「バレンシアガ(BALENCIAGA)」はこのほど、10種のフレグランスコレクションを発表した。フレグランスに特化した専門店も同時にオープン。メゾンのDNAに根付くアバンギャルドなまでに自由な精神で、香水市場への本格的な再参入を図る。製品は、メゾンにゆかりのあるパリ8区のジョルジュ・サンク通り10番地の専門店をはじめ、ヨーロッパおよび北米の一部の「バレンシアガ」店舗、公式ECで販売する。その後は中東やアジア、その他の地域の厳選された「バレンシアガ」店舗でも順次取り扱う予定。
同ブランドにとって香水の製作は、2023年にケリング(KERING)がケリング ボーテ(KERING BEAUTE)を設立し、それに伴い香水事業を社内に戻して以来初となる。ジャンフランコ・ジャナンジェリ(Gianfranco Gianangeli)=「バレンシアガ」最高経営責任者(CEO)は「創業当初から『バレンシアガ』はクチュールメゾンであると同時に、フレグランスメゾンでもあった。ケリング ボーテとともに、その本質的な遺産を復活させたかった」と語る。
メゾン初の香水を再解釈
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復活の起点となったのは、1947年に発表したメゾン初の香水“ル ディス(Le Dix)”。アーカイブチームは15年かけて当時のボトルを探し出し、処方からパッケージまでを解析・再現した。ラファエラ・コルナッジャ(Raffaella Cornaggia)=ケリング ボーテCEOは「オリジナルの処方やボトルを忠実に再現することで、プロジェクトに真の説得力と感情的な深みが加わった。また『バレンシアガ』と密に連携することで、あらゆるディテールにメゾンのビジョンを反映した」と説明する。
新コレクションのボトルは“ル ディス”のデザインを踏襲し、球状のガラス製キャップやリボン、時代を感じさせる風合いを採用。外箱は往年のロゴを生かしつつ、現代の「バレンシアガ」を象徴するインダストリアルグレーのパッケージに仕上げた。全てフランスで製造・封入・包装する。
10種のオードパルファン
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コレクションは、新生“ル ディス”を含む10種。クリストバル・バレンシアガ(Cristobal Balenciaga)創業者の故郷に由来する“ゲタリア”や、“ノーコメント”“トゥエンティ フォー セブン”“トゥー ビー コンファームド”“ムスカーラ”“100%”“エクストラ”“クリストバル”“インセンス パルファムム”をそろえる。ジュースは透明からスモーキーな色合い、そして不透明な色合いまで幅広い。それぞれの香りは、伝統と先端技術を融合して製作した。
例えば“ル ディス”にはアイリスやバイオレットリーフ、インセンスのエッセンシャルオイルをブレンド。“クリストバル”はウードエッセンスにパチョリやオークモスを合わせ、“ムスカーラ”にはアンブレットシードとアイリスを使用した。
価格は15mLのトラベルスプレーが55ユーロ(約9500円)、100mLが260ユーロ(約4万4900円)、200mLのレフィルが220ユーロ(約3万8000円)。10mL×10本のミニチュアセット(320ユーロ=約5万5300円)や、2mL×10本のディスカバリーボックス(70ユーロ=約1万2000円)も用意する。
全てのボトルはレフィル可能で、外箱はリサイクル可能な紙素材を使用。使い捨てのプラスチックは用いず、香料のアルコールは有機小麦由来にこだわった。
歴史的拠点に専門店をオープン
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新コレクションは、クリストバル・バレンシアガ創業者が“ル ディス”を発表した場所と同じ、ジョルジュ・サンク通り10番地のフレグランスストアで発売した。同地は21年にクチュールサロンとアトリエを復活させ、22年にはクチュールストアを開いたブランドの歴史的拠点でもある。
店舗デザインは隣接するクチュールストアのコードを取り入れ、構造材を生かした建築表現にグレーを基調とした内装を採用。ベルベットやスエード、レザーといった素材をコンクリートや金属と組み合わせた。椅子はアルミニウムとレザー製。
フレグランスブティックでは無料の名入れサービスを提供するほか、クローム仕上げのトラベルケースやボトル型チャームなど、“ル ディス”に着想を得たオブジェやアクセサリーもそろえる。
本文中の円換算レート:1ユーロ=173円