PROFILE: 寺岡泰博/そごう・西武 西武池袋本店長

そごう・西武労働組合の委員長だった寺岡泰博氏が、5月1日付で西武池袋本店の店長に就任した。寺岡氏は2023年に当時の親会社セブン&アイ・ホールディングスによるそごう・西武の売却に反発し、ストライキを主導した人物である。異例の人事の背景には、現在の親会社である投資会社フォートレス・インベストメント・グループが進める、社運を賭けた西武池袋本店の大規模改装がある。
WWD:異例の人事の経緯は?
寺岡泰博・西武池袋本店長(以下、寺岡):年明けにそごう・西武代表取締役の劉勁さん(フォートレス日本法人出身)からストレートに池袋本店長を打診された。全くの想定外でたいへん驚いた。組合の委員長の任期が4月で終わるため、私は別の選択肢を考えていた。23年8月にストライキを行ったものの、セブン&アイによって売却は実行され、池袋本店の面積は半分になった。(会社に)解雇されたわけではないけれど、事実として多くの仲間が会社を去ることになった。委員長としてケジメをつけなくてはいけない。委員長退任と同時に、会社を辞める腹づもりでいた。
WWD:それでも店長人事を受け入れたのは?
寺岡:委員長として経営側に「事業継続」と「雇用維持」の2つを訴え続けてきた私に対し、劉さんは「従業員をまとめ上げてきた熱意と行動力を、正念場の池袋本店に向けてくれないか」と言った。確かに事業と雇用を守るためには、池袋本店を必ず成功させなければならない。たいへん悩んだが、経営側に要求してきた私が背を向けるわけにはいかない。おそらく池袋本店長と言われなければ、会社に戻ることはなかった。
WWD:事業継続と雇用維持。委員長時代と基本的なスタンスは変わらないと?
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