データテクノロジー企業、ローンチメトリックス(LAUNCHMETRICS)の分析によると、2026年春夏パリ・ファッション・ウイークは、開催終了からわずか48時間以内に11億ドル(約1683億円)のメディアインパクトバリュー(メディア掲載やSNS上での投稿などをアルゴリズムで測定しマーケティング価値を割り当てたもの。以下、MIV)を生み出したという。
これは、今年5月に開催された「第78回カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)」にほぼ匹敵する規模で、同社は「パリ・ファッション・ウイークが業界向けのイベントから年間を代表する文化的イベントに進化した」とも評価している。今回の「カンヌ国際映画祭」では、ヌードや極端にボリュームのある衣装、長いトレーンを禁止するという新しいドレスコードが注目を集めたほか、広瀬すずや二宮和也ら日本人俳優、「ブシュロン(BOUCHERON)」ジャパンアンバサダーを務めるTWICEのミナといったK-POPアイドルの参加も話題となった。
新デザイナーのデビューが注目度をけん引
26年春夏パリ・ファッション・ウイークでは、「シャネル(CHANEL)」や「ディオール(DIOR)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「ロエベ(LOEWE)」「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」「ジャンポール・ゴルチエ(JEAN PAUL GAULTIER)」など、少なくとも8つの主要メゾンで新デザイナーによるデビューコレクションが披露された。この新体制ラッシュが、MIVの高い数値を支えた主な要因とされている。
中でも、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)による「ディオール」、マチュー・ブレイジー(Matthieu Blazy)による「シャネル」、ピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)による「バレンシアガ」は、数値的にも特に大きな注目を集めた。
BLACKPINKのジスらセレブの投稿がMIVを押し上げる
さらに、セレブリティーによるSNS投稿もこれを盛り上げた。“ベッキー”の愛称で知られるタイと英国をルーツに持つ俳優兼歌手のレベッカ・パトリシア・アームストロング(Rebecca Patricia Armstrong)が「シャネル」のショー会場で投稿した内容は、150万ドル(約2億2950万円)のMIVを創出。一方、BLACKPINKのジス(JISOO)が「ディオール」のショー前に投稿したコメントは140万ドル(約2億1420万円)を記録した。
ローンチメトリックスが示すMIVは、オンラインメディアやSNS、雑誌などでのブランド露出をすべて数値化し、その影響力を金額換算して評価する仕組みだ。有料広告(ペイド)、自社発信(オウンド)、報道や口コミなどの自然露出(アーンド)といったあらゆるメディアを対象としていて、ブランドの話題性を可視化する指標として広く用いられている。