ファッション

故ヴァージル・アブローの大規模回顧展「ザ コード」がパリで開催 約1000点を展示

オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」(以下、オフ-ホワイト」)の創設者で、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」メンズ・クリエイティブ・ディレクターも務めた故ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)の大規模回顧展「ヴァージル・アブロー:ザ コード(Virgil Abloh: The Codes)」が、10月9日(現地時間)までフランス・パリ8区の美術館「グラン パレ(Grand Palais)」で開催中だ。

旧友やコラボレーターたちが持ち寄った私物も並ぶ

「ヴァージル・アブロー:ザ コード」は、ヴァージル・アブロー財団(Virgil Abloh Foundation)とナイキ(Nike)の共催で、22年にマイアミで開催された同名の展覧会の拡張版にあたり、彼が生きていれば45歳を迎えた9月30日の誕生日に開幕を迎えた。生前のヴァージルは、レストランの紙ナプキンに描いた落書きなど、10代の頃から全ての制作物を保管していたそうで、そんな2万点以上のアーカイブを収蔵する「ヴァージル・アブロー アーカイブ(Virgil Abloh Archive)」から厳選した約1000点を展示する。

展示品は、ヴァージルが初めて立ち上げたブランド「パイレックス ビジョン(PYREX VISION)」のフランネルシャツからシグネチャーだった「オフ-ホワイト」のインダストリアル・ベルト、仕事机のレプリカ、プライベートな手紙、「ナイキ」との“エア ジョーダン 1(AIR JORDAN 1)”、「イケア(IKEA)」とのベッド、「クロムハーツ(CHROME HEARTS)」とのベンチ、「エビアン(EVIAN)」とのウォーターボトル、「バカラ(BACCARAT)」とのグラス、「パイオニア(PIONEER)」とのDJターンテーブルまで多岐にわたる。これらを通じて“クリエイティブ・ポリマス(多才な創造者)”だった彼の仕事の幅の広さを伝えると同時に、彼の特徴的なデザイン原則である“コード”がどのように表出しているかを明らかにし、その一貫した創作姿勢を浮き彫りにするという。なお、約1000点の展示品のうち200点がスニーカーのほか、旧友や過去のコラボレーターたちが持ち寄った私物も並び、ある人物は枕カバーだけを持ってパリに足を運んできたそうだ。

さらに、会期中は本展より深く掘り下げるためのワークショップやパフォーマンス、上映会などのイベントも開催されるほか、会場にはヴァージルの才能をいち早く見抜いたパリの伝説的セレクトショップ、コレット(Colette)がスーベニアショップとして復活。08年にヴァージルがコレットのためにデザインしたTシャツのレプリカをはじめ、「ブラウン(BRAUN)」との目覚まし時計の復刻版や定番アイテムだったキャンドルなどを販売している。

展覧会のキュレーションを務めた「ヴァージル・アブロー アーカイブ」の共同ディレクターであるクロエ・スルタン(Chloe Sultan)は、「分野の垣根を設けない、彼の創作プロセスをそのまま反映した展示を意識した。ヴァージルは、情報の壁を壊し、自分のコードや青写真を共有することに情熱を注ぎ、いつもでもかつての17歳の自分のような若者に向けてのアイデアを残していた」とコメント。同職のマフズ・スルタン(Mahfuz Sultan)も、「彼のアイデアはコンセプチュアル・アートからポップカルチャーまでを横断して広がっていた。その全体像を見てもらうことが重要で、同じチェーンが『バカラ』のグラスにも『ルイ・ヴィトン』のバッグにも使われていたり、工事用の機材が複数のブランドに登場していたりする。ひとつひとつを切り離すのではなく、全体として見なければならないのだ」と説明した。

また、「ヴァージル・アブロー アーカイブ™」の創設者で会長を務めるヴァージルのパートナー、シャノン・アブロー(Shannon Abloh)は、「彼はコミュニティの核だった。彼を失ったとき、私たち全員にとって非常に辛いものだったが、この4年間、彼のすべてを集めて保存し、世界と共有する準備を進めてきた。それをパリで、この形で実現できたことは非常に感慨深い」と話す。

会期前に行われたレセプションパーティーには、「ルイ・ヴィトン」で後継者となったファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)から、サラ・アンデルマン(Sarah Andelman)=コレット クリエイティブ・ディレクター、ラッパーのトラヴィス・スコット(Travis Scott)、グラフィティ・アーティストのフューチュラ(FUTURA)ら人々が世界中から集い、クロエ「ヴァージル・アブロー アーカイブ」共同ディレクターは「皆が再び集まり、思い出を語り、抱き合うことができたことに最も意味がある」とコメント。「V(注釈:ヴァージルの愛称)は人をつなぐ存在だった。彼と同じ部屋にいると、それだけで空気が変わる。彼がいない今、その空気を完全に再現することはできないが、皆を再びひとつにできたことは、それに最も近いものだと思う」(クロエ・スルタン「ヴァージル・アブロー アーカイブ」共同ディレクター)

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