昨年の夏に流行したプラスチック素材の透明な靴、ジェリーシューズは、素材と形状がシュールに変化している。各ブランドがこの素材を既存のシューズデザインに取り入れてジェリーシューズの流行は加速した。当初賛否両論をよんだ奇抜さは残るが、今年はそれを活かし、洗練されたシルエットを生み出している。「クロエ(CHLOE)」「ロエベ(LOEWE)」「ナイキ(NIKE)」はジェリーシューズをミュールやボートシューズ、スポーティーなPVCシューズに進化させた。
「クロエ」はジェリーシューズ×ミュール
「クロエ」は2025年春夏コレクションでクリエイティブ・ディレクター、シェミナ・カマリ(Chemena Kamali)がジェリーシューズを取り入れて以来、今年の夏に向けて透明なTPU素材のミュールやサンダルを導入し、ソフトでスモーキーな方向にアップデートした。アップル・マーティン(Apple Martin)がモデルを務めた同ブランドのハイサマーコレクション、“ア・ラ・プラージュ”では、ミュールスタイルのジェリーシューズを用意した。
2026秋冬コレクションのフロントローではジェリーシューズの着用が多数見られた。マギー・ロジャース(Maggie Rogers)はギャザーの結び目とカーブしたキトゥンヒールが特徴的なピープトゥスタイルのブラックのジェリーシューズを着用し、パリ・ジャクソン(Paris Jackson)らはよりシャープな印象の透明なリクシパンプスを着用していた。
「ロエベ」はキトゥンヒールとの組み合わせを提案
「ロエベ」はプラスチック素材の遊び心あふれるジェリーシューズを1990年代風ではなく、今年らしくキトゥンヒールと組み合わせた。ジャック・マッコロー(Jack McCollough)とラザロ・ヘルナンデス(Lazaro Hernandez)が初めて手掛けた2026年春夏コレクションでは、ジェリーシューズ×キトゥンヒールの組み合わせが登場した。カラフルなソケットとハイヴァンなアッパー、小さなヒールがついた透明なPVC素材のキトゥンヒールが印象的だ。
2026春夏シューズキャンペーンの動画では、ジェリーシューズが足から抜け出したようにエスカレーターやプールを通り過ぎていく様子を映し出している。
「ナイキ」はジェリーシューズをスポーティーに

「ナイキ」の“Rejuven8 Run Jelly(リジュビネイト ラン ジェリー)”はスポーツテック路線に転向した。同ブランドの2008年のリカバリーシューズを、取り外し可能なメッシュのブーティを備えた半透明なPVCケージに再構築した。これは、ウォーターシューズ、ケージスニーカー、Y2K風のリカバリーランナーの要素を併せ持つ。
ジェリーシューズはもはやノスタルジーではない
ジェリーシューズを初期から展開していた「メリッサ(MELISSA)」は「スーザン・ファン(SUSAN FANG)」とコラボした花柄のバレエシューズや桜をモチーフにしたプラットフォームのディテール、不透明から透明のグラデーションにプラスチック素材を取り入れた。また、「トリー バーチ(TORY BURCH)」がラフィアやクロシェ編み、海を思わせるカラーのリゾートウェアと共に、ジェリーシューズを“スプラッシュ”コレクションで発表した。
幼少期のノスタルジーを想起させるプラスチック素材がジェリーシューズの流行を引き起こした。今では夏のファッションシーンの確固たる地位を築いている。クリアなキトゥンヒール、取り外し可能なメッシュブーティ、ボートシューズ、そしてスモーキーカラーのサンダルなど、プラスチック素材を単なるノスタルジーから脱却するアイテムが数多く登場している。