ファッション

「マルニ」好き必見の新ブランド「コルヴィル」がデビュー

 コンスエロ・カスティリオーニ(Consuelo Castiglioni)が率いていた頃の「マルニ(MARNI)」を支えてきた3人の女性が、新たなウィメンズブランド「コルヴィル(COLVILLE)」を立ち上げた。ファーストシーズンは、イギリス・ロンドンのECサイト「マッチズファッション ドットコム(MATCHESFASHION.COM)」のみで展開。5月16日にはローンチを記念したインスタレーションがメリルボーンにある店舗で開かれ、販売がスタートした。

 「コルヴィル」という名前は、画家のデイヴィッド・ホックニー(David Hockney)が1970年代に暮らしていた西ロンドンの通り、コルヴィル・テラスに由来する。ブランドを手掛けるのは、「マルニ」でウィメンズとメンズのデザイン・ディレクターをそれぞれ10年以上務めていたモリー・モロイ(Molly Molloy)とクリスティン・フォルス(Kristin Forss)、そして創業当時から同ブランドのスタイリングを20年以上手掛けるとともに、昨年まで英国版「ヴォーグ(VOGUE)」のファッション・ディレクターとして活躍していたルシンダ・チャンバース(Lucinda Chambers)だ。長年「マルニ」での仕事を通じて親交を深めてきたモロイとフォルスがチャンバースを誘い、チームを組むことになったという。チャンバースは「私たちは皆、『マルニ』での時間を本当に楽しんでいた。お互いのことを尊敬し合っていたし、2人から誘いを受けた時もとても自然なことのように感じたの」と振り返る。

 そのクリエイションは、アートフィーリングを感じる色柄使いやアシンメトリーなシルエット、レイヤードで魅力を増すデザインなど当時の「マルニ」をほうふつとさせるスタイルに、今の気分に合ったスポーティーな要素をミックスしているのが特徴だ。ファースト・コレクションでは、レトロなカラーブロッキングのトラックジャケット風のボレロジャケットをはじめ、アブストラクトなアートプリントをのせたシャツやレギンス、アシンメトリーなドレス、マスキュリンなテーラードコート、キャンバスとレザーを合わせたバッグ、メッシュのスリングバックローファーなど約30型をそろえる。

 加えて、スティーブン・ジョーンズ(Stephan Jones)とヴィッキー・サージ(Vicki Sarge)と共にハットとジュエリーも制作し、トータルに提案を行う。価格帯は、Tシャツ275〜340ポンド(約4万〜5万円)、ジャケット430〜785ポンド(約6万4000〜11万6000円)、ドレス995〜1450ポンド(約14万8000〜21万6000円)、ニット590〜920ポンド(約8万7000〜13万7000円)、ボトムス650〜795ポンド(約9万6000〜11万8000円)、アウター1385〜1560ポンド(約20万6000〜23万2000円)、バッグやシューズなどのアクセサリー295〜942ポンド(約4万3000〜14万円)など。アイテムはイタリアで生産する。

 モロイはブランドについて「目指しているのは、私たち3人が実際に着たいと思うワードローブを作ること。それを理屈で考えることはできなくて、私たちはただ好きな人たちと楽しみながら好きな服作りがしたいだけなの」と語る。チャンバースも「コレクションはとても折衷的で、私たちの着こなしをリアルに反映したもの。予想外なものを組み合わせることの楽しさを表現しているの。それはある意味部屋を装飾することに似ていて、自分の好きなものを全部飾ったら一体感が生まれることのよう。3人が好きなものは異なるけれど、それぞれの着こなしを認め合っている」と話す。

 また、同ブランドは“ファストファッションへのアンチテーゼ”を掲げ、デザイン性がありつつ長く愛されるアイテムを生み出すことを目指している。「さまざまな着方でシーズンを超えて使えるように、服の構造を強く意識してデザインしている」とフォルス。コレクション自体も毎シーズン、新しいデザインを次々に打ち出すのではなく、いくつかのアイテムは素材を換えたりアレンジを加えたりして提案していくという。

 今シーズンは「マッチズファッション ドットコム」のみでの取り扱いだが、ローンチから数日で売り切れのアイテムもある。「マルニ」が高い支持を得ている日本で実際に目にする日も遠くはなさそうだ。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。

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