アメアスポーツジャパンのアウトドアブランド「アークテリクス(ARC'TERYX)」は、東武百貨店池袋店(豊島区)に30日に開く直営店を関係者に公開した。売り場面積は528平方メートルで国内最大規模。ブランドストアとしては珍しい百貨店への出店によって、池袋沿線の消費者、とりわけ百貨店の外商客を取り込む。
店名は「アークテリクス 池袋東武ブランドストア」。東武百貨店池袋店1階の「ギャップ」跡地(「ギャップ」は1・2階で営業していたが、2階に集約)に立地する。周囲に「グッチ」や「ボッテガ・ヴェネタ」などの高級ブランドが並ぶ場所だ。1フロアにアパレルからシューズ、バックパックなどをフルラインナップで並べるとともに、さまざまなイベントを開くコミュニティスペース、国内で3店舗目となる製品修理やケアの窓口「リバード サービスセンター」を置く。
椅子やテーブルを常設するコミュニティースペースは、普段はくつろぎながら接客し、定期的に登山家などを招いてワークショップを開く。「リバード サービスセンター」は破損した服やギアの修理をしたり、ケアの相談を受けたり、奥にある最新鋭の洗濯・乾燥機で預かったウエアをクリーニングしたりできる。「アークテリクス」でブランドヘッドを務める高木賢氏は「東武百貨店と話し合い、物販だけでなく、コミュニティーやカルチャーの拠点になる店舗を目指した」と説明する。
アウトドアアクティビティーに伸び代
「アークテリクス」は成長が続いている。日本国内の売上高は公開していないが、コロナ前の2019年に比べて25年は2倍以上の規模に成長したという。主力のシェルジャケットだけでなく、最近はバックパックやシューズが人気を集める。「昨年は(計画以上に売れたため)アウターの供給が間に合わず、品不足でお客さまに迷惑をかけてしまった。今年はグローバルの供給網を活用して安定供給できたため、売り上げも順調に伸びている」と高木氏は話す。
大都市の路面一等地や人気の商業施設に出店するブランドストアは、東武百貨店池袋店を含めて全国に18店舗あり、ブランドの世界観を伝える役割を果たしている。ブランドストアの訪日客の購買比率は、場所にもよるが平均しても約6割と高い。ジャケットの平均販売価格は7万円弱。訪日客にとってはハイブランドほど高くはないため、安定して売れている。
今後の課題はアウトドアアクティビティーを楽しむ国内客をもっと開拓することだ。無駄を削ぎ落としたミニマルな機能美で支持を集めるが、約8割が普段着やファッションとして買い求めるという。登山やスキー、キャンプといった実際にアウトドアアクティビティーを行う人たちの伸び代が大きいと見る。