本特集冒頭で掲げた「目指せ!循環ファッション」という呼びかけに、最後に自答したい。循環の実現は、個別の企業努力だけではできない。原材料、技術、マーケティング、そして行政の制度設計まで巻き込む総合的な取り組みでなければ、生活者を巻き込んだ実装には至らない。言い換えれば、バトンを手渡すように知恵と責任をつなぐ共創のあり方が問われている。(この記事は「WWDJAPAN」2025年9月29日号からの抜粋です)
国内外で進む循環型経済への移行
本号の表紙ではコミュニティーの象徴として、メッセージトートバッグを主役にした。また特集に登場した多くの方に赤・青・黄のバトンを持ってもらった。循環という未踏のルートを走り抜け、次の世代へ確実に渡すには、多様な担い手がリレーを成立させる協調が不可欠だからだ。
サステナビリティという大きな旗の下で、私たちが具体的に取り組むべきは「循環」である。日本は2024年8月、「第五次循環型社会形成推進基本計画」が閣議決定され、循環経済への移行を国家戦略として正面から打ち出している。つまり、国全体がすでに循環型経済への移行を不可逆的な方向性として定めている。ファッション産業もこの大きな潮流の中で、主体的に関与していかなくてはならない。他国の取り組みを見れば、この潮流が国際的に共有されていることもよく分かる。 欧州連合は22年に「サステナブルかつ循環性を持つ繊維戦略」を策定し、エコデザイン規制やデジタルプロダクトパスポート制度を通じて、耐久性・修理・リサイクル可能性を企業に義務付けようとしている。国際的な動きに照らせば、日本が、そしてファッション産業が迅速に枠組みと技術を整備する必要性は一層明らかだ。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。
