ファッション

自社都合で「なぜまた不要なブランドを増やす?」 ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.7『ポジショニングマップ、やめませんか?』

読み解きポイント:「その服、どのお店で買ったか覚えてる?」

ニュースのポイント

 新ブランドの発表会などの際に渡される「ポジショニングマップ」は本当に必要なのだろうか?このマップは価格の高低やコンサバかカジュアルかと言ったテイストの度合い、出店先立地などを縦軸、横軸で表現した資料で、ブランドの立ち位置を明確にするものでもある。しかし、近しい価格やテイスト、販路のブランドがすでに市場にあるなら、わざわざ新しいブランドを作る必要はあるだろうか?ファッション業界が「大量廃棄を長年繰り返してきた悪の産業」と見られる傾向が強まっている中、「自社がこのマーケット向けのブランドを持っていない」という理由だけで似たようなブランドを作ることは、罪作りにはならないだろうか。

Azuはこう読む!

 今自分が着ている服、どのお店で買ったか覚えていますか?「WWD ジャパン」を読んでいるファッション業界や洋服好きの方なら覚えているかもしれませんが、業界以外の友人に聞いてみると「ルミネに入ってたどこかかな......?」など、記憶があやふやで答えられないことも多いのです。試しに周りの人に聞いてみてください。

 業界の端くれの私ですら、「あのブランドってあの会社だよね。あ、違うか似てる別のところだったわ...」なんてことが良くあるので(それは社会人としてダメなんですけども笑)、消費者から見たら正直AもBも区別がつかない、なんてことは多いのではないでしょうか。

 だって商業施設は2館も回ればお腹いっぱいです。トレンドや売れ筋がすぐにわかるのは良いことですが、言い換えてみれば同じような商品やいい感じのお洒落な雰囲気のお店が並んでいるだけ。もちろん各ショップやブランドごとにテーマや世界観が設計されているのはわかりますが、一般消費者がどこまで読み取っているのかを、果たして気にかけているんだろうか?と疑問にならざるをえないブランドづくりが多い気がします。

 これだけサステナビリティと謳っているのに、「なぜまたブランドを増やす??」と疑問になることもしばしば。これは極論にはなりますが、サステナビリティが「無駄なものを作らず、消費せず」なのだとしたら、やるべきことはブランドの乱立ではなく精査ではないでしょうか。

 ポジショニングマップ上で見ると、ブランド数が少ないとどうしても狙えるマーケットが小さく見えがちですが、例えば「大人の女性のため」という燃えに燃えたレッドオーシャンに今更飛び込んで行くのって、なぜなんでしょう……?「大人の女性も、働く女性も、多様化しすぎていて括れなくない?そして多面性を持つ女性のため……ってのも逃げになってない!?」と、ちょっと厳しく見てしまいます。だったら「デスクワークでも圧倒的存在感を放ちたい女性のための服」ぐらいニッチでぶっ飛んだテーマがありつつ、サイドには「絶対に外したくない商談用の好感度セットアップ」「夕方まで座りっぱなしでもシワにならない金夜デートワンピ」など汎用性のある(?)商品を置くくらいの方がインパクトあって良いのかなと…完全に素人発想ですけども……(誰か作りませんか……。)

 ベンチャーは澄み切ったブルーオーシャンを見つけて開拓することに価値を見い出すので、正直アパレルのレッドオーシャン開拓はどんな意志ゆえの行動なのか知りたいところです。記事中にあるように、「自社のブランドポートフォリオの隙間を埋めるため」という理由が少しでもあるなら、それって全然消費者のことを考えてないですよね、とツッコミたくなります。なぜ自分都合を理由に、消費者には必要とされてないブランドを増やすのだと。

 D2Cやインフルエンサー起用で成功しているブランドは、ここが違うと思うのです。自分都合じゃなくてファン都合で商品やブランドを作っている。でも背景にある思想やストーリーは絶対にブラさないからこそ他と差別化ができ、「あのブランドで買った」と消費者に認知してもらえるんだと思います。

 今回はだいぶ嫌われそうな意見を書いてしまいましたが、ファッション業界に近いからとか関係なしに、イチ消費者としてお店を見渡した時に感じる率直な意見でした。なぜ「大人の女性のため」が乱立するのかをマーケター的視点で語れる人がいたら、ぜひ教えてください。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

最新号紹介

WWD JAPAN

CEO特集2021 ファッション&ビューティ47社に聞く「2040年のビジョン」

1月25日号は「CEO特集2021」を大ボリュームの108ページでお届けします。毎年恒例の特集ですが、今回はファッション企業19社、ビューティ企業28社の経営トップが登場し、「2040年のビジョン」を語ります。リーダーたちは目の前のコロナ危機に対応しつつ、その先にある長期的な企業像をどう描くのか。ビジネス戦略はもちろん、日本を代表する有力企業のカルチャーや経営トップのキャラクターが垣間見ることがで…

詳細/購入はこちら