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「オフ-ホワイト」のヴァージルは直球ストリートで大正解 「LV」発表を前に原点に立ち返る

 「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH以下、オフ-ホワイト)」は20日、パリで2019年春夏コレクションを発表した。クリエイティブ・ディレクターのヴァージル・アブローが「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のメンズ・アーティスティック・ディレクター就任後初となるコレクションということでそのクリエイションに注目が集まったが、「オフ-ホワイト」で見せたのは超王道のストリートカジュアル。しかし既存のカルチャーやデザインの視点を変え、巧みに編集するヴァージルの真骨頂が生かされた明快なコレクションだった。

 お馴染みの“OFF”の文字などが刺しゅうされたカジュアルなデニムをベースに、1988年に他界したグラフィティ・アーティストのドンディ・ホワイト(DONDI WHITE)にオマージュを捧げたスプレーアートや米テレビアニメ「ザ・シンプソンズ(The Simpsons)」をプリントしたトップスを合わせるなど、80~90年代のアメリカンカルチャーを融合。ルーズなシルエットや抜け感を意識したスタイリングでストリートテイストに仕上げた。「リモワ(RIMOWA)」とのスーツケース型バックパックや「ナイキ(NIKE)」「ドクターマーチン(DR.MARTENS)」との新作シューズなど、毎回話題となるコラボレーションアイテムも複数登場した。

 クリエイションという点だけで見れば、ランウエイショーという舞台には少々物足りないのかもしれない。しかし最近の「オフ-ホワイト」は、フォームを大胆に崩してみたり、ストリート風のラフなスーツ作りに挑戦したりと、今回のコレクションとは真逆ともいえるモードなアプローチを試みていたが、正直、どれも完成度が高いとはいえず、力みだけが目立ってしまっていた。街に溢れる「オフ-ホワイト」のキャッチーなコマーシャルピースとはテンションがかけ離れていく一方だったし、ショーの舞台では時にチープに見えることさえあった。だからこそ、この直球勝負ともいえる今回のコレクションが良い意味で際立った。

 ただし「ルイ・ヴィトン」では同様にはいかないだろう。モードの舞台では常に新しいクリエイションが求められる。そんなトップ・オブ・トップのフィールドに立とうとしている今だからこそ、「オフ-ホワイト」ではあえて自身のストリートのアイデンティティを自由に表現するため、原点に立ち返ったのかもしれない。