ファッション

「フレイ アイディー」が上質ラインで百貨店開拓に本腰 価格帯は通常品の3倍

 マッシュスタイルラボの「フレイ アイディー(FRAY I.D)」は、コートやジャケット&パンツのセットアップなどテーラードアイテムが中心の上質ライン“ハイクオリティーライン”を、全国の主要百貨店など12店舗で11月下旬に発売する。ブランドの強みである女性のボディーラインを美しく見せるパターンやデザインとともに、インポート素材と国内縫製で高級感を追求する。価格帯は通常ラインの約3倍と強気だが、百貨店販路のさらなる開拓を視野に「ブランドを新たなステージへ進める」(春日田彩子ディレクター)と前を見据える。

 ファーストコレクションは全7型。主役として推すのはイタリアの老舗テキスタイルメーカー「マリーニアンドチェッコーニ(MARINI&CECCONI)」のカシミヤ・ウールを使ったコート(15万7300円)。二重織する際の生地の接合糸にはシルクを使用するなど、見えない部分まで上質な仕様だ。テーラードジャケット(8万5800円)とパンツ(4万9500円)のセットアップは尾州ウール100%。ツイードジャケットは英リントン社のファンシーヤーン生地、ブラウスは伊エティック社の高級シルクタフタ素材といった、国内外の選び抜かれた素材を使用している。

 これまで「フレイ アイディー」はファッションビルを主販路に20〜30代女性の支持を得てきたが、“ハイクオリティーライン”をフックに百貨店顧客の40代を狙う。競合として意識するのは、百貨店のコンテンポラリーゾーン(ラグジュアリーとキャリアの中間程度の価格帯)に売り場を構えるブランドだ。「目の肥えたお客さまに手に取っていただくには、どこへ着ていっても恥ずかしくない品格が備わっていることが大前提。その上で私たちがお客さまの声を取り入れながら磨き上げてきた、女性の体を美しく見せるデザインやディテールで差別化したい」。ウールカシミヤコートは肩の稜線やウエストのシェイプなどの調整を重ね、「体型を『隠す』のではなく、美しく『見せる』シルエット」を追求するとともに、表面はショートビーバー(起毛)仕上げでカシミヤのツヤを一層引き立てた。ツイードジャケットはラメ混の素材と金ボタンが華やかなムードを演出する。

「この世にない服を作る」
ブランドの“原点回帰”

 “ハイクオリティーライン”は立ち上げからファーストコレクションの商品企画に至るまで、春日田ディレクターが全面的に主導した。ブランドにとって“ハイクオリティーライン”は新たな挑戦であり、同時に「原点回帰でもある」と語る。近年はウィメンズ市場全体が過剰なマーケットイン志向により商品の同質化が進む中、「小手先の変化ではすぐに他のブランドに追従され、埋もれてしまうという危機感がある。(“ハイクオリティーライン”を通じて)ブランド発足時からアイデンティティーにしてきた『この世にない服を作る』という姿勢を改めて示していきたい」。

 すでにブランド全体の企画にも波及効果が生まれている。「企画メンバーたちも『ブランドとして何を打ち出すべきか』の解像度が上がり、もっといいものを作ろう、届けようという意識がより高まった」。2022-23年秋冬は、通常ラインでもビビッドなカラー使いのシャギーコートなど独自性のあるデザインを積極的に取り入れ、秋の滑り出しも好調に推移している。今後は両ラインのミックス提案により、「ブランドの世界観や可能性をさらに広げていきたい」とする。

 “ハイクオリティーライン”の展開店舗は以下の通り。

 阪急うめだ本店、高島屋大阪店、大丸神戸店、博多阪急、ジェイアール名古屋タカシマヤ、表参道ヒルズ、西武池袋本店、日本橋高島屋S.C.、三越銀座店、大丸東京店、玉川高島屋S・C、大丸札幌店

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