ファッション

パジャマを普段着として着るには? 寝室の外で着る“デイジャマ”という選択肢

自宅でのくつろぎを象徴するパジャマが、今季はストリートスタイルの主役に躍り出ている。今やボクサーパンツは街中でテーラードブレザーから顔を覗かせ、爽やかなリネンのパジャマは寝室からブランチへ驚くほど簡単に場所を移している。

ランウエイでは、「マイケル・コース(MICHAEL KORS)」や「ミュウミュウ(MIU MIU)」、「ザ・ロウ(THE ROW)」などが、スリップドレスやローブ、パジャマにジャケットやアクセサリーを合わせるルックを提案し、“ベッド・コア”を広めてきた。また、ケンダル・ジェンナー(Kendall Jenner)やベラ・ハディッド(Bella Hadid)らセレブリティーもパジャマを着こなし、2025年にこのトレンドを新たな段階に押し上げてきた。一方で、「クインス(QUINCE)」や「マジックリネン(MAGICLINEN)」、「ククー インティミテート(COU COU INTIMATES)」、「デイジ スタジオ(DEIJI STUDIOS)」などルームウエアを中心に取り扱うブランドは、自宅から外出先までシームレスに着こなせるリネンとポプリン素材のセットアップを制作してきた。

セレブのスタイリストも賛同するパジャマルック

 

俳優のミリー・オルコック(Milly Alcock)やナオミ・ハリス(Naomie Harris)らを担当してきたスタイリストのホリー・ホワイト(Holly White)は、「楽しさ、リラックス感、スマートさ、カジュアルさ、昼用、夜用など、パジャマを自分らしく着こなす方法はたくさんある」と話す。俳優のジョセフ・クイン(Joseph Quinn)やベラ・ラムジー(Bella Ramsey)、サラ・ポールソン(Sarah Paulson)らのスタイリスト、ファビオ・イミディアート(Fabio Immediato)は、パジャマルックには大賛成で自らも数点所有しているといい、「クリーンでシンプル、お財布にも優しい」と話した。

サッカー選手のアレックス・モーガン(Alex Morgan)を担当したジャスミン・カッカモ(Jasmine Caccamo)にとっては、このトレンドは衝撃的だったという。「最初、皆もう諦めてしまったのかと思ったけれど、これは戦略的で洗練された“だらしなさ”なのだと気付いた。“着替えようと思えばできるけど、わざわざする必要ある?”っていう感覚だ」と語った。カッカモは、パジャマトレンドを“快適さが起こしたクーデーター”だと表現し、「“洗練された部屋着”はもはや矛盾するものではなく、1つのライフスタイルになった。“デイジャマ”(デイ=日中に着るパジャマ)は、昼寝もできてSNS映えもする。今は見た目のセンスも妥協せず、エフォートレスで快適なものが求められている。さらに、レトロブームの波も根強い。ビンテージのシルクのパジャマセットや、雑誌『プレイボーイ』を創刊したヒュー・ヘフナー(Hugh Hefner)風のローブ、ゆったりしたツインセットは、怠惰でありながらもグラマラスなスタイルを再発見させてくれる」と話した。

コロナ禍を経て“内と外”の境界が曖昧に

 

パジャマルックの登場は2010年代に遡る。ウクライナのファッションブランド「スリーパー(SLEEPER)」やロンドン発の「オリビア・ボン・ヘール(OLIVIA VON HALLE)」が提案したウエアはラグジュアリーでありながら実用的だとして注目を集めた。また2015年のメットガラでは、デザイナーのジェナ・ライオンズ(Jenna Lyons)がパジャマルックを着用した。

コロナ禍では部屋着と普段着の境界がより曖昧になり、ファッションにより快適さを求める方向にシフトしていった。

アイリーン・フィッシャー(Eileen Fisher)=「アイリーン フィッシャー(EILEEN FISHER)」創業者は、「スリープウエアは2020年やコロナ以前から開発されていたが、家庭と“外の世界”の境界が曖昧になったきた今、このトレンドはぴったりのタイミングだ。もう家でゆっくりできなくても、せめて快適で、かつきちんとした格好はしていたいと思う」と話す。

対面での活動が戻ってきたとはいえ、ファッションのカジュアル化は続いている。スエット素材のジョガーパンツやスポーツウエアを用いたアスレジャースタイルではなく、“デイジャマ”の人気が高まっているのだ。

パジャマを着こなすためのアドバイス

 

スタイリストのホワイトは、「パジャマを使ったルックは、ただベッドから起き上がった状態よりもシックで上品に感じられるべきだ。私なら、カーキやバーガンディー、ネイビーやキャメルなどミュートな色合いにして、モノクロかストライプの柄を選ぶ」という。

イミディアートは、トレンドを分析して、娯楽にも職場にも適したアイテムを選ぶように勧める。「最強のパジャマアイテムを選んで、それを中心にコーディネートして、カラーは同じシェードに留めて」と話し、素材はシルクかコットンだと強調した。インスピレーションを得る理想的な例には、「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」や「アミ(AMI)」、「オフィシン ジェネラル(OFFICINE GENERALE)」をあげた。

 

さらにホワイトは、生地とアクセサリーが鍵だと付け加えた。「フラットなバレエシューズや低めのヒール、ゴールドのチャンキーネックレスやカフを足してみて」と勧め、「オリビア・ボン・ヘール」や「ウィズ ナッシング アンダーニース(WITH NOTHING UNDERNEATH)」、「スリーパー」をおすすめブランドにあげた。

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