毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2025年10月27日号からの抜粋です)
横山:中国専門ジャーナリストの高口康太さんと上海在住のヒキタミワさんの連載を担当していて、ファッション&ビューティからビジネス、テック系、ライフスタイルまで、アグレッシブでときに面白い中国のネタが飛んでくるんですよ。その一方で日本で話題になるのはインバウンド消費としての切り口が多くて、さらに中国のファッションやブランドってあまり入ってこないな、と。そんな「新しい中国」をもっと知ってほしいというのが中国特集企画のきっかけでした。
黄:上海発の「シュシュトン(SHUSHU/TONG)」や、中国出身でアメリカ育ちのデザイナー、ヴィヴィアーノ・スー(Viviano Sue)が手掛ける「ヴィヴィアーノ(VIVIANO)」などは、いわゆる“ザ 中国ブランド”とは異なるので、皆さんに新しい知見や視点を与えられる特集になればうれしいです。
横山:先行して日本市場に進出したブランドとしては「アイシクル(ICICLE)」や「JNBY(ジェイエヌビーワイ)」があるけど、あまりうまくいかず、実質撤退しています。今ラフォーレ原宿で長期のポップアップをしている「ウーヤー」も含め、質も価格もアフォーダブル・ラグジュアリーにハマる。その意味で今こそ可能性がありそう。ただ、中国ってECがめちゃくちゃ進んでいて、逆に日本の店舗先行型の市場だと相性が良くないブランドも多いかも。
個人ブランドこそ、まさに中国らしい
黄:そのあたりのブランドは高額で、若い世代が身にまとうイメージではないです。逆に僕にとっては、タオバオで売っている個人ブランドこそ、まさに中国らしいです。今っぽさがありつつ、価格も安い。中国では誰もが知っている「シンプルプロジェクト」や「クライングセンター」は、インスタでも発信していて、多分、言われなければ中国発とは分からないんじゃないですかね。
横山:オシャレだし、すごく面白いよね。ストリート系の中国ブランドを扱う都内の店もコミュニティー感があるし、特集第2弾をやろうよ!
黄:キム・ジョーンズ(Kim Jones)が「波司登(ボシデン)」の新ラインのクリエイティブ・ディレクターを務めるというニュースも飛び込んできました。中国ファッションはこれからさらに面白くなると思います。