ファッション

トム・サックス、ニューヨークに偽の「シャネル」ブティックをオープン 本家は関与を否定

現代芸術家のトム・サックス(Tom Sachs)は現在、アメリカ・ニューヨークで没入型インスタレーション「31 リュ カンボン(31 Rue Cambon)」を公開している。会期は10月10日までで、オープン時間は木・金曜日の18〜20時と、土曜日の13〜18時のみ。入場は無料だ。

「模倣は最高の賛辞」

トムといえば、“handmade piece from readymade goods(既製品からの手作り)”をテーマに、身近にある素材を用いた再構築の作風で知られるが、今回の「31 リュ カンボン」は“偽の「シャネル(CHANEL)」ブティック”をモチーフとしている。「31 リュ カンボン」とは、「シャネル」の創業者であるココ・シャネル(Coco Chanel)が1921年にオープンした本店の住所だ。

「31 リュ カンボン」は、トムのスタジオを変貌させる形でオープンしており、正面入り口には手書き風の「シャネル」の文字とモノグラム“CC”があしらわれ、店舗前の柵には“NOTICE BY ENTERING YOU ARE TO BE RECORDED(注意:入店者は録画対象)」の注意喚起看板が掲示されている。中心となる作品は、「31 リュ カンボン」になぞらえた31着のスーツだ。これらのスーツは、ナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)やエリザベス・テイラー(Elizabeth Taylor)らが着用したものをベースに、いずれも合板や合成ポリマーなどトムらしい素材と技法で再解釈されている。他にも、自転車用の反射鏡や釣り用の錘などを使用したシャンデリア、古紙製のピンヒール、切断した鎖で作った“CC”のブローチなども並ぶが、全ての作品は着用も購入もできないという。だが、何より興味深いのは、高級ブランドの偽物や海賊版が公然と路上販売されているキャナル・ストリートまで徒歩で数分という立地だろう。

そして、“偽の「シャネル」のブティック”のオープンは、マチュー・ブレイジー(Matthieu Blazy)が新たなアーティスティック・ディレクターに就任したことで、世界的に注目度が高まっているタイミングと重なった。彼が手がけたデビューコレクションは26年3月上旬から店頭に並んでいるが、同月、ひとつのバッグを購入するためだけに30時間かけて移動したことを明かしたエル・ファーガソン(Elle Ferguson)をはじめ、インフルエンサーたちの“戦利品”の紹介はSNSで話題を集めている。

今回のインスタレーションについて「シャネル」は、「このプロジェクトには一切関与しておらず、その構想や制作にも参加していない。これは、われわれが世界各地で支援している文化プログラムの一環ではない」と声明を発表。一方で、米投資銀行バーンスタイン(BERNSTEIN)でグローバル・ラグジュアリーグッズ・アナリストを務めるルカ・ソルカ(Luca Solca)は、「模倣は最高の賛辞だ。今回の出来事は、私たちの共通認識の中で、『シャネル』がいかに強大な存在へと成長したかを裏付けているように思える」とコメントしている。

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