「ザボディショップ(THE BODY SHOP)」は10月7日、米国市場へ再上陸し、アマゾン(AMAZON)での販売を開始した。相次ぐ経営体制の変化やオーナーシップの移行を経て、米国での再始動にあたりデジタル最優先の戦略を掲げる。
「ザボディショップ」は昨年2月13日にイギリス事業が破産管財人の管理下に入り、同月29日に75店舗を閉鎖、480人以上の従業員を解雇した。同年3月1日に、61店舗(※編集部調べ)を展開するアメリカでの事業を停止、カナダで展開する105店舗のうち33店舗の閉鎖を開始し、ECも停止した。4月4日には、フランス事業が破産管財人の管理下に入っていた。
チャールズ・デントン(Charles Denton)前最高経営責任者(CEO)の後任として今年の7月に着任したマイク・ジャタニア(Mike Jatania)=エグゼクティブ・チェアマン兼CEOは、「現在『ザボディショップ』の再構築と再生に注力しており、事業基盤の安定化や戦略の明確化、チームの再活性化を進めている。『ザボディショップ』の強みは、エシカル(倫理的)で高品質な製品と社会・環境へのポジティブな影響力だ」と語る。
当面はデジタルチャネルに注力
独自のデジタル・エコシステムを構想
ジャタニアCEOは将来的な実店舗展開を否定しないものの、当面はデジタルチャネルに注力する方針だという。「アマゾンと自社ECに加え、米国における流通拡大の選択肢を戦略的に検討していく」と話す。さらに「自社ECとアマゾンのような外部販売チャネルを融合させ、ブランドの理念や伝統を反映した独自のデジタル・エコシステムを構築したい。私たちにとっての成功とは、単なる売り上げ拡大ではなく、健全で利益率の高い事業基盤を築き、リピート購入率と顧客生涯価値(LTV)を高めることにある」と続ける。
米国市場ではボディーケアやスキンケア、ヘアケアなどのコアカテゴリーが引き続き支持を得ると見込む。特に“ジンジャー”“シア”“エーデルワイス”“ビタミンC”“ティーツリー”などのシリーズはリピーターが多く、米国でも好調が期待されるという。
米国最大のビューティ小売業者となったアマゾンは、ブランドが市場での存在感を維持するための有効な手段となっている。ジャタニアCEOは「市場競争が激化する中でも、私たちには時代を先取りしてきた伝統と変わらぬ信念がある。クルエルティフリー(動物実験反対)やフェアトレード、環境配慮型のビューティをいち早く提唱してきた。その伝統に、継続的なイノベーションや透明性、インクルーシビティー(包括性)を掛け合わせることで、『ザボディショップ』は人と地球にポジティブな影響を与える、信頼できる使命主導型ブランドとして再び存在感を発揮していくだろう」と語った。