※この記事は2021年02月04日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
デザイナーが語るファッションへの愛
「ファッションとはエンターテインメントであり物語でもある」――このコメントを読んだとき、アルベール・エルバスはずっと同じことを言い続けているなと思いました。ユーモアとサービス精神が旺盛で、ファッションへのピュアな愛情を惜しみなくコレクションに反映し、言葉にする業界随一のロマンチスト。“眠れる美女”だった「ランバン」をスターブランドへと導いた立役者で、一時は「シャネル」の後継デザイナーの噂もありました。そんな彼は自身のベンチャービジネス「AZファクトリー」の立ち上げにあたっても、熱く思いを語っています。
その変わらなさが、なんというか今回は特別に感じました。過去と同じことを言っても、今だと少し意味が変わるというか。
彼が不在にしていたこの5年間で、ファッションの世界は大きく変わりました。サステナビリティの観点からモノ作りのあり方を問い直す動きが活発になり、パンデミックによって人々がファッションを思う存分楽しめる環境ではなくなってしまいました。既成概念が根本から揺らいでいます。
「ファッションの必要性を自分に問いかけもした。答えはイエスだった」。多分これまでにないくらい深く自問した結果、彼がたどり着いた答えが「ファッションとはエンターテインメントであり物語でもある」だったと思うのです。かつてとは違う重みを感じませんか?
そしてコレクション(エルバスいわく“プロジェクト”)は大きく進化していました。インクルーシビティーと機能性、デザインを見事に並立させています。今回はサイズレンジと価格もチャレンジング(「ファーフェッチ」では結構品切れしてます!)。25分の映像は、まさにエンターテインメントと物語、ファッションへの愛と高揚感にあふれています。「高揚感」ってなんか久しぶり。
デザイナーの声、積極的にお届けしたいと思っています。
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