ファッション

世界規模エクササイズ「レズミルズ」で実感 信者になれば、コミュニティーの仲間になればなんでもできる

 編集部員さえ驚く(!?)ファッション・ヴィクティムで、ここ数年は、これまた呆(あき)れられるくらい(!!)ジムホリック(ジム中毒)な「WWD JAPAN.com」編集長ムラカミが、オシャレに変貌するエクササイズ業界に潜入!カラダを張って最新エクササイズを体験レポートし、長年の経験からオシャレ度をジャッジします。

 突然ですが、かつて消しゴム版画家として一斉を風靡しつつ急逝した、ナンシー関の名著「信仰の現場」はご存知でしょうか?これは彼女による、「普段は社会に順応しておとなしく生きている人でも、同志が集まる空間、つまり自分も信じる“ある信仰”が絶対的に普及していると確信できる空間では“心のタガ”を外し、その本性を見せるのではないか?」という仮説を検証すべく、例えば矢沢永吉コンサート(普段はフツーなのに、この日だけはリーゼントヘアの“永ちゃんスタイル”で、大きなタオルをみんなと一緒に空中に放り投げている人が多いと予想される空間)などに赴き、その様子を観察するという、人間の欲望や欲求、本能に関する示唆に富んだ本です。

 ナゼいきなり、もはや数十年のレベルの昔の書籍についてお話したかと申し上げますと、このフィットネス連載で今回体験したエクササイズが、まさにそんな「信仰の現場」だったから。今日は、同志が集ったがゆえにパワー全開!!だからこそ初参加の僕は、トレーニングプログラム的にも精神的にも序盤はキリキリマイだった(笑)、「レズミルズ」というエクササイズのメガイベントに潜入してまいりました。

 さて、まずはこの「レズミルズ」について簡単にお話しなければ、なのですが、ニュージーランド発祥のグループフィットネスプログラム。現在では112の国や地域、1万5000ものフィットネスクラブで楽しまれているそうで、インストラクターだけで10万人、参加者は100万人以上の人に及ぶとのことなのです。日本では、「リーボック(REEBOK)」が普及に一役買っております。

イベント会場だから仕方なし。
シャワーもなくてちょっぴり不満

評価 ★★
 

 で、やって来たのは秋になろうかというとある日曜日の夕暮れの、正直ちょっと遠く離れた湾岸エリアの有明。時刻は午後6時過ぎ。フツーの人なら「ちびまる子ちゃん」とか「サザエさん」を見ながら晩御飯を食べ始め、「あぁ、また明日から会社だねぇ」なんて言ってる時間帯です。そんな時間に会場まで来てみれば、湾岸エリア広しと言えど、ここだけスゲェ人、人、人。ざっと300人くらいはいらっしゃるでしょうか?今日はここで、朝から晩まで「レズミルズ」のプログラムが延々と開かれているそうで、僕は最後の2コマを体験です。

 会場は、いわゆる普通のイベントスペース。彩られてはいるものの、設備的にはスポーツフレンドリーではありません。床はありがちなカーペットだし、更衣室は折りたたみテーブルが並ぶだけの間仕切りされた空間でロッカーなんてナシ。もちろんシャワーもありません。ぶっちゃければ、「ちょっとイヤ」です。

 でも、ここに朝から晩まで常時数百人がいらっしゃって、エクササイズをして、汗ダラダラになって、ボディシートで身体を拭くくらいで帰っているのだと思うと、それだけで参加者の「レズミルズ愛」が伺えます。スタッフに話を伺えば、会場の最前列でエクササイズを受けるためのチケットのお値段は、なんと1時間で1万5000円!!高っ!!!!それでも「お一人様、●レッスンまで」という制限を設けないと大勢の「レズミルズ」ファンにイベントに参加してもらえないという悩みを抱えているらしく、さすが、おそらく世界で一番普及しているトレーニングプログラムの底力を感じさせます。

イベント限定タンクトップは、
まだちょっぴり恥ずかしい(照)

評価 ★★★
 

 今回は、会場で販売している「レズミルズ」ウエア、そして「リーボック」のスニーカーに着替えてチャレンジです。正直、いまの僕にはロゴ入りタンクトップは恥ずかしい(苦笑)!!でもストリートブランドの“ドロップ”しかり、コンサートのツアーグッズしかり、その時・その場でしか買えないアイテムは羨望の眼差しを浴びるワケで、見渡せば来場者の多くが同じタンクトップでした(笑)。

 さぁ、着替えも終わり、会場入り。まだ「レズミルズ」コミュニティーの一員とは言い難い僕は、恐れをなし、一番端っこに陣取らせていただきました(苦笑)。スタート前は、皆さん写真撮りまくりで、この情景もまた「スゲェな、『レズミルズ』」感を醸し出します。

ハマらなきゃ乗り切れない!
日曜夜の壮絶レッスン

評価 ★★★★
 

 最初の「レズミルズ」は、ボディアタック。ステージにはスペシャルゲストの来日インストラクター(!!)と、おそらく国内のフィットネス施設で「レズミルズ」を教えている精鋭インストラクターの皆さんが登場し、音楽スタートです。ちなみにメインインストラクターが、「音楽は、アレです!!」的なコメントを発したら、皆さん「ウォ〜」って盛り上がってました。門外漢にはマジで意味不明(笑)。でも、血中「レズミルズ」濃度が高い“信者”の皆様は、「アレ」をご存知なのでしょう。

 プログラムは、テンション上がってないと、タイヘンです(笑)。マジでキツい。繰り返しますが、世間一般は夕ご飯を食べている日曜日の夜7時ごろ。「レズミルズ」愛がなければ、「なんで俺、こんな時間に、こんなトコロで、こんなコトしてるんだろう?」と後悔せずにはいられないキツさです。有酸素だけじゃない、筋トレだけでもない、その交互が間髪入れずに訪れ続けます。

 「こ、これは、このままだと60分乗り切れない」。そう思った僕は、「信仰の現場」の傍観者から、「信仰の現場」の信者になるべくモードチェンジ。「こうなったら、周りの人に負けないくらい、やってやろうじゃないか!!」そんなカンジです。

コミュニティーにジョイン。
信者になったら楽しさ百倍

評価 ★★★★★
 

 とマインドセットを変えてみたら、人間やれるものですね(笑)。周りの人とハイタッチをすれば心が通っているように思えるし、皆さん頑張ってるから、止められない(苦笑)。モードチェンジ前は「元気なオッさんだなぁ」なんて“あちらの世界の人”くらいに思っていた方を「スゲェ!俺も頑張らなきゃ」って憧れの対象くらいに捉える始末です。ナンシー関が言うところの“心のタガ”を外すと、この「レズミルズ」一色の空間、最高にグルービーです(笑)。そして汗は、“心のタガ”を外すのに、一役買ってくれますね。「汗をかくと、人間は素直になるから」と考え、重要なミーティングの前には必ず皆が一緒に汗をかくという「ルルレモン(LULULEMON)」の名言を思い出しました。

 あの時、特に終盤はまぁまぁトランス状態でしたので思い起こすのが難しいのですが(苦笑)、プログラムや演出について回想してみますと、音楽やライティングは、さすがイベント。大迫力でクラブ感高めです。ボディアタックは、2レッスン目のボディコンバットに比べると移動量も多く、飽きません。壇上のインストラクターは、来日ゲストも、国内のジムから選ばれし精鋭も、さすがです。見惚れる体、キレのある躍動、そして、滴るどころか飛び散る、いや飛び散りまくる汗。いずれもカッコ良いし、盛り上げ上手です。来日ゲストの「今日は、息子もここにいるの。みんなと一緒にレッスンを受けているわ」の一言には、勝手にムネアツになりました。もはや立派なコミュニティー・メンバーです。

 2つのプログラムが終わったのは、午後9時前。撤収作業が始まっている会場で慌てて着替えていると、血中「レズミルズ」濃度が極めて高い方々は、「今日は泊まりだから」とか「急がないと最終が」なんて話しています。「うわぁ、この人たち、そんな遠くからいらっしゃってるんだ」。心の中で驚愕です。そういえばイベントの最中、MCの方が「次は沖縄で〜す」なんて話していたっけ。きっとこの人たちは、わざわざ汗をかくために、自分の身体を追い込むために沖縄まで行くんでしょう(笑)。

 エクササイズの世界にもコミュニティーは複数存在しており、どこかに属している人には別のコミュニティーが異質に見えるし、そんなコミュニティーに属していない人にはいずれも「一歩を踏み出し難い敷居」になっていると思います。エアロビやステップなどスタジオで有酸素のレッスンプログラムを受けている人にはフリーウエイトエリアは近いのに遠い世界だし、彼らからしてみればスタジオでクルクル回っている人たちは“違う”人たちです。でも、いずれのコミュニティーもどっぷり浸かれば楽しいし、趣味の世界ならそれが許されます。加えてコミュニティーが普段の仕事とは全く違うものなら、“新たな気づき”を得るきっかけになったりもします。

 仕事でファッションとビューティそしてデジタル、プライベートではエクササイズ。いくつかの世界を覗き見し、タイプの違う人たちと交流することが新たな気づきやバランスの維持に役立っていると実感する僕にとって、今回の「レスミルズ」は、改めてコミュニティーの大切さを実感する機会だったし、交流をしている方々を羨ましく思うイベントでした。

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