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「アナ スイ」事業撤退も化粧品は継続販売 来夏にはスキンケアも復活

 三越伊勢丹ホ―ルディングスが2020年3月末で「アナ スイ(ANNA SUI)」事業を終了するというニュースの余波が広がっている。婦人衣料および雑貨のマスターライセンサーとしてのブランドライセンス事業、輸入販売、卸事業から撤退するが、これまでサブライセンスとして販売していた化粧品やバッグ、財布、アクセサリーなども終了になるという噂がSNSを中心に行き交っている。実際のところは、アメリカ本国のアナ スイ社とサブライセンシーが個々に契約を結びというもの。アルビオンが展開する化粧品「アナ スイ コスメティックス(ANNA SUI COSMETICS)」も直接契約し来年以降も継続する。来年度には十数年ぶりにスキンケアを復活させるなど新たな挑戦にも乗り出す。そこであらためて化粧品の取り組みを、アルビオンの小林勇介常務国際事業本部本部長に聞いた。

WWD:三越伊勢丹HDによる「アナ スイ」事業から撤退のニュースを聞いたのは?

小林勇介アルビオン 常務 国際事業本部本部長(以下小林):1年程前に話を聞いていましたが、そもそも「アナ スイ コスメティックス」は三越伊勢丹グループのためだけに作られたブランドではないため、ブランドの世界観を大切に今後も継続していく思いは変わらなかったですね。むしろ、ブランドが持つ個性や独自性はもっと広げていけると感じています。

WWD:今後の契約形態はどのような形になるのか。

小林:「アナ スイ コスメティックス」の売り上げ構成比は国内が30~40%、海外が50~60%です。これまで、国内は三越伊勢丹HDとのサブライセンス契約でしたが、海外で展開するものに関しては本国との直接契約で行っていました。今後は国内も本国との直接契約になるため、当社としては契約先が集約されてよりスムーズに事業が進められるようになります。

「店舗のない地方で
ポップアップイベントを実施」

WWD:来年以降、取り扱い店舗に変更はあるのか。

小林:現在は百貨店を中心に販売網が広がっていて、百貨店が20店舗、化粧品専門店が11店舗あります。来年以降、伊勢丹が運営する「アナ スイ ブティック」を数店舗程度引き継ぎ、化粧品を中心とした雑貨やファッションなどをそろえたコンセプトショップを運営する予定です。当社以外のサブライセンス企業と連携を取りながら新しいブランドの形を表現できたらいいですね。店舗のない地方では、ポップアップイベントなどを実施してブランドとの接点を広げてファンを獲得していきたいです。

WWD:化粧品は1997年に誕生して以来、ブランドの軸をぶらすことなく、多くの女性を魅了している。

小林:ブランドカラーの黒と紫、ブランドシンボルである蝶とバラによって独特な世界観を持つ、デザイン性の高いブランドという認識が今もありますよね。それは裏を返せばデザイン性が高いだけのブランドというイメージともいえます。今後は百貨店で展開する高級化粧品を手掛けるアルビオンが開発・販売している高品質なブランドという印象を強めていく準備をしているところです。2018年に20周年を迎え、それを記念して東京・六本木ヒルズで化粧品とファッションのアーカイブを集めた展示「THE WORLD OF ANNA SUI」を1カ月開催しました。歴代の化粧品に加え、約100点のファッションも陳列したのですが、会期中に1万人以上の入場がありブランドのポテンシャルが高いとあらためて実感しました。ブランドにまだまだ伸びしろがあると分かりました。

「スキンケアが17年ぶりに復活」

WWD:来年には話題となる製品が続々と誕生する。

小林:ブランド誕生の翌年に投入したスキンケアを17年ぶりに復活させます。ボトルから中身の色まで当時を再現した5種の化粧水を20年4月に販売する予定です。時代に合わせ5種にはそれぞれ、お茶や海藻、漢方などを配合し、肌悩みに対応した商品となります。そのほか、クレンジングや美容液、クリームまでフルラインを扱います。8月にはメイクラインの大規模なリニューアルを考えているところです。

WWD:化粧品の攻勢が始まる。

小林:デビュー当時はネイルがパワーアイテムでしたが、現代のパワーアイテムを早期に作り上げたいですね。ブランドの認知度は高いですし、お客さまにワクワクして選んでもらえる商品もそろえていますから。また、若い世代のブランドととらえられがちですが、以前愛用してもらっていた30~40代の女性が戻りたくなるような存在でありたいですね。そのためには、商品や空間づくりが今以上に求められるので、それに真摯に応えていきます。もう一度新しいブランドづくりをする感覚ですし、原点に立ち戻ったようで当社も今後の取り組みに意気が上がっています。