
そごう・西武は8日、旗艦店「西武池袋本店」の大規模改装の第1弾となる化粧品売り場を明日の開店に先駆けて報道陣に公開した。従来は1・2階に分かれて展開していた化粧品フロアを3階に集約し、「体験価値の最大化」を掲げて再構築する。
全館のリニューアルコンセプトである“インクルージョン”を反映し、年齢・性別・国籍を問わず誰もが心地よく過ごせる売り場づくりを目指す。売場面積は約1700平方メートル。新規7ブランドを含む47ブランド(9日開店時は41ブランド)を集積し、「都内で唯一、ワンフロアでここまでの規模を実現した」(売り場担当者)と胸を張る。
フロア内にはカフェやイベントスペースも併設し、回遊性や滞在性を高めた。化粧品のタッチアップ体験だけにとどまらず、コミュニケーションやブランドの世界観を体感できる場としての進化を図った。
寺岡泰博店長は、「まずは地域のお客さまに喜んでいただけるお店であることが第一。そのうえで、これまで支えてくださったお客さまに再び足を運んでいただき、さらにラグジュアリー志向の新たなお客さまにも魅力を伝えていきたい」と語った。
1年前から段階的に進めてきた改装計画であったが、その間も売り場の移動が複数回あり、馴染みの販売員を目当てに通い続ける顧客も少なくなかった。「百貨店で大事なのはやはり“人”との関係。販売員とお客さまの信頼関係を今後も大切にしていく」。
8日の関係者向けの内覧会には、長年通ってきた顧客も招待。10時の開店直後、エスカレーターで上がってきた来場者に寺岡店長自らが声をかけ、再会を喜ぶ場面もあった。「やはり、いろんな思いが駆け巡ったというのは確かだ。私ですら感慨深かったのだから、販売員たちはもっと強い思いがあったはず。その気持ちを、お客さまへの感謝の気持ちを、明日以降も伝えていきたい」。
この日は、感謝の気持ちを込めてピンクのバラを配布。花言葉は“感謝”だ。「この1年、地域のお客さまに何度も励まされ、支えられてきた。その気持ちを花に託して届けたい」。新しい売り場の出発点に立ち、「気持ちよく買い物をして帰っていただけたら、今日という1日は本当に意味ある日になる」と語った。
西武池袋本店では、今後も食品売り場や各フロアの改装を順次進めていく予定。新たな体験を軸にした百貨店として、変化する都市・池袋の中での存在感を再構築する取り組みが続く。