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「ヴィクトリアズ・シークレット」in上海の舞台裏を垣間見て

 米国を代表するランジェリーブランド「ヴィクトリアズ・シークレット(VICTORIA’S SECRET)」の2017年のファッションショーが11月20日に中国・上海のメルセデス・ベンツ・アリーナで開催されました。これはアジア初開催で、今年3月に大型旗艦店をオープンした上海を拠点に、中国、さらにはアジアマーケットを急速に開拓したいという思いの表れで、取材メディアの7割近くが中国系メディアだったといわれています。開催前にメインゲストのケイティ・ペリー(Katy Perry)や人気モデルのジジ・ハディッド(Gigi Hadid)が中国政府から入国拒否されただけでなく、海外メディア対してJ2ビザ(臨時記者ビザ)を直前になって要請されるなど、事務局側の混乱した様子も漏れ伝わってきました。

 実は私、2011年にニューヨークで行われたヴィクシーショーを取材したことがありました。日本人の姿はほぼ見かけず、SNSもこれほど盛んでなかった時代なので、日本ではまだ、知る人ぞ知る、という感じでした。けれど、ショーの模様は番組として当時でも世界90カ国で放送されており(現在は190カ国以上に拡大)、ファッションショーというよりもまさにエンターテインメントそのものでした。

 とくにその年はジェイ・Z(Jay Z)やカニエ・ウェスト(Kanye West)、ニッキー・ミナージュ(Nicki Minaj)、マルーン5(Maroon 5)という超豪華アーティストが歌う横で1月にフリン君を出産したばかりのミランダ・カー(Miranda Kerr)の復帰や、初登場ながらも存在感を発揮したカーリー・クロス(Karlie Kloss)、マルーン5のフロントマンのアダム・レヴィーン(Adam Levine)と当時恋人だったアン・ヴィアリツィナ(Anne Vyalitsyna)がランランウエイを歩き……と話題も満載。東京ガールズコレクションなどで、一般の女の子たちが黄色い声を挙げるシーンなどは何度も見ていましたが、大の大人が、しかも、オシャレなセレブリティーや業界関係者らが総立ちになって歓声を挙げるショーというものを初めて目のあたりにして、鳥肌が立ったほどでした(ちなみに、ポーズをとるアンの右頬にアダムがいきなりキスをしたシーンでは、絶叫に近い盛り上がりを見せていました)。

 スケジュールの都合でバックステージや個別インタビューなどはお断りさせていただいてしまったのですが、今思えば、とてももったいないことでしたね。そこで、今回バックステージやショーに招待された中国セレブリティーのピンクカーペットなどに潜入した知人に現場写真を見せてもらいました。興奮が再びよみがえってきたので、ミーハーになり切ってふんわりコラムを書いてみました。

 ヴィクシーモデルや世界クラスのヘア・メイクが一堂に集まってメイクするバックステージはやはり圧巻でした。ピンクのカーペットと黒づくめのスタッフ、そして、サテンのキモノガウンを羽織ったヴィクシーモデルたちとのコントラストも美しいですね。

 ファッションショーの見どころの一つは、ファーストモデルとフィナーレのモデルやルックが誰になるのか、何になるのかという点でしょう。そこにモデルの序列が見えてきたりもするからです。今回のショーのオープニングを飾ったのは、キャンディス・スワンポール(Candice Swanepoel)でした。昨年10月に男児を出産したため、今回は出産後初のヴィクシーショー登場となり、どんな体に仕上げてくるのかにも注目が集まりました。ショーの様子は別記事で確認して欲しいのですが、さすがのキャンディスも少し緊張していたのか、あまりメディア取材は受けていなかったようで、メディア陣もそっと見守っていたとのことで
す。

 ヴィクシーショーの目玉として知られる “ファンタジーブラ”を着用したのは、9歳の男の子を育てるシングルマザーでもある、ライス・リベイロ(Lais Ribeiro)でした。その年に最も活躍したモデルのみが着用できるといわれるこのブラを着けることが明かされた際に、驚き、涙を流して喜んだというライス。この日はすっかりリラックスモード。ちなみに、2017年版のファンタジーブラは、ジュエリーブランド「モワード(MOUAWAD)」が手掛けた“シャンパーニュナイト・ファンタジーブラ”で、価格は推定 200万ドル(約2億2000万円)!目玉が飛び出しそうな金額ですね。

 現地メディアを中心にテレビや雑誌などインタビューが殺到していた中国人モデルは、スイ・ハ(Sui He)だったようです。ひと昔前は中国人モデルはクール系は得意だけれども笑顔が苦手だなどと言われたこともありましたが、このスイ・ハはエクボの存在もあり、とってもチャーミングでハッピーなオーラを発揮していますね。ヴィクシーショーならではの表情かもしれませんが、日本でも人気が出そうな気がします。

 もう一人、メディアが多く声を掛けていたのが、ヴィクシーショーの常連で15年からエンジェルを務めるエルサ・ホスク(Elsa Hosk)だったとのこと。日本からのお土産として手渡されたヒト幹細胞培養液配合コスメの「エクラトーキョー(ECLAT TOKYO)」のプレミアムエッセンスとプレミアムローションに興味津々。「ショーの後、上海から神戸へ行くのを楽しみにしているの」とのことで、日本での仕事も増えそうでした。

 そして、ここからは、ショー後のアフターパーティーのピンクカーペットから気になった人物をピックアップしてみました。中国の有名インフルエンサーは、KOLと呼ばれます。“キー・オピニオン・リーダーの略で、日本のインフルエンサーとはケタ違いの影響力や稼ぐ力を持っていると言われています。今回のイベントに来場したのは、中国版ツイッターといわれる微博(ウェイボー)で156万人のフォロワーを持つ「深夜発媸徐老師」ことYan Xu(写真)や、317万人を有する「包先生」(Mr.Bag)、735万人を持つ「gogoboi」、268万人のファンがいる「时尚主播linda」などを招いた。ちなみに、「gogoboi」のヴィクシーショーの投稿に対して、3万5000以上のいいねが着き、1万3000以上シェアされるなど、ケタ違いの拡散力を見せていました。

 個人的に興味深かったのは、2014年にショーへ出演したのを最後に“卒業”していたカーリー・クロスのカムバックでした。もともと素敵なモデルだと思っていましたが、14年に「H&M」 × 「アレキサンダー ワン(ALEXANDER WANG)」のコラボお披露目イベントがニューヨークで開かれた際、ショーの後に行われたプレショッピングパーティーの会場内で、ボクシンググローブを手にしていた私に「それ、どこにあったの?」なんて気さくに話しかけてくれたことで、一気にファンになってしまったのでした。今回は中国当局に入国を認められなかったジジ・ハディッドの代役として急遽アサインされたなどともいわれていますが、アフターパーティーのピンクカーペット上でも取材陣からひと際大きな声がかかっていたといわれており、人気の高さを証明していたようです。

 今回の目玉の一つが、パリの老舗ブランド「バルマン(BALMAIN)」と「ヴィクトリアズ・シークレット」のコラボコレクションの発表でした。15年に「H&M」とのコラボレーションで注目を浴びたオリヴィエ・ルスタン(Olivier Rousteing)デザイナーも会場入りし、モデル並みの注目を集めていたといいます。米「CBS」で11月28日にテレビ放送された翌日の11月29日にオンラインストアで発売されることになっています(ともに現地時間)。

 最後は、アフターパーティーのピンクカーペットのトリを務めた、アレッサンドラ・アンブロジオ(Alessandra Ambrosio、36歳)です。17年前からヴィクシーショーのモデルを務め、まさにブランドの顔であり続けた彼女がこの日、エンジェルからの引退を発表しました。ラストショーを見守り、ピンクカーペットを一緒に歩いた愛娘アンジャちゃん(9歳)はママのインタビュー中、スタッフに抱きついて待っていたとのこと(写真右下に注目)。ママの顔が垣間見えたアレッサンドラのさらなる活躍を期待したいですね。