1. A to Zで説くヴァージル・アブロー

A to Zで説くヴァージル・アブロー

コラム

2019/1/15 (TUE) 12:00
PHOTO BY YUTA KONO

 2018年に頂点に達したストリートのムーブメントの中心には、常にヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)という男がいた。

 とはいえ、本格的に自身のブランド「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH以下、オフ-ホワイト)」を立ち上げてからわずか5年で「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のメンズ アーティスティック・ディレクターというメンズ・ファッションシーンの頂点にまで上り詰めただけに、まだヴァージルに馴染みのない人も多いだろう。

 「WWDジャパン」1月14日号では、ヴァージルの家族構成や「オフ-ホワイト」立ち上げの経緯といった今更聞けない基礎知識から、アイコニックな引用符やグラフィックに懸ける思い、師であり友人であるカニエ・ウェスト(Kanye West)やキム・ジョーンズ(Kim Jones)ら取り巻く人々との関係まで、今だからこそ知るべき情報をA to Zの切り口で紹介している。ここではその一部をお届けする。

ー ARCHITECTURE ー
建築

 ヴァージルはファッションスクールを卒業していない。ウィスコンシン大学マディソン校で土木工学の学位を取得後、イリノイ工科大学で建築学の修士号を取得した。「最大限にクリエイティビティーを発揮できる分野として建築を選んだ。洋服も建築も、背景を踏まえてデザインする点では同じ」。尊敬する建築家は、「神は細部に宿る」でも知られる20世紀のモダニズム建築を代表するルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies van der Rohe、1886-1969)で、「オフ-ホワイト」の象徴的なクロスアローロゴや白と黒のストライプ柄など直線的なグラフィックは、ミースの建築物から多大なる影響を受けているという。近々ヴァージルは、建築家として大規模なプロジェクトを控えているそうだ。また、短期間ではあるが、建築事務所にも勤めていた。

ー BEEN TRILL ー
ビーントリル

 マシュー・M・ウィリアムス(Matthew M. Williams)やヘロン・プレストン(Heron Preston)らと結成し、伝説のグループと称されるアート&DJ集団。立ち上げは12年で、今では誰もが使用する「#」にいち早く目をつけ、ポップでキャッチーにアイコン化。SNSを中心に宣伝し、多くのセレブに着用してもらうことで注目を集め、人気を博した。

ー GRAMMY AWARDS ー
グラミー賞

 03年頃に出会って以降、カニエのクリエイティブ・コンサルタントとしてビジュアル面をバックアップしていたヴァージル。11年には、カニエとジェイ・Z(JAY-Z)のスターラッパー2人がコラボしたアルバム「Watch The Throne」のアートワークを監修したことで、2011年度グラミー賞の最優秀レコーディング・パッケージ賞にノミネートされている。煌びやかなデザインは、当時「ジバンシィ(GIVENCHY)」のクリエイティブ・ディレクターだったリカルド・ティッシ(Riccardo Tisci)が担当した。

ー LOUIS VUITTON ー
ルイ・ヴィトン

 1854年創業のメゾンの歴史において、ファッションスクールの出身でないストリート育ちのヴァージルが、「ルイ・ヴィトン」メンズ アーティスティック・ディレクターの地位まで上り詰めたのは異例とも言える快挙だ。「オフ-ホワイト」を立ち上げた当初、一部の人間からは招かれざる人間として“破壊者”とまで言われたが、今ではヴァージルの感覚がファッションシーンの基準になりつつある。前任キム・ジョーンズが切り開いた「ルイ・ヴィトン」とストリートとの関係性を、より確固たるものにしていくだろう。

 また、同じくアフリカにルーツを持つファッションアイコンのルカ・サバト(Luka Sabbat)がヴァージルの就任発表時に「今日、ヴァージルは新たな歴史を刻んだ。若い黒人男性が世界最大のブランドに就いた。これはあなただけでなく、カルチャー全体としての勝利だ」とSNSを更新したように、彼の就任はダイバーシティー(多様性)が叫ばれる今、大きな意味を持つだろう。

ー PYREX VISION ー
パイレックス ビジョン

ブランド化するきっかけになった映像「Youth Always Wins」。モデルとして登場しているのは、イアン・コナーら今のファッション業界でも活躍する面々

 12年にスタートしたストリートとアートを融合させた映像プロジェクト。サラ・アンデルマン(Sarah Andelman)元コレット(COLETTE)クリエイティブ・ディレクターが、ユーチューブでパイレックス ビジョンの映像を見かけ、「ここに写っている洋服は買えるの?」の一言からブランド化。90年代のストリートカルチャーを語る上で欠かせない「チャンピオン(CHAMPION)」のスエットや、「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」のネルシャツをベースにグラフィックを載せた。パイレックス ビジョンでの成功が「オフ-ホワイト」の立ち上げを決意させたという。

ー TAKASHI MURAKAMI ー
村上隆

 ヴァージルはアートをテーマにデザインすることが多いが、彼をアートの世界へと導いた人物が村上隆だ。「シカゴでまだ学生だったころ、『ルイ・ヴィトン』のウインドーに並ぶ村上隆とのコラボバッグが、初めて見たアートだった。それが初めての『ぜいたく』であり、アートの世界への入口だった」。時を経て、“カニエ・ファミリー”の一員として村上隆に映像制作の依頼をしたのがヴァージルで、カニエと共に東京を訪れた際に対面を果たすが、村上にそのときの記憶にはないという。しかし、それから約10年後に村上がシカゴで個展を開催し、再会する。「僕らにしかわからない感覚で、クールなものに対してなぜか鼻が利く。彼にもそれを感じて声をかけた」。今ではアート展を何度も共催し、コラボTシャツやバッグなどを製作。「ルイ・ヴィトン」のショーでは、村上が「オフ-ホワイト」を着用してフロントローに座るなど、ビジネスパートナーであり友人の一人になった。



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