デジタル化が進み、ソーシャルメディアの台頭とともにその影響力を測るさまざまな手法が編み出されているが、ファッション業界では“メディアインパクトバリュー(メディア掲載やSNS上での投稿などをアルゴリズムで測定しマーケティング価値を割り当てたもの。以下、MIV)”が最もよく知られている指標の一つだろう。MIVは主に露出量に着目した測定方法だが、これをさらに一歩進め、消費者の購買行動に結びついたかどうかを数値化する新たな手法“カルチュアルカレンシー・インデックス(以下、CCI)”が登場。文字通り“カルチャー”とのつながりも重視する指標で、ここでは2026年春夏ミラノ・ファッション・ウイークに参加したブランドをランクづけした結果についてまとめた。(この記事は「WWDJAPAN」2025年11月10日号からの抜粋です)
CCIは、ミラノを拠点とするブランドコンサルティング会社アネックス(ANNEX)と英国のクリエイターマーケティングプラットフォームのウィアリズマ(WEARISMA)が協業し、2年をかけて開発した。アネックスのミア・サリバン(Miah Sullivan)共同創業者は、「20年以上にわたって最高マーケティング責任者などマーケティング畑で仕事をしてきたが、費用を投じたキャンペーンなどが実際に売り上げに貢献していることを証明するのにいつも苦労した。マーケティングは事業の成長に大きく寄与しているにもかかわらず、効果が数値化しにくく、コストセンター(直接利益を生み出さない部門)扱いされてしまうことも多い。その結果、適切な費用が割り当てられず、成長機会を逃してしまうことに歯がゆい思いをしていたので、分かりやすく数値化できる指標の開発に着手した」と語る。
同氏はまた、先行するMIVとの違いについて「MIVは主に露出度や注目度の高さを測定して価値に換算するが、それは必ずしも“購買に結びついた影響力”ではない。当社の分析では、消費者の購買意思は、よりナラティブを重視してカルチャーとうまくリンクしているブランドに対して高まっていた。それを数値化したものがCCIだが、CCIの高いブランドや企業ほど、調査期間内における株価の上昇率も市場平均を上回っていた」と述べた。
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