情報筋の話によれば、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の傘下ブランドである「フェンディ(FENDI)」は、ウィメンズの新たなアーティスティック・ディレクターの候補として、「ウィリー チャヴァリア(WILLY CHAVARRIA)」のウィリー・チャヴァリア創業デザイナーと面談を行ったようだ。
2020年9月から「フェンディ」のオートクチュール、ウィメンズ、ファーコレクションを手掛けていたキム・ジョーンズ(Kim Jones)前アーティスティック・ディレクターは、24年10月に退任。これに伴い、同ブランドは後任を探すため、24年12月に「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」を去ったジョン・ガリアーノ(John Galliano)や、やはりLVMHが擁する「ディオール(DIOR)」のウィメンズを25年5月まで率いたマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)、6月に「マルニ(MARNI)」を離れたばかりのフランチェスコ・リッソ(Francesco Risso)らさまざまなデザイナーと面談をしているといわれている。「フェンディ」に10年在籍し、その後「ヴァレンティノ(VALENTINO)」を長年にわたって率いたピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)も候補の一人として名前が挙がっていたようだが、同氏はケリング(KERING)が擁する「バレンシアガ(BALENCIAGA)」の新たなクリエイティブ・ディレクターに7月10日付で就任する。
なお、後任の選定はまだ予備的な段階にあると見られている。本件に関し、チャヴァリア創業デザイナーからのコメントは得られなかった。
「フェンディ」は創業100周年
1925年創業の「フェンディ」は、今年100周年を迎えた。2月に発表した25-26年秋冬コレクションでは、フェンディ家の3代目で現在はメンズとアクセサリーを手掛けるシルヴィア・フェンディ(Silvia Fendi)=アーティスティック・ディレクターがウィメンズも担当し、合同ショーを開催。6月の26年春夏ミラノ・メンズ・ファッション・ウイークへの参加は見送ったものの、9月には再びメンズとウィメンズの合同ショーを行う予定となっている。
チャヴァリア創業デザイナーについて
チャヴァリア創業デザイナーは、1967年カリフォリニア州フレズノ郡生まれ。メキシコ系アメリカ人の父を持ち、農業に従事する移民の多い地域で育ったという。20代でサンフランシスコに移り、アカデミー・オブ・アート大学(Academy of Art University)でグラフィックデザインを学んだ。99年に「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」で働き始め、その後「アメリカンイーグル アウトフィッターズ(AMERICAN EAGLE OUTFITTERS)」のデザイン・ディレクターに。2015年、自身の名を冠したブランド「ウィリー チャヴァリア」を立ち上げた。21年には、「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」のデザイン部門シニア・バイス・プレジデントに就任している。
メキシコ系アメリカ人としてのルーツやそのカルチャーを表現した大胆なスーツや、洗練されたワークウエアに定評があり、22年にはアメリカファッション協議会(COUNCIL OF FASHION DESIGNERS OF AMERICA、CFDA)による「CFDAアワード(CFDA Awards)」のメンズウエア・デザイナー部門のファイナリストに選ばれ、23年と24年には同部門のグランプリを受賞する栄誉に輝いた。また、フランス国立モード芸術開発協会が主催する25年の「ANDAMファッション・アワード(ANDAM Fashion Award)」ではファイナリストに選出されている。