENCHY)」を率いるサラ・バートン(Sarah Burton)=クリエイティブ・ディレクターが受賞した。13年間、「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」を手掛けた後、24年9月にジバンシィ入り。創業デザイナー、ユベール・ド・ジバンシィ(Hubert de Givenchy)による歴史的なメゾンコードを現代的に再解釈したデビューコレクションで、確かな実力を発揮した。

ブリティッシュ・メンズウエア・デザイナー賞には、自身の名を冠したメンズブランド「ウェールズ ボナー(WALES BONNER)」を手掛けるグレース・ウェールズ・ボナー(Grace Wales Bonner)が受賞。アートや映画、アフリカの移民を意味するディアスポラの経験からインスピレーションを得た「ウェールズ ボナー」は、サヴィルローの名門「アンダーソン&シェパード(ANDERSON & SHEPPARD)」との協業によるテーラリングの再構築、職人技や異文化の要素を取り入れた手腕が高く評価された。なおボナーは、「エルメス(HERMES)」メンズプレタポルテ部門の新クリエイティブ・ディレクターに就任しており、来年1月にデビューする予定だ。

イギリスファッションの新世代を代表するデザイナーを称える「ヴァンガード賞」には、トルコ出身のディラーラ・フィンディコグルー(Dilara Findikoglu)が選ばれた。ロンドン・ファッション・ウイークで発表する「ディラーラ フィンディコグルー(DILARA FINDIKOGLU)」は、ダークでゴシックなムードに、パンクテイストを融合した独創的なスタイルが若者からセレブリティーまで人気で、俳優のケイト・ブランシェット(Cate Blanchett)やマーゴット・ロビー(Margot Robbie)、BLACKPINKのロゼ(Rose)やリサ(Lisa)も着用したことで知られている。

特別功労賞には、ブルネロ・クチネリ(Brunello Cucinelli)=ブルネロ クチネリ会長兼CEOと、BFC財団資金調達委員会の共同議長であり、ファッション・トラスト・アラビア共同創設者のタニア・ファレスが選ばれた。ファレスは15年以上にわたり、資金調達とメンター制度などを通じて数々のデザイナーをサポートしてきた点が評価された。

特別賞には、若手合同ショープラットフォーム「ファッション イースト(FASHION EAST)」の創設者、ルル・ケネディ(Lulu Kennedy)とラファエル・ムーア(Raphaelle Moore)が受賞。これまでにジョナサンやボナーを始め、キム・ジョーンズ(Kim Jones)やシモーネ・ロシャ(Simone Rocha)、ロクサンダ・イリンチック(Roksanda Ilincic)、マーティン・ローズ(Martine Rose)ら英国を代表する才能を輩出してきた。

モデル・オブ・ザ・イヤーには、南スーダン出身のアノック・ヤイ(Anok Yai)が輝いた。フランス版「ヴォーグ(VOGUE)」の表紙を飾り、「ヴェルサーチ(VERSACE)」や「アライア(ALAIA)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」のキャンペーンに抜擢されるなど、ファッションシーンを彩る今年の顔となった。

また、ファッションクリエイター部門のイザベラ・ブロウ賞には、世界のファッション産業への高い貢献を評価され、「ドーバー ストリート マーケット(DOVER STREET MARKET)」を手掛けるコム デ ギャルソン インターナショナル(COMME DES GARCONS INTERNATIONAL、以下CDGI) の川久保玲「コム デ ギャルソン」デザイナーとエイドリアン・ジョフィ(Adrian Joffe)CDGI CEO兼ドーバー ストリート マーケット(DSM)CEO、ディコン・ボーデン(Dickon Bowden)=DSMグローバル副社長が選出された。

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