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「ヴィーロン」を手掛けるエイサップ・バリが語るブランドへの思いと未来 「次にショーをやるなら日本だ」

エイサップ・モブが昨年リリースした2ndアルバム「Cozy Tapes Vol. 2: Too Cozy」収録曲の「Feels So Good」

 今や空前の大ブームとなっているヒップホップ。その中でも抜群の知名度と実力を誇るのが、人気ラッパーのエイサップ・ロッキー(A$AP Rocky)も所属するヒップホップクルー、エイサップ・モブ(A$AP MOB)だ。

 2006年にニューヨークのハーレムで結成されたエイサップ・モブには、エイサップ・ロッキーと同じくラッパーのエイサップ・ナスト(A$AP Nast)やプレイボーイ・カルティ(Playboi Carti)から、ビートメーカー、ビデオディレクター、アーティストまでさまざまなジャンルで活躍する十数名が所属する。その中でデザイナーとして活躍しているのが、エイサップ・バリ(A$AP Bari)だ。

 1993年生まれのバリは、13歳の時に故エイサップ・ヤムズ(ASAP Yams)らと共にエイサップ・モブを結成。翌年に、今やクルーの顔でもあるエイサップ・ロッキーを加入させ、早くから彼のステージ衣装やツアーグッズをデザインするなどして才能を開花させる。そして、11年にブランド「ヴィーロン(VLONE)」を始動。当初、一般発売されることはなかったが、「クロット(CLOT)」のエディソン・チャン(Edison Chen)=デザイナーの手助けもあって、カニエ・ウェスト(Kanye West)をはじめとしたヒップホップ界のミュージシャンたちが着用し話題となり、14年から本格的にコレクションを展開するようになった。

 立ち上げから数年ながら、活躍はめざましい。16年に20足限定で発売した「ナイキ(NIKE)」とのコラボ“エア フォース 1(エア フォース 1)”は1000万円近い価格で転売され、17年3月に銀座にオープンした藤原ヒロシの「フラグメント デザイン(FRAGMENT DESIGN)」とのコラボポップアップストアには1500人が列を成し、同年6月にはパリコレ期間中に初のショー形式でコレクションを発表した。

 そんなバリが密かに来日していることをインスタグラムで知った記者が、東京観光中の彼に突撃。突然のオファーで、なおかつ日本のメディアとしては初のロングインタビューにもかかわらず、プライベートなことからブランド名の由来や、エディソン・チャンとの関係、現在のファッションシーンにおける潮流についてまで語ってくれた。

WWD:ブランドについて聞く前に、そもそもエイサップ・モブの中で、なぜバリと名乗っている?

バリ:その名前で生まれたからさ。本名のジャバリ・シェルトン(Jabari Shelton)が由来だよ。インスタグラムとかではヤング・ロード(Young Lord)とも名乗っているけど、それは俺が一番若い“Lord(ボス)”だから。こう名乗るとみんなが怖がってくれるんだよ(笑)。

WWD:なるほど。それではブランド名の由来は?

バリ:“VLONE”は、“独り”を意味する“ALONE”の“A”を逆さまにしたもので、俺だけの“ALONE”を表現している。“LIVE ALONE, DIE ALONE(独りで生きて、独りで死ぬ)”の意味もある。それに数字の“5(V)”が好きだし、“ヴィクトリー(VICTORY)”の“V”でもあって、俺の好きなモノの多くに“V”が付いているから単純にいいなって。「ヴィーロン」は、俺の腕にある“VLONE”のタトゥーからはじまっている。若い頃に仲間と“VLONE”の文字を街でスプレーペイントしていた過去があったり、俺自身のライフスタイルなんだ。

WWD:立ち上げた理由は?

バリ:もともとは(エイサップ)ロッキーだったり、メンバーのためだった。でも今じゃ世界のどこにいても、着ているキッズみんながつながれるように作っている。「ヴィーロン」を着ていれば仲間だとわかるし、話しかけられる。映画「X-MEN」のミュータントみたいなものだ。ちなみに、クリエイティブな人間はみんなミュータントみたいだなと思っている(笑)。

WWD:何人体制で動いている?エディソン・チャンとの関係は?

バリ:マネジャーのアレックス(Alex)を含めて、クリエイティブ面は4〜5人体制だ。アレックスは19歳だし、みんな若くてやる気のあるやつばかり。エディソンは友人であり、メンター的存在で、俺のOG(ヒップホップのスラングで、Original Gangstaの略。元祖、イケている、本物の意)だ。

WWD:デザインの知識はどのように身に着けた?

バリ:デザインは学ぶものじゃないと思う。クリエイティブであることは生まれながらの才能で、俺にはそれがあるんだ。

WWD:ハーレムで生まれ育ったことなど、周囲の影響が大きいように思える。

バリ:それはすごくある。ハーレムで育っていなかったら今の俺はない。ハーレムで育つと、幼い頃からあらゆるものを見るし、ブロンクス、ブルックリン、クイーンズ地区にそれぞれのスタイルがあるように、ハーレムにも昔から独自のスタイルがある。だからこそ、その中で自分のスタイルを確立しようと思っていた。

グライムシーンの雄スケプタとは、楽曲「It Ain't Safe」を発表。フックをバリが担当している

WWD:ヒップホップという音楽もクリエイションに影響を与えている?

バリ:両親が90年代のヒップホップを聴いていたから、俺はヒップホップがある環境に生まれた。それがロックだったという子もいるだろう。「そういうところに生まれたから」という感じだ。ただヒップホップを聴いて育ったからこそ、上の世代とも今のキッズともつながれるんだと思う。

WWD:ファッションと音楽のつながりは強いと思う?

バリ:もちろんだ。音楽を聴くことでよりクリエイティブになれて、気分をブーストしてくれる。ツイてない日でも、音楽を聴くとゾーンに入れるんだ。ヒップホップにロック、ジャズ、R&B、それぞれが違う気分にしてくれる。

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