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資生堂が新3カ年計画を策定 重点施策を敢行し、売上高1兆2000億円目指す

 資生堂は、2018年からスタートする新3カ年計画を策定した。20年が最終年度の中長期戦略「VISION2020」で目標に掲げていた売上高1兆円、過去最高の営業利益を第1フェーズで達成したことから、「成長加速の新戦略」を推進。プレステージブランド事業を核としながら、デジタル化の加速や、M&Aにより加わったブランドやテクノロジーとのシナジーを最大限に発揮。人材や研究開発関連などへの投資も強化し、“世界で勝てる日本発のグローバルビューティカンパニー”へ進化を遂げる。

 同社は、新3カ年計画を策定するにあたり、「世界の中で最も信頼されるビューティカンパニーになると定めた。それは株主、社員、社会から信頼される意味を持ち、ESG(環境・社会・ガバナンス)を重視する経営を推進していく」(魚谷雅彦・資生堂社長兼CEO)と述べた。実現に向けては重点施策として、ブランド事業のさらなる選択と集中、デジタライゼーションの加速・新事業開発、イノベーションによる新価値創造、世界で勝つ人材・組織の強化、グローバル経営体制のさらなる進化、を掲げる。

 ブランド事業のさらなる選択と集中では、プレステージファースト戦略を訴求する。プレステージブランドのスキンケアによる収益基盤を拡大しながら、メイクアップとフレグランスの成長を加速させる。「年内をメドに『SHISEIDO』のメイクアップラインを全面刷新する。ニューヨークを中心としたダイバーシティ(多様性)の視点で開発したのは初めて」とメイクアップ拡大への起爆剤として期待を寄せる。カテゴリー別売り上げは、スキンケアが毎年11%増の成長を見込み構成比58%、メイクアップが13%増の成長で28%、フレグランスが9%増の成長で14%を想定している。また、既存カウンターの刷新や流通のオリジナル什器開発、ブランドショップの拡大にも注力し、570億円の投資を予定する。

 一方で、製品仕様の最適化や集中購買、サプライチェーンの効率化、システム統合・集約による生産性向上を図り、20年までに400億円のコスト削減を実施。「デジタル関連や店頭カウンター関連、PR・イベント関連で予定する1200億円のマーケティング投資の原資にしていく」。

 デジタライゼーションの加速・新事業開発は、EC事業を強化する。中国市場で20年にEC売り上げ構成比を40%、日本の自社サイト「ワタシプラス」売り上げを140億円を目指すなど、17年の売り上げシェア8%を20年までに15%まで拡大する。さらに、各ブランドで保有する顧客情報などを一本化するなど、デジタルマーケティング・CRMを強化する。パーソナライゼーションへの対応にも注力するなど、グローバルオペレーションの基盤強化に3年間で270億円を投資する。

 イノベーションによる新価値創造は、グローバルイノベーションセンターを12月に稼働させる。研究開発関連にも投資し、20年時点で、売上高に対して研究開発費比率を3%(当初予定2.5%)、人員数を1500人(同1000人)を実現する。また、「化粧品を軸に最先端美容技術による新カテゴリーやパーソナライズ美容サービス、バーチャルメイク、高機能美容食品など、さまざまな新領域の開発に着手する」。

 世界で勝つ人材・組織の強化では、「人材なくして世界で勝てる企業になれない」と140億円を投資し、留学制度の復活や、9月にアジア ラーニングセンターをシンガポールに開設する。また、20年までに女性管理職比率を40%(17年度は30%)に高める他、10月から英語公用語化を実現する。

 グローバル経営体制のさらなる進化は、日本、中国、アジアパシフィック、米州、欧州、トラベルリテールの各地域本社が特性を生かした取り組みを実施し、グローバルで採用する。日本はメディカルコスメティクスの開発拠点、米州はデジタル、メイクアップ、中国がクロスボーダーマーケティングなどを推進する予定だ。その他、日本はスキンケアやベースメイク、サンケアを強めるのに加え、若年・団塊ジュニアの支持獲得、顧客接点拡大を図る。中国はプレステージブランドの成長加速、デジタル・ECの成長加速、トラベルリテールがブランドポートフォリオの充実、オペレーターとの協業強化などを訴求する。

 19年に那須工場、20年に大阪新工場を設立するなど、成長を加速するために欠かせない供給体制も整え、売上高1兆2000億円、営業利益1200億円強を達成させる。「世界で圧倒的な存在感を示す企業」として確固たる地位を確立する。

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