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1156馬力の革新 新型フル電動SUV「ポルシェ」“カイエン エレクトリック”シリーズが日本上陸

ポルシェジャパンは7月6日、千葉・木更津のポルシェ・エクスペリエンスセンター東京で、「ポルシェ(PORSCHE)」の新型フル電動SUV“カイエン エレクトリック”シリーズの日本初となる試乗会を開催した。イベントには、同社のイモー・ブッシュマン(Immo Buschmann)社長をはじめ、同モデルを海外で試乗した俳優の松田翔太やモデルの長谷川潤らも登壇し、トークセッションを行った。筆者は同施設に備わるサーキットで高速走行などを行い、同シリーズの走行性能の一端を味わった。

3グレードに2つのボディータイプを用意
“カイエン エレクトリック”シリーズ

メーカー量産車史上最大出力とトルクを誇るモンスター

“カイエン”は「ポルシェ」が2002年に発表したラグジュアリーSUVの先駆的なモデルだ。走行性能と広い室内空間を両立し、メーカーの年間車種別販売台数では常に1、2位を争う主力車種であり、これまで純内燃機関とプラグインハイブリッドの2つのパワートレインで展開していた。ボディータイプを通常型のほか、“911”をほうふつとさせるルーフラインを備えた“クーペ”を用意し、エントリーモデルの“カイエン エレクトリック” (1335万円、クーペモデルは1407万円)や走行性能をさらに磨いた“カイエン S エレクトリック”(1676万円、クーペモデルは1717万円)、最高出力約1156PS(850kW)、最大トルク1500Nmを誇り、両数値ともにメーカー量産車史上最大値となった“カイエン ターボ エレクトリック”(2101万円、クーペモデルは2165万円)の3グレードをそろえる。日本でのデリバリーは9月2日より順次開始予定だ。

徹底した熱管理と空力対策

エクステリアは、内燃機関搭載の“カイエン”と比べるとフロントの開口部が小さく、BEVらしいクリーンな表情だ。一方で、フロント下部には、最新型“911”(992.2型)にも採用した可変フラップを備えた。空力や冷却効率を最適化する機能美は、BEVとなっても変わらないポルシェの設計思想を物語る。

BEVの性能を語る上で、航続距離は重要な指標の一つだが、同モデルはWLTCモードで629〜667kmの航続距離を実現した。その性能を支えるのが、大容量バッテリーと高度な熱マネジメント、緻密な空力設計だ。

“カイエン エレクトリック”シリーズは、クラストップレベルとなる容量の113kWhのバッテリーを搭載したほか、その上下に冷却・加熱用のプレートを備え、走行に最適な温度管理を行うと同時に、安定した急速充電へのコンディションを整えることも可能とした。また、リアドライブユニットの電気モーターには、内部を専用オイルで冷却する油冷方式を採用した。モーターの周りを冷やす一般的な冷却法と異なり、熱源に直接アプローチするため、モーター効率の向上にも寄与し、エネルギー損失を抑えた。なお、新開発の冷却用オイルは非腐食性で、車両の寿命が尽きるまで交換不要だという。

空力への工夫で注目したいのが、“カイエン ターボ エレクトリック”専用装備となる“アクティブサイドエアロブレード”だ。車速55km/h以上で自動展開し、車両後方の空気の流れを整えることで、高速域での走行安定性と空力性能を向上。結果として航続距離の延長にも貢献する。その開発思想の源流には、1969年に誕生し、「ポルシェ」に初のル・マン24時間レース総合優勝と連覇をもたらした伝説的レーシングカー“917”がある。同モデルには、高速サーキット向けのロングテールと、旋回性能を重視したショートテールが存在し、サーキット特性に応じて空力性能を最適化していた。そのモータースポーツで培われた空力思想を現代のBEVへ落とし込んだのが、このアクティブサイドエアロブレードだ。ルーフ後端のアダプティブリアスポイラーやBEVならではのフラットなアンダーボディーなどの装備も合わさり、クーペモデルのCd値(空気抵抗係数)は業界トップクラスの0.23、通常のボディータイプでも0.25という数値を誇る。

電気自動車でも「ポルシェ」なフィーリング

試乗では最初に、ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京内の“ハンドリングトラック”を走行した。同コースは、ドイツ・ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェの名物コーナー“カルーセル”や、アメリカ・ウェザーテック レースウェイ ラグナ セカの“コークスクリュー”など、世界の名門サーキットの特徴的なセクションを凝縮した全長2.1km、高低差約30mの周回コースだ。最初はエントリーモデルの“カイエン エレクトリック”に乗り込み、“コンフォート”モードで周回する。サスペンションは柔らかく、しなやかに路面をいなすが、ロール量も大きめで、快適性を重視したキャラクターが際立った。

“スポーツプラス”へ切り替えると、車内の空気は一変する。V8エンジンをモチーフにチューニングされた専用サウンドが低く響き、わずかな振動が体を伝う。サスペンションは引き締まり、ステアリングを切ればフロントが迷いなく切れ込み、車体が路面に粘り強く追従する。4輪の接地感を明確に感じ取ることができ、狙ったラインを正確になぞる感覚は、SUVというカテゴリーを忘れさせるほどだ。SUV特有の腰高感も巧みに抑えられ、まさしく「ポルシェ」が追求してきたハンドリングそのものを感じられた。

停止から100km/hまでわずか2.5秒

続いて、停止状態からのフル加速やフルブレーキング、パイロンスラロームを走行する“ダイナミックエリア”へ移動し、“カイエン ターボ エレクトリック”へ乗り換えた。「ポルシェ」市販車史上最高の出力とトルクを誇るモデルだけに、期待は自然と高まる。“スポーツプラス”モードでアクセルを踏み込むと、その加速は想像を超えていた。単に速いのではなく、初動から最大トルクを生み出すBEV特有の加速度で、内臓が一瞬置いていかれるようなGが身体を押し付ける。ローンチコントロールを使わずとも、2.6トン超えの車両でこの加速性能を味わえることに驚かされた。フルブレーキングでは、“ポルシェ アクティブ ライド”が車体姿勢を巧みに制御し、ノーズダイブは最小限に抑えられる。ABSが効くほどの急制動にもかかわらず、不自然に思えるほどフラットな姿勢を維持し続けた。さらに注目すべきは回生ブレーキだ。最大600kWという、フォーミュラEマシンに匹敵する回生出力を備え、通常のブレーキング操作の約97%を電気モーターによる回生のみでまかなう。しかし、ブレーキペダルのタッチは終始自然で滑らかだ。

パイロンスラロームでは、最大5度の切角を持つリアアクスルステアリングの効果をより強く体感した。“スポーツプラス”では後輪の積極的な補助によってノーズがグイッと向きを変え、全長約5m、全幅約2mのSUVとは思えない軽快さを見せる。最小回転半径も5.2mに抑えられ、パイロンをリズミカルかつ軽快に駆け抜けていく感覚は、スポーツカーが持つ「走りの楽しさ」そのものだった。

俳優の松田翔太、モデルの長谷川潤も先行試乗
「今までの人生で一番速い体験」

発表会のトークセッションには、ポルトガル・リスボンでの先行試乗を体験した俳優の松田翔太とモデルの長谷川潤が登壇した。

“911”も所有する自身を「カーガイ」と称する松田は「正直、乗る前はそこまで驚かないだろうと思っていたが、いざ加速すると、『脳みそが置いていかれる』ような加速で、今までの人生で一番速い体験だったと思う」と“カイエン ターボ エレクトリック”のローンチコントロールを体験した衝撃を振り返った。合わせて、車内の居住性についても言及した。「とにかく静か。『ポルシェ』なので乗り味が硬いイメージを持つかもしれないが、リスボンの石畳のような道路環境でも快適だった。もしこれを東京で乗ったら、もっと楽に感じるのだろうと乗りながら思えた」。

初めて「ポルシェ」のステアリングを握ったという長谷川は、「アクセルを踏み込んだ瞬間、大ファンになった。今までは『男性が乗るもの』『助手席に乗せてもらうもの』というイメージがあったけれど、その印象が一気に変わった。子供の送迎で使う時も、デートに行く時も気持ちよく乗れる。パーフェクトな車だと思う」と、デザインと実用性のバランスを評価した。

「電気自動車になっても、間違いなく『ポルシェ』であること」

「日本のEV普及率は他国に比べて低いものの、輸入車市場に限って言えば微増の傾向にある」と話すブッシュマン社長。4ドアセダンの“タイカン”、コンパクトSUVの“マカン エレクトリック”に続き、「ポルシェ」にとって3車種目のBEVとなる“カイエン エレクトリック”について、「『ポルシェ』はすべてのセグメントで最もスポーティーなモデルを提供することを目指しており、“カイエン”はラグジュアリーSUV市場の頂点を担う存在」だと期待する。

さらに、「“カイエン”を初めて投入した際も、『なぜポルシェがSUVを作るのか』という声があった。しかし現在では、それが当たり前の存在になっている。今、まさにそのような通過点を迎えている」とした上で、「ポルシェ」の方針としては、「内燃機関、プラグインハイブリッド、BEVという3つのパワートレインを用意することで、顧客一人一人が自由に選べる、選択の自由を担保すること」だと、その狙いを語った。

昨今のBEVには、仮想有段シフトや擬似的なエンジンサウンドなど、内燃機関のドライビングフィールを再解釈するアプローチが流行りをみせている。一方、“カイエン エレクトリック”シリーズは、その流れに迎合しない。パドルシフトは備えず、擬似的な変速体験も提案はしない。サウンドもV8を忠実に再現するのではなく、BEVならではのテイストを加えて再構築していた。つまりは、「ポルシェ」はBEVを「内燃機関の代替」として捉えていないのだ。

発表会でも繰り返し「電気自動車になっても、間違いなく『ポルシェ』であること」というメッセージを強調していた。同社にとっては、パワートレインは、あくまで選択肢に過ぎない。BEVであっても、ハンドリングやシャシー性能、空力といった「ポルシェ」らしい本質を変わらず磨き続けたモデルは、電動化への迷いを感じさせなかった。公道ではどんな走りを見せてくれるのか、その機会を待ちたい。

公式サイト:https://www.porsche.com/japan/jp/models/cayenne/cayenne-electric-models/cayenne-electric/

◼️車両情報

“カイエン エレクトリック”
車両本体価格:1335万円(クーペ:1407万円)
全長×全幅×全高:4990×1980×1675mm(クーペ:4990×1980×1650mm)
ホイールベース:3023mm
車両重量:2550kg(クーペ:2560kg)
駆動方式:AWD
パワートレイン:モーター(2基)
システム最高出力:442PS(325kW)
システム最大トルク:770Nm
0-100km/h加速:4.8秒(ローンチコントロール時)
航続距離(WLTCモード):636km

“カイエン S エレクトリック”
車両本体価格:1676万円(クーペ:1717万円)
全長×全幅×全高:4985×1980×1674mm(クーペ:4985×1980×1650mm)
ホイールベース:3023mm
車両重量:2550kg(クーペ:2560kg)
駆動方式:AWD
パワートレイン:モーター(2基)
システム最高出力:666PS(490kW)
システム最大トルク:950Nm
0-100km/h加速:3.8秒(ローンチコントロール時)
航続距離(WLTCモード):667km

“カイエン ターボ エレクトリック”
車両本体価格:2101万円(クーペ:2165万円)
全長×全幅×全高:4985×1980×1674mm(クーペ:4985×1980×1650mm)
ホイールベース:3023mm
車両重量:2650kg(クーペ:2660kg)
駆動方式:AWD
パワートレイン:モーター(2基)
システム最高出力:1156PS(850kW)
システム最大トルク:1500Nm
0-100km/h加速:2.5秒(ローンチコントロール時)
航続距離(WLTCモード):629km

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