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即完売続く“人生最高のチーズケーキ” シンデレラストーリーを駆け上がった先に目指すもの

 毎週日曜と月曜の朝10時にネット上で数量限定で販売し、即完売しているチーズケーキ「ミスターチーズケーキ(MR. CHEESECAKE)」の公式オンラインストアが8月4日にオープンした。これまではネットショップ作成サービス「ベイス(BASE)」で販売してきたが、「ショッピファイ(SHOPIFY)」に移行。サイトのデザインやビジュアルを一新した。

 “人生最高のチーズケーキ”とも一部で呼ばれる「ミスターチーズケーキ」を手掛けるのは、シェフの田村浩二氏だ。同氏は乃木坂「 レストラン フウ(RESTAURANT FEU)」にてキャリアをスタート。フランスで修業を積んだのち、2017年に世界最短でミシュランの星を獲得した東京・白金台のフレンチレストラン「ティルプス(TIRPSE)」のシェフに弱冠31歳で就任(現在は退任)。シェフとして活動するだけでなく、フード関連の事業を複数手掛ける実業家の顔も持つ。そんな田村氏がチーズケーキを作り始めたのは、フランス発レストランガイドの日本版「ゴーエミヨジャポン(Gault & Millau Japon)」で“期待の若手賞”を受賞したのがきっかけだという。「受賞前と後で個人的には何も変わらない一方で、来店客層は大きく変わった。お店にとって良いことでもあるが、僕個人の料理ではなく、賞を取ったシェフの料理ということが重視されているのではないか。そういった疑問から、賞を取るために変わった料理を作るというこれまでのスタンスから、誰が食べても美味しいと思うものを作るスタンスに変わり、子供のころ誕生日に母が作ってくれていたチーズケーキの試作を始めた」と語る。

 18年1月の試作開始から改良を重ね、4月に納得のいくものが完成。特徴はトンカ豆やバニラ、レモンを組み合わせた香りや小麦粉不使用の製法で仕上げた独特の食感、そして酸味と甘みのバランスの3つ。また、冷凍、半解凍、完全解凍それぞれの状態で食感や味が変わるのもポイントだ。そのケーキを田村氏が自身のインスタグラムに投稿したところ、レストランの来店客からの「食べてみたい」という声が多かったことから販売を開始した。「当時はシェフ業と並行して作っていたため、朝の4時に起床し、9時のレストラン開業までチーズケーキの制作や梱包、発送などを行っていた。作る数も最大で1日に32本が限界。販売数を減らすなどの方法もあったが、SNS上で届く『美味しかった』『食べてみたい』といった声がモチベーションとなり、一生懸命作った」と当時を振り返る。田村氏のチーズケーキは口コミで人気が広がっていき、販売数を増やした後も販売後は即完売。18年12月に法人化し、現在に至る。

 気軽な気持ちでインスタグラムに投稿し、法人化するまでに至った「ミスターチーズケーキ」で田村氏は何を目指すのか?「“時間を作る”ことと“シェアをする”ことの2つを大切にしたい。ケーキは冷凍保存の状態でお届けしているため、食べるまでに1時間~1時間半と時間がかかる。待っている間の誰と食べるのか、どこで食べるのか、どんな食器で、どんな飲み物と共に食べるのかを考えることから『ミスターチーズケーキ』は始まる。忙しい世の中において、食卓は大切な人と過ごす貴重な時間。その時間を見つめなおし、考えなおしてもらうことができればと思っている」。また、世界進出も目的の一つだ。EC構築のプラットフォームを越境ECに対応した「ショッピファイ」に変更したのも世界進出を視野に入れてだという。「かつて働いていた南フランスのレストラン『ミラズール(MIRAZUR)』がWorld's 50 Best Restaurants 2019の1位に選ばれたこともあり、タイミングとしては年内にパリに進出したい。今では仲間も増え、できることも増えてきた。サイトも新たにオープンし、世界観をより強く打ち出せるようになった。『ミスターチーズケーキ』“東京発のチーズケーキ”としてを世界に発信していきたい」。