ANAは2027年、制服を一新する。7月3日の記者会見で、運航部門を「ナオキ・タキザワ(NAOKI TAKIZAWA)」の滝沢直己、接遇部門を「セッチュウ(SETCHU)」の桑田悟史、機能系部門を「アディダス(ADIDAS)」がデザインを担当することを発表した。
客室係員・客室乗務員は12年ぶり、機内搭乗係員は22年ぶり、グランドハンドリング係員は23年ぶり、パイロットは37年ぶり、整備士においては39年ぶりの刷新となる。このタイミングで起用した3者を、ANAの井上慎一社長は「ベストメンバーだ」と繰り返した。
ANAホールディングスの2025年3月期の売上高は、2兆2618億円(前年同期比10%増)となり過去最高を更新。24年には、羽田とミラノ、ストックホルム、イスタンブールをつなぐ新規3路線が開通した。井上社長は「コロナ禍を乗り越え、元気なANAが戻ってきた。27年の創立75周年に向け、更なる高みを目指したい」と話す。
「ナオキ・タキザワ」の滝沢デザイナーは、運航部門(パイロット)を担当する。「日々の喧騒から逃れ、リラックスできる。そんな飛行機での旅が大好きだった」と旅行好きの一面を露わにし、「現時点では、素材のイノベーションに関心がある。通気性や軽量感などを意識し、まるでスポーツウエアを着ているような一着を作りたい。また、何か日本のシンボルもデザインとして取り入れられたら」と構想を語った。
接遇部門(客室係員・客室乗務員)のデザインを担うのは、「セッチュウ」の桑田デザイナーだ。イタリア・ミラノを拠点にする桑田は、羽田・ミラノ線の開通を喜びながら、次のように語った。「日本を代表する会社の制服作りに携われることを光栄に思う。デザインはもちろん、機能性も重視していきたい。例えば、客室乗務員は人前に立つと同時に、キャビンからスーツケースを出し入れするなど、力仕事も担う。キレイでありながら、動きやすい。そんな制服を作りたい」。
アディダスジャパンの萩尾社長は、機能系部門(整備士、グランドハンドリング貸物係員、機内搭乗係員)のデザインについて語った。「さまざまなスポーツ選手の“瞬間”を支えてきたノウハウがある。同じく緊張感ある現場で活躍する皆さまをサポートできたら」。「ANAはドイツの本社に出張するときに利用している。これまでもこれからも社内の人と人をつないでくれる存在だ」と感謝の意を示す場面もあった。
同社は昨年、社内でアンケートを取り、新制服に求めることを調査したという。デザイナーらは明日から、社員が働く現場を視察する予定。これらを受け、デザインを固めていく。