東レの領域別CE情報流通PF要件定義事務局は、経済産業省生活製品課が12月1日に開いた「第16回 産業構造審議会 製造産業分科会 繊維産業小委員会」にて、「サーキュラーエコノミー情報流通プラットフォーム(CE情報流通PF)実現に向けた調査分析」を発表した。
本発表は、現時点で制度化や実装が決定しているものではない。東レの領域別CE情報流通PF要件定義事務局が中心となって描いた、繊維産業における循環経済の将来像と、それを支える情報基盤のあり方に関する提案である。狙いは、規制対応や情報開示の効率化にとどまらず、素材開発、設計、回収、二次流通といった業界の実務を横断的につなぐことで、資源循環と産業競争力の両立を図る点にある。その背景について、東レの堀野哲生繊維事業企画推進室室長に聞いた。
「欧州に情報が集まる」ことへの危機感
発案の背景には、欧州で進むデジタル・プロダクト・パスポート(DPP)をはじめとした制度動向がある。製品単位で環境負荷や素材情報を管理し、データとして流通させる流れは、すでに不可逆的な段階に入った。こうした状況を前提に、堀野室長は「欧州側に情報が集約された場合、日本の繊維産業はどのような立場に置かれるのか」という問題意識を示す。「欧州に情報が集中し、日本側に何も残らないという状態は避けるべきではないか。将来の連携を可能にするための何らかの仕組みがいるのではないか。」と続ける。
この文脈で位置付けられるのが、経済産業省が産業横断で進めるデータ連携構想「ウラノス・エコシステム」である。同室長はこれと連携しつつ、その上に繊維産業に特化した資源循環の情報流通基盤を位置づける構想を描く。今回示されたCE情報流通PFは、その上位レイヤーにあたる提案だ。
製品に一意のIDを付与するという発想
中核となるのは、衣料品や繊維製品に一意のIDを付与するという考え方である。QRコードやRFIDといった具体的な技術方式は今後の検討事項としつつ、製品と情報を分離せずに管理することを前提とする。
原料サプライヤー、素材メーカー、製品メーカー、回収・分別事業者など、サプライチェーンの各段階で入力された情報を次の工程の担い手が活用する。一度入力された情報を共有し、循環の中で使い続けることが想定されている。「誰かが入力した情報を、次の工程の人が使える状態にする。それが循環経済に必要な情報基盤だと考えている」と同室長は解説する。
「協調領域」と「競争領域」を分ける理由
本提案の特徴は、情報基盤を「協調領域」と「競争領域」に分けて設計している点だ。協調領域は、資源循環に不可欠な基礎情報を扱う公共性の高い領域であり、回収・分別・リサイクルの効率化や、認証・規制対応など、業界全体で共有すべき情報が含まれる。
一方の競争領域では、協調領域で整備されたIDや情報を活用し、各社が独自のアプリケーションやサービスを開発する。二次流通市場での価値評価、修理やメンテナンスの支援、消費者向けの情報提供、販売現場で製品背景や素材特性を即座に把握するための支援など、用途は多岐にわたる。
「基盤そのもので収益を上げるのではなく、その上で何を生み出すかを競う設計にしなければ、業界全体は参加しない」からだ。
まず想定される三つのユースケース
公開された資料では、CE情報流通PFによって想定されるユースケースがバリューチェーンに沿って整理されている。なかでも重点が置かれているのが、認証・規制対応支援、環境配慮設計の推進、リユース・リサイクル支援の三つである。
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