百貨店主要4社の2025年1月度売上高は、おしなべて1割程度の増収だった。各社で年始営業を後ろ倒しにする動きがあったものの、業績にマイナス影響はほとんど見られない。業績を押し上げたのは富裕層やインバウンド。彼らの目覚ましい購買力の前に、初売りセールの存在感はどんどん小さくなっている。
各社の業績は、三越伊勢丹が前年同月比18.8%増、高島屋が同8.1%増、大丸松坂屋百貨店が同12.2%増、阪急阪神百貨店が同6.1%増。
阪急阪神百貨店の阪急本店の1月度売上高は、前年同月比12.3%増。 同社は15店舗中、11店舗で年始休業を1日増やした。阪急本店も、初売りが前年から1日後ろ倒しとなり、1月3日に営業開始した。同日は開店前に長蛇の並び列となったため、予定より30分早めて開店。3、4日の累計来店客数は、前年の初動2日間(2、3日)と比較して1割増、売上高は2割増だった。ただし、売り上げの嵩上げ要因となったのは「クリアランスセール品よりも定価商品」(同社)であり、免税売上高は前年同月比1.5倍、100万円以上の高額品の売り上げは同約40%増だった。
三越伊勢丹の伊勢丹新宿本店は、前年同月比25.3%増。内訳は、国内売上高が同22.7%増、免税売上高が同38.9%増だった。やはり、高単価商品の好調とインバウンドの旺盛な購買が支える構図は変わらない。全体の客数は同微減ながら、客単価が23.9%増と大きく伸びた。初売りの4日間(2〜5日)の売り上げは、前年同期比28%増。クリアランスセール品よりも「プロパー(正価品)がけん引した」(同社広報)という。
大丸松坂屋百貨店も初売りを例年より1日遅くスタートしたことで、営業日数では1日分のマイナス影響があったが、免税客売上高が前年同月比87.5%と、単月として過去最高を更新する好調ぶりでカバーした。高島屋も年始営業は3日からで営業日を1日減らすも、免税売上高の好調(同45.7%)で補った。