
デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの北欧5カ国からなる北欧パビリオンは4月9日、開幕に先駆けてプレスツアーを開催した。北欧パビリオンの見どころは五感で北欧を体験できる没入型の展示スペースや北欧と日本のフュージョンメニューを提供するルーフトップの「ザ ノルディック フード バー」、そして日本でも人気の北欧ブランドが手掛けた空間やユニホームだ。
1階展示ホールには360度の巨大スクリーンを設置し、北欧の日々の暮らしの写真や四季の動画を映し出した。北欧の夏を再現した室温と香りを体感しながら、五感で北欧を体験できる没入型の展示になっている。スクリーンの素材には廃棄される米を活用したライスペーパーを用いた。
1階展示ホールには人が近づくとセンサーが反応して映像が流れるグラフィックパネルも用意。「ライフ スタイル&ウェルビーイング」「モビリティ&コネクティビティ」、「グリーン・トランジション&サーキュラー・エコノミー」の3つのテーマで北欧の事実を伝える。
ルーフトップで北欧&日本の
フュージョン料理
3階ルーフトップの「ザ ノルディック フード バー」は北欧と日本のフュージョン料理を提供する。レストランメニューを監修したフリーダ・ロンゲ(Frida Ronge)氏は2007年から北欧と日本の料理の融合に取り組み、スウェーデンに3軒、ノルウェーに1軒のレストランを運営する人気シェフ。スウェーデンのレストランガイド「ホワイトガイド」で「ライジングスター・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど高く評価されている。ロンゲ氏は「北欧と日本のフィージョン料理は北欧でとても人気を集めており、日本でも人気になればうれしい」と話す。今回提供する伝統料理「スターゲン」(海老とマヨネーズとディルのオープンサンド)は柚子胡椒を加えてピリッと刺激的な味わいが特徴だ。じゃがいもとマスタードを用いたサーモン料理には白みそを加えた。
カフェメニューを監修したヴェントラ愛氏は13年にスウェーデンに移住し、日本と北欧の文化をつなぐ菓子作りに取り組む。スウェーデンでは日本の菓子を紹介する本を、日本では北欧の菓子を紹介する本を出版する。今回は北欧文化「FIKA」をコンセプトに北欧スイーツを提供する。「FIKAとはもともとスウェーデンの言葉でコーヒーを飲みながらスイーツや軽食を食べておしゃべりを楽しみながら休憩することを意味している。北欧のスイーツには、家族や友人と過ごす温かな時間への想いが込められている。そんな“北欧時間”を感じられるひとときを、このカフェで過ごしていただけたら嬉しく思う」と話す。「ザ ノルディック フード バー」は「食品廃棄物ゼロ」のビジョンを掲げ、循環型社会への貢献を目指す。
ユニホームは「マリメッコ」と「ヴィヴァ(VIBAe)」
色とりどりのシャツが印象的なユニホームはフィンランドの「マリメッコ(MARIMEKKO)」がトップスとバッグを、「ヴィヴァ(VIBAe)」がシューズを、スウェーデンの「H&M」がトラウザーを提供した。パビリオン内の空間はデンマークの「ボーコンセプト(BOCONSEPT)」「カール・ハンセン&サン(CARL HANSEN & SØN)」「ヘイ(HAY)」が協力して作り上げた。
1階には北欧のアイテムを購入できるノルディックショップを設けた。ムーミンやスウェーデンの絵本「長くつ下のピッピ」といった北欧を代表するキャラクターのグッズから、北欧各国のファッションブランドのバッグや衣類、アクセサリー、北欧の最新のガジェット類からパフュームまで幅広くそろえる。北欧の味わいが楽しめる食品やお酒も並ぶ予定だ。
2階と3階のカンファレンスセンターでは企業のイベントやプレゼンテーションを行う予定だ。また、パビリオン前には北欧の食が楽しめるフードトラックが登場する予定で、「ムーミン」のアイスクリームやダニッシュ・クラウンのソーセージを使ったホットドックなどを提供する。
デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの北欧5カ国が共同で展開するのは1970年の大阪万博、2005年の愛・地球博に次いで今回が3回目。ノルウェー政府を代表してフィン・クリスティアン・アモット(Finn Kristian Aamodt)氏は「今回のパビリオンはトラストとコラボレーションをテーマにしている。北欧5カ国が尊敬、称賛、信頼を基盤に協力し合う姿勢は世界への重要なメッセージとなるだろう。パビリオンに足を踏み入れた瞬間から北欧の精神を感じていただけると思う」と語った。
スウェーデン政府を代表してセシリア・エクホルム(Cecilia Ekholm)氏も挨拶した。「北欧は各国が協力し合っている地域として知られていて、私たちは歴史や自然はもちろん、イノベーションにあふれる企業や能力、国境も共有している。60年以上も北欧に住んでいる人たちはどこでも働くことができパスポートなしに移動もできる。私たちがどのように共存しているか、また北欧と日本がどのように結びついているかにも注目してパビリオンを見て欲しい」。